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小さな妖精に転生しました  作者: fe
七章 勇者と魔王
285/342

281. 目的達成

 ぬぅ、なんだこの鳥共は!?

 異常な魔力量の人間はもう目の前だと言うのに!


 あの莫大な魔力を奪えれば、あとは魔法国の男達が魔王封印を何とかできるという話だった。たとえあの男達に何とかできなかったとしても、これ程強固な結界を貼れるこの女が居れば魔王の再封印も可能かもしれない。そうも思えてきた。


 だと言うのに、あと1歩のところで、この鳥共め!

 小さな小鳥から腰高程の大きな鳥まで様々な種の鳥共が群がってくる。槌を振るっても宙に浮く軽い鳥共にはあまり効果がない。床に打ち潰してやろうとしても器用に避けられる始末。普通の鳥ではないのか!?

 だが、たかが鳥だ。突っ切れないこともない。


 そう思ったのだが、先程塁壁の上で戦った光の刃を飛ばす男が追ってきた。どうやら動揺して時間をかけ過ぎてしまったようだ。

 だが、先程の光の刃、あれはここで使えないだろう。仲間を斬り刻むことになるからな。


 予想通り、ここで男が光の刃を飛ばしてくることはないようだ。であれば落ち着いて行動すれば……。

 向かってきた男に冷静に槌を横薙ぎにする。先程は振り下ろしを避けられたがこれなら避けられまい。吹き飛べッ!


 しかし男は吹き飛ばなかった。

 渾身の一振りを止められ腕が痺れる。見た目ばかり豪華な盾で俺の槌が受け止められた。そんな馬鹿な。

 そして男は動揺した俺に木の棒を振るってきた。いくら光の刃を使えないからと言って、たかが棒で殴って俺を止められるつもりか? 笑わせてくれる!


 ――バシッ


「やぁボク果物の木だよと言っても本体はお城にいるんだけどここのボクとお城のボクの意識は同じと言えるのかなそれとももう別物?まぁそんな細かいことは今どうでも良いよねそれよりだいぶ好き勝手してくれて」


 !?


 な、なんだ今の意思の濁流はッ!?


 ――バシッ


「へぇキミのお仲間たちは捕まっちゃったんだでもそれって自業自得だよねだってボクの主を襲ったんでしょうだったらキミも捕まえちゃおうかな魔王の封印?でもそれってボクに関係な」



「ぬぅ! ハァ……、ハァ……。なんだその棒は!?」


 触れるだけで大量の意思を頭に流し込む魔道具か!?

 なんと恐ろしい。この国はこの魔道具でドラゴンや妖精を洗脳し使役しているのだ! 言語が異なる俺にも明確な意思を流せるのだから、言葉を使わないドラゴンなどの魔物にも有効なのだろう。やはり邪悪な国だったか!


 ハァハァ……、落ち着け。

 男の持つ盾や洗脳の魔道具は恐ろしいが、動きは普通の人間だ。以前馬車を襲った際に抵抗してきた男のような異常な強さはない。あの棒に当たらなければどうと言うことはない筈だ。男の洗脳魔道具と鳥共の波状攻撃は煩わしいが、動けないという程ではない。


「XXXXXXXXXXX!」

「XXXXXXXXX!」


 む、敵側の増援か。

 聖域外の人間など相手にはならないが、このまま膠着状態になれば不利なのはこちらだ。しかし問題はない。要はあの莫大な魔力を放つ女を攫ってしまえば良いのだから。


「うおおおおおおッ!」


 魔法国の男から貸し与えられた魔道具で女の莫大な魔力を吸いながら鳥の群を突っ切りそのまま捕らえる。女は結界の維持に集中しているためかほぼ無抵抗だった。このまま脱出すればこちらの勝ちだ!


 そうして砦の一室から出た瞬間、何かが俺に向けて飛んできた。


 コイツは!? 妖精だ!


 妖精も連れて行けばこの上ない成果! よし……、いや!

 これは人形だ! 外から走ってきた女が妖精を模したただの人形を投げつけてきやがったのか。


「ぬあっ!?」


 隙を晒したからだろう。光の刃が俺の片足を斬り飛ばす。

 あの男め、仲間が射線から外れる瞬間を狙っていたのか。これでは女を連れての脱出は難しい。しかし、俺1人なら聖域の外の連中からなど片足でも逃げ切ってみせる!


 女は攫えなかったが魔力は十分に吸った。

 目的は達成だ。


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― 新着の感想 ―
劇物投入!
木の棒に分かれてもこんだけ喋る元気が有るとは 喋らない木の方って愛想尽かされてない…?
先読みしすぎてさすようがすごいw
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