表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな妖精に転生しました  作者: fe
七章 勇者と魔王
303/342

299. 今どんな気持ち?

「俺に従えや、アシェールラぁ!!」


「……?」

 なになに? 急になに言い出してるの、このコスプレ魔王。

 ちょっと理解できない。さっき闇属性魔法をまともにくらって頭の働きがにぶくなってるかも。なんか体に闇属性がのこってる気分なんだよね。いわば今の私はダークフェアリーだ。ダークフェアリーな私はちょっとアレだ。(ワル)なのだ。とっても(いけず)になっているのだ。


「ふ、動き止まったな。束縛効いたやろ? 俺の方が魔力高いもんな。ほな手始めにあの魔術師(クソジジイ)(だまら)してこいや。ああ、ついでにドラゴンの傍に落ちとるあの短剣こっち持ってこい」


 んー? 短剣? ふにゃ剣のこと?

 それにおじゃーさんを黙らしてこいって? まぁ、おじゃーさんうるさいもんね。詠唱にしてももう少し声量落とせないのかなとはちょっと思うよね。

 でもなぜ私がコスプレ魔王の言うことをきかないとダメなのかな? まわりのみんなもポカンとしてるよ?


 えーと、よく考えろ私。

 たしかコスプレ魔王は名前で束縛されたとか言ってた。ってことは、昔は名前を使って相手の行動を操る術があったのかもしれない。コスプレ魔王はその術で私を操ろうとしたんだ。だけど私の名前はアシェールラじゃない。アシェールラはこっちの言葉で妖精様を意味する単語だもんね。


 ははぁん? わかっちゃった。こいつ馬鹿でしょ。

 ぷぷ、馬鹿だから魔力だけでふにゃ剣がすごい短剣だと勘違いしたんでしょ? じゃぁ、ふにゃ剣をこっちまで浮かせて運んでっと。おじゃーさんは……、まぁ今は黙ってるしそのままでいっか。


「おい、魔術師(クソジジイ)(だまら)してこい言うたやろ。チッ、俺でも妖精(コイツ)の束縛は完璧にはいかんか。魔力多い相手は難儀やな。まぁ、ええわ」


 コスプレ魔王……、ちょっと長くて呼びにくいな。コス魔でいいか。コス魔がゆっくりと赤いふにゃ剣を拾って振るう。ブォンと良い音が鳴った。


「はは、何が起きたか分からんいう顔してんな。アンタらの頼みの綱の妖精はもう俺のモンや。絶望しろ!」


 コス魔がすごい速さでブォォンとふにゃ剣を勇者くんに突き刺そうとして、それを勇者くんは片手で防いだ。ふにゃ剣は当然ふにゃっとなる。まわりのみんなはポカンとしたままだけど、今度はコス魔自身もポカンとしちゃった。


「ぷぷー! 名前で私を縛るって? アシェールラはね、こっちの言葉で妖精様って意味だよ! アシェールが妖精、ラが様なんだ」


「はぁ?」

 ふにゃ剣を突き出したままコス魔がすっとんきょうな声をあげる。


「だからぁ、他のみんなにはアンタが突然「妖精様ぁ!」って叫んだように見えたってワケ。敵を突然様づけで呼んだ変なヤツって思ってポカンとしてるんだよ! それにその短剣は子どものオモチャ用です。安心安全、刺さりません。ぷふっ。ねぇねぇ、今どんな気持ち?」


「ああぁ!?」


 あーあー、顔真っ赤にしちゃって。

 照れ隠しからか、コス魔はそのまま最初に持ってた黒い刀で勇者くんとの戦いを再開した。怒りのせいかさっきまでよりも良い動きな気がする。でも勇者くんも果物で強化してるからね、負けてないよ。


 だけどこっちは私人形以外の攻撃が相手に効いてないから、このままだとジリ貧なんだよねぇ。唯一有効なのが私人形の小さい剣ってどういうことよ?

 ってか勇者め、私人形に紐つけて振り回すとかどういう了見よ。私人形は鎖鎌じゃないんだってば。見るたびにあの人形がボロボロになってってたのって勇者くんが振り回してたからだったのか。帰ったらドアップ様に言いつけとこ。


 勇者くんとの間合いが広がる瞬間を狙っておじゃーさんも魔法で攻撃してる。私も子羊を召喚して妨害だ。私の攻撃は全く効かなかったから子羊くらいしか有効打がないんだよ。南無(ナム)~。


 ムニムニたちはもっとひどい。せっかく連れてきたのに全く戦力になってないじゃん。まぁ、この速さで打ち合う2人に割って入るのは難しいし、仮に割って入れたとしてもムニムニたちはコス魔の魔法を防げないだろうからしょうがないのか。


 んー、ホントどうしようかな。コス魔コス魔と馬鹿にしてたけど強さは本物だ。しかもやっぱり時間がたつほど動きがよくなってってる。気のせいじゃないっぽい。

 勇者くんがたまに負傷するようになってきた。負傷するそばから私が回復してるけど、このままじゃ負けちゃうって。果物を食べた人はお酒マン並に強くなるんじゃなかったの? それだけ魔王が強いってこと??


「んなばらばああああああああああああッ!」

「うっせー!」


「く、魔術師XX殿は無詠唱なのにいちいち絶叫するのはXXXXXX」


 コス魔の悪態の後に勇者くんが小声でグチる。

 え? おじゃーさんて無詠唱なの? いつも叫んでるのってただの絶叫? 衝撃の事実なんだけど。その絶叫やめてもらっていいかな?


 おじゃーさんがまた絶叫して魔法を飛ばし、勇者くんとコス魔がうるさそうにする。

 コス魔め、魔法は効かないとか言ってたけど、それにしてはおじゃーさんの魔法を嫌がってるっぽいんだよね。

 ……ん? なんかうっすい防護膜みたいな闇魔力を纏ってるのか。それでおじゃーさんの魔法を防いでるっぽい。でもなんかちょっと違和感……。


 あ! なるほどね!

 たぶん時代があってないんだ。たぶん昔はアレでどんな魔法も防げたんだと思う。けど今の魔法にはあってないんじゃない?

 そういや、魔法は魔術として研鑽されてきたって誰かが言ってたなぁ。つまりコス魔は魔法は防げても魔術は防げないんだ。


 股間の魔道具の中で感じた火属性と風属性が今の人たちの使う魔術なんだとしたら、私の使ってるのは魔術じゃない。技術のないただの魔法だ。だからコス魔に私の魔法は全く効かなかったんだ。だから今の魔術を使うおじゃーさんの魔法はちょっと効いてるってことか。


 でもじゃぁどうして、おじゃ魔法がコス魔にダメージ入っていないのか? それはたぶん、単純に威力不足なんだろうなぁ。普通に防御力も高いってことなんでしょ。もっと高威力の魔法使い、いや、魔術師がいればなぁ。このままだと負けはしなくても勝てない。それどころか時間がたって魔王がもっともっと強くなっちゃうと負けちゃうよ……。


 ――ズバーン!


 勇者くんとコス魔が離れた一瞬を突いて超極太ビームが魔王を飲み込んだ! なんだなんだ!? 増援!? いったいどこから!? どこの誰が!? まぶしくて見えない!

 あ! あそこにいるのは……!


 鳥籠メイドさん!?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
↑一日一回クリック下されば嬉しいです。
― 新着の感想 ―
きた!メイドさんきた!これで勝つる!
空を見ろ、鳥だ、鳥籠だ、いやメイドさんだ!!
なまじ言葉がわかるから辛さ倍増wwwww 朝からクッソ笑うw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ