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小さな妖精に転生しました  作者: fe
六章 聖王国
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213. 西の現状

「妖精様、今西の地では鳥籠で鳥を飼うのが流行っておるのですよ。妖精様にあやかった幸福が訪れると言う話でしてな。私など、苦労して妖精様の髪色、服色を再現した小鳥を見つけさせた次第ですぞ、はっはっは!」


 お父様が妖精様に小鳥を見せて嬉しそうにされておられます。

 突然、辺境伯都に妖精様が来られたという知らせを受けた際には驚きましたが、働き詰めのお父様には良い息抜きになっているようで安心しました。


 ティレス王女殿下がご滞在の間はお父様も気丈に振舞っておられたのですが、エネルギアによる被害は大きく片付ける問題は山積みのようで、日々の笑顔もどこか悲壮感が漂っておられたのです。それがどうでしょう、久々にお父様の心からの笑顔を見た気がしますわ。



 辺境伯領は西の隅にあると言っても結構な広さでして、直接的にエネルギアの被害を被った地域とそれほど関わりがなかった地域に分かれました。元々エネルギアは友好国であったこともあり、被害のあった地域となかった地域で認識に差が出過ぎたのです。そのため領内で諍いに発展することも少なくないとか。


 また、西側の領主の多くは戦死や負傷のため代替わりとなり、様々な調整が必要なようです。聞いたところでは先代領主同士での借金問題といったトラブルも、寄親であるお父様が仲裁しているそうですわ。


 そのため、森の中でエネルギアから受けた襲撃により破損した王家の馬車も、回収が後回しになっているそうです。王家の許可を得て後回しにしているとは言え、王家の紋章付き馬車が悪用されないとも限りません。春前には回収しないととお父様が呟いておられました。

 そんなお父様が今は心から笑っておられるのです。妖精様には感謝しかございませんわ。



「妖精様、こちらはティレス王女殿下より頂いた妖精様のお人形でございますのよ」


 (わたくし)も頂いたお人形を妖精様にお見せしたりと、大変楽しいお時間を過ごさせて頂きました。しかし翌朝、妖精様はすでに屋敷内には居られなかったのです。


「お父様……」


「なに、心配はいらんさ。妖精様の背後には書状が浮いていただろう?」


「はい」


 確かに昨夜、妖精様の背後にお手紙が浮いておりました。妖精様が一切話題にされないため、こちらもお尋ねすることはできませんでしたが……。


「王家の封蝋だった」


 お父様が目を伏せて考え込むような仕草をとられます。

 ……つまり、現在妖精様は王家の命で任務をこなされているということでしょうか。王女殿下より妖精様は王国のために様々な貢献をされているとお聞きしておりましたが、(わたくし)は勝手に妖精様は助言をしてくださるなどの相談役かと思っておりました。まさか伝令のような直接的な行動をされているとは。


「妖精様は我々に会いに来られたという訳ではないのだ。書状を持って辺境都(じゅう)を飛び回っておられたということは、人探しの途中なのだろう」


「何かお手伝いできるようなことは……」


「やめておきなさい。王家の書状だ。我々が知るべきでないこともあるだろう。妖精様も何もおっしゃられていなかったからな」


「そうですね……」


 妖精様も王国のために働いておられる。私より幼い王女殿下ですら、敵国を討ち国を守られたのです。(わたくし)にも何か、王国のために役立てはしないのでしょうか……。



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― 新着の感想 ―
[一言] ここで宛先だけでも確認していれば……
[良い点] しかしこの妖精…何も知らないのである!
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