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小さな妖精に転生しました  作者: fe
七章 勇者と魔王
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284. 神域の魔物

 妖精人形を投げ込んだ場所から離れた位置に居た魔術師が詠唱を始めたのが見える。それを見て俺はすかさず紐を引っ張り妖精人形を回収、詠唱中の魔術師へ再び妖精人形を投げ入れた。


「うぎゃぁ!」

「ひっ!? このッ!」


 そう、この妖精人形は改良版なのだ。

 妖精人形には紐が括り付けてある。その紐を強く引っ張れば投げ入れた人形を回収することができる。しかも、弱く引っ張ればその向きによってある程度人形の進行方向を操作できる優れものだ。この紐は妖精が帝国第二皇子を縛り付けていた紐で、いくら妖精人形が暴れてもこの紐が斬られる心配もない。


 さらに手元のスイッチを押しながら引っ張ることで、人形の胸に付いている動力源の謎石を引き剝がすことができる。緊急停止機能付きだぜ。

 欠点としては、紐が届く範囲でしか使えないって点か。母上が知れば激怒しそうな使い方だが、まぁ、バレなければ問題ない。


「あの魔法陣の上で倒れてる奴らは儀式の贄だろう。あいつ等を救出すれば儀式が止まるかもしれない。特に神域の民の救出は必須だ。突撃して掻っ攫う。多少強引でも良い。引っぱり出せ。行くぞ!」


「ハッ!」


 光の妖精剣を横薙ぎに振るい、広範囲に光の斬撃を飛ばす。

 先程は簡単に防がれた手だが、この混乱の中では防げなかった奴もいくらか出た。さらに何度も斬撃を飛ばして開いた穴に突っ込んだ。

 妖精人形を回収して片手で投げ縄のように振り回し、もう片方の手で光の妖精剣を振り回しひたすら斬撃を撒き散らす。魔術師相手の定石は攻撃詠唱の隙を与えず防戦一方にさせることだ。


 怪しい魔法陣の上を突っ切り、後ろから付いてきた騎士達が倒れた者達に槍を引っ掛け引き摺りだした。多少負傷するだろうが死ぬよりマシだろう。死んでなければ妖精ポーションで回復させられるからな。


「おのれファルシアンのゴミ共! しかしもう遅い! もう儀式は止まらんのだ! ぬおおおおお!」


 先程まで意気揚々と喋りまくっていた魔術師が一際(ひときわ)大きい魔力を放ち叫び出す。斬撃を飛ばして妨害してみるが、他の魔術師に防がれてしまった。

 黒い霧のような何かが吹き出し爆風のような風が突き抜けていく。


「ぬおおおお! ()でよ! 神域の魔物よッ! ファルシアンのゴミ共を喰らい尽くせ!!」


 のそりと黒い何かが立ち上がる。

 でかい! 王城の剥製ドラゴンよりでかいぞ。まるで一瞬にして砦を建てたかのようだ。あまりのでかさに足元の魔術師達は何人か踏み潰されてしまっているじゃないか。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


 うるっせぇ!

 しかもなんて威圧だ。騎士達にも動揺が走る。

 普通の魔物じゃないのは見ただけで分かるが……、神域の魔物だって? まさかコイツが魔王なのか? コイツなら世界を焼き尽くしたと言われても信じられる。まったく、なんてモノを呼んでくれたんだコイツらは。


「ははは、はははは……、はーっはっはっはっは! 終わりだ! これでファルシアンは終わりなのだ! 行け! 神域の魔物よ!」


 ――ズドーン!


 そのとき、突然空から木製の玉が降ってきた。そしてでかい魔物に当たり、……魔物は絶命した。


「……」


「……」


 沈黙が流れる。

 勝ち誇った顔で笑い狂っていた魔術師と目があった。……なんか、居たたまれないな。

 全く理解できない展開だが、予想はできる。


 どう考えても妖精(アイツ)が原因だろ。


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― 新着の感想 ―
デッドボール!
妖精サマは全てをわかっておられるからね~
あいつ(妖精)が原因だな。
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