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小さな妖精に転生しました  作者: fe
七章 勇者と魔王
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278. カティヌール

 ようやく山越えも半ばか……。

 カティヌール王であるワシ自らが戦地に赴いているのは、決して洗脳されているからではないぞ。

 我々を洗脳し利用できていると思っているのだろう。なめられたものだ。エネルギアが各地で洗脳していたことなど既に掴んでいると言うのに。その方法もな。

 あ奴らは他国の間諜を洗脳して自分達の情報源にしている。それも、戦略的な決断による行動ではなく、単に自国の間諜不足が理由で仕方なく洗脳という手段を多用しているのだ。


 我がカティヌールがこれまで他国との敵対を避けてこられたのは高い情報収集能力のためである。間諜不足の集団が付け焼き刃で情報収集を行ったところで我々に勝てると思うなどおこがましいにも程があると言うもの。


 昨年までエネルギアがファルシアンを上手く陥れることができていたのは、サルディア帝国の優秀な間諜達のおかげだったのだ。戦争慣れしていないエネルギアだけであそこまでの工作などできる筈があるまい。

 その帝国が抜けた今、エネルギア単独で取れる手などたかが知れている。しかも、飛び抜けて優秀であった魔術師の老人は既に死亡したという。


 それに、あのエネルギアの男共は最早エネルギア王家とは何も関係はなく、落ち延びた1魔術結社に過ぎない。エネルギア強硬派集団とも言うべきか。そんな胡散臭い連中の言う事を鵜吞みになどする訳がなかろう。



 ファルシアンが危険なのは事実だ。

 妖精やドラゴンだけではない。転移や透明化の魔道具を接収したことも大きな脅威だろう。それらの魔道具を悪用すれば暗殺や工作などやりたい放題なのだから。しかし、それはエネルギアにも同じことが言えるのだ。


 そして、現時点でもファルシアンにはエネルギアにはない恩恵がある。

 妖精の噂を聞きつけた多くの者がファルシアンへ向かっており、南方からファルシアンへ向かう者達は我がカティヌールを通るのだ。それだけでカティヌールは昨年よりも潤っておる。


 昨年見限った相手ではあるが、できれば友好関係を再築したい。そうして転移や透明化の魔道具の対抗手段を訊き出しその情報を広く拡散すれば、ファルシアンを脅威と感じている南方諸国の理解も得られるであろう。


 あわよくば妖精の恩恵も……。

 ニーナがファルシアン王家か高位貴族と婚約を結べておれば、もっと話は簡単だったのだがなぁ……。まぁ、それは良い。


 とりあえず、洗脳されたふりをしてエネルギアの者共をファルシアンへ連れてくることはできた。

 ここまでの大軍を動かしているのだから、今頃ファルシアンもこちらの動きに気付いたであろう。1国の軍が山越えするのにはかなりの時間がかかる。気付かぬ筈がない。それでも、普通であれば今頃気付いたところで対処に間に合う筈などないのだが。


 しかし、普通が通じる相手であればサルディア帝国もエネルギア王国も負けはしなかっただろう。相手は普通ではないのだ。当然、既にこちらの動きに対策している筈。


 ファルシアンには聖王国の元聖女が居る。エネルギア強硬派集団は知らぬだろうが、先日の王太子と元聖女の婚姻の儀で天より光の玉が授けられたのだ。

 こちらがいくら大軍を用意しようと、ファルシアンが聖女の結界を張れば手出しなどできはしまい。

 そこでエネルギア強硬派集団を裏切り、ファルシアンと協力して挟み撃ちにするのだ。それで全てが解決する。


 エネルギア強硬派集団は既にエネルギア王国とは無縁なのだから、それでエネルギア王国と敵対することもない。ファルシアン王国には諸悪の根源を捕らえるための演技であったと言って、捕らえたエネルギア強硬派集団を引き渡せば関係も改善するだろう。


 やっかいなことにエネルギア強硬派集団は各地に散らばっておるが、それでもここにいる主要人物を捕らえることができれば残りの有象無象など自然消滅するだろう。

 我がカティヌールでは洗脳を未然に防ぐしかできないが、ファルシアンには洗脳を解く術もあると言う。主要人物を捕らえ洗脳者を洗い出し、その洗脳を解けば憂いは残るまい。


 さぁ、山は越えた。



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― 新着の感想 ―
待ってました! 更新ありがとうございます!
更新キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!! どうなるかwktkする
おかえり~
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