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小さな妖精に転生しました  作者: fe
六章 聖王国
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237. 逃亡

 あーもう!

 まったくまったくまったく、どいつもこいつもどいつもこいつも!


 突然のことだったけど、精霊様がお戻りになり光の玉が向こうからやってきた。後は今の悪い状況の原因を色々と蛮国の連中に擦り付けて光の玉さえ奪っちゃえば全て丸く収まったのに!

 光の玉は本物でも偽物でも良かった。本物なら結界を張って終わり、偽物なら蛮国との関係悪化で混乱した隙に逃げられるんだから。


 そう思っていたのに、どうして突然洗脳が解けたワケ? さっきの光は何なのよ!?

 せっかく少しずつ増やした下僕達が全部無駄になったじゃない!


 そう言えば、蛮国は帝国との戦争の末期、帝国とエネルギアが広めた蛮国内貴族の洗脳を一気に解除したって話だったわね。いったいどうやってと思っていたけども、光ったら突然綺麗さっぱり解除されるなんてふざけんじゃないわよ。少しは洗脳する側の苦労も考えて欲しいわ。蛮国ってそんなに技術力が高いワケ?


 蛮国の技術力と言えば、冷静に考えるとさっきの姉達(あいつら)の様子もあり得なかった。

 悔しいけど(あの女)は見違える程綺麗になっていたのよ。それだけじゃない。お母様なんて綺麗になったどころか明らかに若返っていたわ。お母様が失踪してからまだ5日よ? たったの5日で10歳以上も若返って見えるようになるなんて有り得ない。蛮国にそんな美容技術があったなんて。だいたい、お母様はどうやって5日で蛮国の連中と合流できたのかしら? やっぱりあのときのアレは精霊様だったってこと?


 それに、冬でも城内が寒くない高度な暖房設備ですって? そんなの帝国の城にも無かったわよ。暖房は普通に暖炉だったし、気候の違いもあって冬は聖王国よりも寒かったわ。


 蛮国らしく民を飢えさせて戦争関連の技術だけを特化して高めてきたのかと思っていたけども、どうやらそうじゃなかったみたいね。

 こんなことなら(あたし)が蛮国に嫁ぎに行けば良かった。わざわざ(あの女)なんかを代わりにすることなんてなかったんだわ。そうすれば結界も消えなかったし(あたし)もこんな目にあうこともなく高度な美容技術を使えたのよ。



 ……今更そんなことを言ってもしょうがない。これからのことを考えないと。

 洗脳は解かれちゃったワケだけど、私じゃないって誤魔化すことはできるかしら? 蛮国の連中が原因だと騙せる?


 ……いえ、無理ね。おかしくなった直前に聖女()に会っていた。そんな証言が全員から出てくれば誤魔化すなんて不可能だわ。となると一刻も早く逃げなくちゃ。


 もう少し準備してから逃亡する予定だったのに、どうしてこうも予定通りいかないのかしら。

 でもまだ最悪の状況じゃないわ。帝国を通してエネルギアの洗脳技術を手に入れた際に、エネルギアの魔術師上層部が国を脱出して再起を図っているらしいと聞いた。その集団に合流できれば私の安全を確保できるだけじゃなく、蛮国への仕返しも可能かもしれない。


 魔術的に価値のある聖王国の聖女が、割れたとは言え人類の至宝だった光の玉の破片を持ち込めば、倫理観の欠けた魔法職なら手放しで歓迎するハズよ。それなりの地位も得られるに違いないわ。


 ――こんなところで終わってたまるもんか。絶対に逃げ切ってやる。



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― 新着の感想 ―
[一言] 頭のネジはずれたマッド共に実力は皆無で頭も空だけど素質だけは最高&変わった素材持ち込みとか完全に被験体ルートなんだよなあ…。
[良い点] 目論見が軒並み潰れて元の木阿弥一歩手前。 大局観から退却しなきゃと、さっそく行動に出ても。 妖精の行動どーせいっていうんだろうね(_’
[良い点] めげないな~流石は魔女だ
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