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小さな妖精に転生しました  作者: fe
一章 王妃の病
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003. 馬車の屋根から

 貴族の馬車を助けてから私は、その馬車の屋根の上に隠れたまま運ばれていた。


 森を抜け休憩をはさみ、今はのどかな田園地帯を移動している。すごく広い空の下、少し小振りだけど青々とした作物がサワサワと風に吹かれ、そんな優しさに囲まれた道をガタゴトと馬車が進んでいく様は、まるで自分がファンタジーRPGの中に入ったような錯覚に陥らせる。


 馬車のまわりを騎兵が数十騎取り囲んでいて、空にはバカでかい白い虹が浮かんでいる。周りを取り囲む騎士と大きな大きな白い虹がファンタジー色を爆上げしてくれていて、私のテンションは天井知らずだ。



 太陽を見ると少しずつ右へ傾いていっているように思う。ここは北半球なのかな。南半球なら太陽は左に動いていくはずだよね、たぶん。すると今は東へ向かっているのか。そしてあの巨大な白虹がある方向は南だ。私が出せるホログラムのような地図には周りの人間や魔物の位置がリアルタイム表示されるほど高性能だけど、方角などの情報はなかった。


 そう言えば結構な時間が経っているけど、あの白虹は消えずにずっとあるね。普通の虹ならとっくに消えていそうなもんだけど、やっぱ普通の虹じゃないのかな。あの大きさと 太陽や地平線の位置関係から考えると、白虹の真下は赤道付近になるんじゃないかな。そうだとすれば、あの白虹は赤道をくるっと半周近くは覆っていることになる。めっちゃでかい。



 しかし馬車の旅は思った以上にヤバい。揺れが半端ないのだ。人間サイズならお尻が痛い程度で済むのかもしれない。でもこれ妖精サイズだと上下の揺れ幅がものすごく大きく感じる。想像してみてよ、20cmほど上下に揺れる乗り物を。これはきついって。絶叫マシンかよ!




 日が傾き始めたころ一行が停止した。む、今日はここで野営?


 少し大きめの木の下で道幅が広くなったスペースに馬車が止まると、何やら会話した後に騎士たちがテントを張って食事の準備をしだした。あの美人な銀髪ちゃんは出てこないけど、代わりにメイドさんが出てきてテキパキと動いている。相変わらず言葉は何を言っているのか分からなかった。


 ぼーっと観察していると衝撃的なことが起こった。魔法を使ってる!


 何人かの騎士やメイドさんが食事の準備になんと魔法を使いだした! ちっちゃな魔法陣が指先に光ると火が出てくる。この世界の人間は魔法が使えるのか! でも野盗と戦っていたときは誰も魔法を使っていなかったよね。どうしてだろう? 戦闘に使うほどの威力は出ないということなのかな?




 ふと、私はお腹が減っていないことに気が付いた。妖精になってから何も食べていない筈なのに、目の前で食事の準備をされていても全く空腹を感じないのだ。すでに理解している、自分は何も食べなくても生きていけるということを。改めて私は、人間じゃなくなったんだなぁと思った。


 それでも、馬車の中で銀髪ちゃんが飲んでいる甘そうな紅茶は飲んでみたい欲求にかられる。どうやらこの体は甘味を求めているようだ。


 どうにかして見つからないように甘味を拝借できないかと狙っていると、気付けば朝だった。どうやらいつの間にか寝てしまっていたみたいだね。馬車はもう動き出していて、私はひどい馬車揺れに飛び起きたのだった。



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