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小さな妖精に転生しました  作者: fe
七章 勇者と魔王
276/342

272. 知らんけど

 なんか人がいっぱい集まってたから私も参加してみたんだけど、ボーッと話を聞いてて思ったことがある。色んな魔王の伝説があって、どれが正しくてどれが間違ってるのかってみんな考えてるんだけど、いやそれ、全部正しいんじゃない?って。なんて言うか、どのお話も全部強引に1つにまとめられるような気がするんだよね。


 総合するとこうだ。

 その昔ガルムって魔王が居た。魔王の名前は1つしか出てきてないから確定だ。で、世界を焼いたり昼を夜にしたり、ムニムニ伝説では衛星を1つ壊したって話だ。その話を全部信じるなら、とりあえず魔王は衛星を壊したことになる。だって他の話が漠然とした悪行なのに対して、これだけやけに具体的なんだもん。


 そう考えると他の話もつながってくる。

 地上を焼いて暴れまわってた魔王がある日、衛星をぶっ壊した。

 衛星を壊すくらいの攻撃魔法を空に向けてぶっ放したのなら、そりゃぁ柱っぽく見えただろうと思うんだよね。だから魔王が1本の柱を建ててそれが"塔"になったってのも納得だよ。


 んで、衛星が壊れて惑星の()になった、つまり"橋"とか"塔"になった。……んだけど、普通に考えたらその前にたぶん、衛星の破片がこの星を覆ったと思うんだよね。恐竜絶滅の隕石衝突説で聞いたことあるもん。


 だから太陽の光が届かなくなってずーっと夜だった時期があったんじゃないかな? 今のガルム期なんて比較にならないくらいずーっと暗い時期がさ。ってなワケで、昼を夜にした魔王ってのも話がつながるってもんよ。

 それで、そんな惑星規模の災害を生き抜くために聖女さんの国じゃ結界を張ったんだと思うんだ。

 どうどう? 完璧な推理じゃない?


 それより驚いたのが、ムニムニが惑星と衛星の概念を知ってるっぽいってことだよ。でもお城の人たちは知らないっぽい。

 どうしてムニムニだけが高度な天文学知識を発達させることができたのかって考えると難問に思える。だけど逆に考えると簡単に推測できるんじゃないかな。


 つまり、ムニムニだけが高度な知識を養えたんじゃなくて、他の人たちが高度な知識を後世に継承できなくて忘れちゃったんだって。魔王ガルムが衛星ぶっぱして惑星規模の災害が起こったのが事実なら、文明退化くらい起きててもおかしくないよね。昔は今より天文学が優れてたけどそれが魔王災害でロストテクノロジーになっちゃったと考えれば自然ってもんだよ。


 だけど、天文学の知識がないみんなだと話がつながらないんだろうなぁ。このまま待ってても無駄に時間かかるだけな気がするよ。ってことは私が説明しないとなんだけど、これをみんなにどう伝えるかだよなー。


 宇宙とか衛星とか惑星の()とか言っても、ムニムニはいざ知らずお城の人たちには理解できないだろうし、下手に科学的に言い過ぎちゃうと無意識に宗教を否定してしまうかもしれない。そうなると嫌われる。それはダメだ。嫌われたら悠々自適なペットライフが終わっちゃうもん。


 ってなワケで、色々省略して必要最低限のことを神話っぽく説明してみた。ま、伝説が全部本当ってことを前提にした上での、ただの私の個人的な推測でしかないんだけどね。

 だから、そもそも伝説が間違ってれば今話した私の推測も間違ってる可能性は大きい。だけど、それは伝説がウソだっただけで私がウソついたワケじゃないよ。そこんとこヨロシク、私はみんなの話をまとめただけなんだってね!



 それで話は終わったのかと思ったらまだ続くらしい。


「ムニムニ! ムニムニムニムニ!」


「……妖精様、彼らは魔王のXXXXXXXXXXXXXXX欲しいと懇願してXXXXX。どうか、彼らにXXXXを」


 なんだって? 何が欲しいって?

 よく分からないけどムニムニが何かを欲しがってるらしい。私の試作特産品をまるっと全部かっぱらってったくせにまだ何か欲しいのか、この欲しがりさんめ。


 別にいらないモノならあげても良いんだけど、変に効果の高いモノをあげるとまた国際問題になるかもしれないんだよなぁ。だって、ガキンチョにあげたふにゃ剣が国際問題になってたって聞いたよ私。


 うーん、まぁ、ゴミならあげても良いか。

 ってなワケで、書庫で見つけたゴミをムニムニに押し付けてやった。喜べ、私が描いた素晴らしいクッキーの絵だぞ。私が死んだあと後世で価値が爆上がりするかもしれないよ? あり得ないだろうけど。だってゴミだし。


 とか思ってたらムニムニたちが思いのほか喜びだした。銀髪ちゃんも羨ましそうに席を立って身を乗り出してる。

 ええ……、もしかしてこの世界の人たちのセンスってちょっと日本とはズレてる? そう言えばそのゴミも透明ケースに入れて大事そうに保管されてたな……。ええ……。


 ふと見ると、勇者くんがクッキーを物欲しそうに見ていた。あー、さすが勇者くんだよね。みんなが真面目っぽい話してるのに話に飽きてクッキー食べたいとか思ってるなんて。

 しょうがないから勇者くんにクッキーを差し出したら、なんかギョッとした顔をして受け取らなかった。さすがに会議中はマズいと思ったのかな? おいしいのに。



 その後はなんか、木がどうたらとか話をしてた。

 ムニムニの故郷の木が枯れそうだから植え替えたいらしい。だから新しい木を運ぶのを手伝えって? いやいや、木みたいなでかいのを飛ばす力は……、ドラゴンに積めばいけるのか? うーん、でも何本運ぶのかとかどれくらいでかいのかとかわからないしなぁ。


 べつに、木を枯らしたくないだけならその木に治癒魔法をかけるだけで良いと思うんだけど。それか、その場に新しく木を生やせばてっとり早いのに。

 でも、今すでに森の中に生えてる木を移動したいって言うのなら、そうしないとダメな理由があるってことか。


 知らんけど。



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― 新着の感想 ―
[一言] なぜだろう・・・妖精様が凄く賢そうに見えるんだぜ・・・。
[良い点] 皆んなが、妖精様に、魅了(騙)されていくところ♡ [一言] 始めて、前世の知識が役にたったのをみた(°▽°)
[一言] やばいやばい。その謎を解いちゃったら終わっちゃう。 まだまだ笑わせてほしいのに。
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