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小さな妖精に転生しました  作者: fe
六章 聖王国
234/342

230. 到着

 ふぁぁ、なんか微妙な目覚め。

 絶対にこの時間に起きなきゃいけない睡眠って、もしかしたら妖精になってから初めてかもしれない。なんか寝てても心のどこかで起きないとって思いがあって安眠できなかったよ。


 それはそうと、そろそろ着くハズだ。伸びをしてから鳥籠の外に出ると、ドラゴンに乗っているみんなは死屍累々だった。え、寝てないの?


 私が起きたのに気づいたみんながバッとこっちを見てくる。え、こわ。もしかして通り過ぎたとか? 地図を出して確認してみる。まだ目的地まで距離はあるよね? うーん、なんかモニョるけどまぁ良いか。そろそろ減速しだしとこう。



 目的地っぽい場所が見えてきた。特に何もない森の中だ。()りようとしたら聖女さんに指先で肩を引き寄せられすごい形相で首を振られた。


 え? ここじゃない? もっと向こう?

 でもお酒マンが転移したのはここだと思うけど……。でもまぁ、ここじゃないんだろうね。じゃないと聖女さんの出身地が森の中になっちゃうもん。



 もう1度スピードを出してさらに進む。と、突然聖女さんと(セイント)お母さんが指をさし始めた。え、そこ? いやいや、もうこの距離じゃ止まれないって。止まろうと思えば止まれるけど、その場合みんな前に投げ出されるよ。死んじゃうって。


 みんなが「わー!」とか「あー!」とか色々叫んで、通り過ぎた瞬間に「ああっ!?」とか「あぁ……」とか色々なリアクションがあがる。まぁまぁ、ちょっと失敗しちゃったけどこれも旅の醍醐味だって。

 とりあえず目的地はわかった。地図にもマッピングされたし後はUターンしてさっきのところに行けば良いよね。



 十分にスピードを落としてそろそろ旋回できるかなって頃合いになると、鳥籠メイドさんが何かブツブツ言い始めた。え、もしかしてすごい鬱憤たまってたりする? そんな呪詛みたいなの垂れ流されても……、って、うわー!?


 突然鳥籠メイドさんが地上に向けて極太ビームをぶっぱなした! 鳥籠メイドさんの怒りが火を噴いたーッ!? ドラゴンの右旋回に合わせてビームが地上を薙ぎ払っていって、吹き飛んだ土が壁のように舞い上がり、さらにビームに合わせて北から南へ土壁が移動していく。

 わ、しかも人いるじゃん! 極太ビームで渓谷みたいな縦長の穴が開いたすぐ先に、なんか人がいっぱいる。


 あ、でも赤点だ。さっき目的地を通り過ぎてから地図を出しっぱなしにしてたから気付いたけど、鳥籠メイドさんがビームぶっぱした地上の人たちは赤点だった。つまり敵対関係だったりするのか。

 基本この世界は平和っぽいんだけど、たまに思い出したように人殺しが平気で起きるからめちゃくちゃ怖いよ……。


 とか思ってたら、ドラゴンの旋回の遠心力でロープで拘束してた人がふっとんでった。やば、ロープで縛ってたからあの人だけ踏ん張れなかったのか。間一髪でドラゴンの左後ろ足でロープ男のキャッチに成功する。あぶないあぶない。



 想定外はあったけど、聖女さんの誘導でなんとか目的地らしい場所にたどり着けた。結構大きな街だ。街の中央に青いドーム屋根で白壁の宮殿がある。

 いつもいる街はアーチ形状が宗教的な意味を持ってるっぽかったけど、ここはアーチ状のモノがそんなに見えないな。建物もなんか様式が違う感じがするね。そこここにドーム屋根が見えるし。後でここも観光しようっと。


 聖女さんの指示で宮殿の前の広場に()りようとする。けど、下りるにはドラゴンの足に掴んだロープ男が邪魔だ。先に地面に下ろすか。牢屋に捕まってたってことは罪人なんでしょ。ちょっとくらい雑に扱っても許されるよね。ぽいっとな。


 無事着陸して周りを見ると、なんか武装した人たちに囲まれてる。いきなりドラゴンでお宅訪問はまずかったか。でもこっちには聖女さんと(セイント)お母さんがいるからね、執り成してくれるでしょ。


 そう思って聖女さんと(セイント)お母さんを浮かせて地上に下ろす。だけど険悪な雰囲気はそのままだった。そして武装集団を割って若い男の人と女の人がやってくる。やってきた女の人の方はなんとなく聖女さんに似てる気がするな。聖女さんのピンク髪を金髪にして目をキツくすればあの女の人になると思う。姉妹かな?


 聖女妹カッコ仮さんが出てきたとたん、ドラゴンの上のみんなが一気にピリついた。銀髪ちゃんなんて思いっきり睨んでるじゃん。こわ。

 銀髪ちゃんは聖女さんと結構仲が良かったと思ってたけど、妹さんとは仲が悪いのかな。聖女さんも(セイント)お母さんもなんか微妙な態度だし……。


 そう思って見てると聖女妹カッコ仮さんがヒステリックに喚きだした。

 あー、ヒステリック系かー。たぶん相手すると疲れる系の人だ。それに悪意みたいなのをすっごい感じる。話も進んでない感じだし、ちょっと驚かせて黙ってもらおうかな。


「グオオオオオオオオオッ!」

 ――ドスッ


 本邦初公開、ドラゴンの雄叫びです!

 どうよ、カッコイイでしょ? 聖女妹カッコ仮もびっくりして黙り込んだし。


「ちょっと! 光の玉を落とすなんて馬鹿XXXXXX!?」


 と、思ったら聖女妹カッコ仮がまた叫びだした。えー……。

 たしかにドラゴンの口に咥えさせてた玉が地面に落ちちゃったけど、別に問題ないじゃん。壊れてないし、誰にも当たってないのに。もし壊れてもまた作れるよ。それとも地面の方の心配かな? 草地だから大丈夫かと思ったんだけど。



 うーん、観光目的でついてきたけどちょっと後悔してきた。ついて来ない方が良かったかも……。あ、けどついてこないと帰りに困るか。

 でもまぁ、私はただの付き添いだ。つもった話を律儀に聞く必要なんてないよね。みんなの用事が済むまで観光してこようかな。とりあえずみんなを地面に下ろしてっと……。


 んじゃぁ、ばいばーい。夕方には戻ってくるよ。



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― 新着の感想 ―
[良い点] なんだろう。 投げっぱなしジャーマン → 空中で追いつく → そのままパイルバンカーでフィニッシュ みたいな展開だ。 いいぞ、もっとやれ! 薙ぎ払え!
[一言] 敵地のド真ん中に置いて行きやがった!
[一言] 相変わらず自由ですねぇ…。
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