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小さな妖精に転生しました  作者: fe
六章 聖王国
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210. 冴えてる

 何かの会議があった数時間後、なぜか私はみんなにお見送りを受けている。

 コートにマフラーという完全防寒装備、そして頭上に上げている両手には手紙……。手紙と言っても人間サイズだから結構でかい。


 会議中になんとなく頷いちゃったことで、また何かを引き受けちゃったことは分かる。でも今までも色々引き受けてきたけど、なんとなく流されてれば問題なく終わってたから、今回もそんなに心配なんてしてなかったんだよね。そう、さっきまでは。


 これ、もしかしなくても私1人で何かしてこいってことだよね? 誰もついてこようとしてないし、さぁ飛び立てって感じでみんな私を見てるもん。


 ……1人でってヤバくない? 誰に頼ることもできず自分で判断して依頼を達成しなきゃってことだよね? それにはつまり、状況判断や臨機応変さとかそういう諸々の問題の前に、依頼内容を完璧に把握してるってことが大前提だよね?


 えーとえーと、依頼内容って何だ?

 このお見送りされてる現状、今更どこへ何しに行けば良いかなんて絶対訊けない雰囲気だよ!

 考えろ、よく考えるんだ私! こんな状況に陥ったのは会議中に頷いちゃったことが原因だ。絶対あのとき何かを引き受けたんだ。間違いないって。


 直前は誰が発言していた?

 んーと……、ああそうそう、勇者くんだ。つまりこの状況、またしても勇者の差し金ってことか! 許さんぞ勇者め! 槍でも食らえ!

 ぬぅ、また避けられた。やめだやめやめ、今は八つ当たりなんてしている場合じゃないってホント。このピンチをなんとか切り抜けないと……。


 確かあのとき、手紙がどうのって言ってた、……気がする。鳥みたいに手紙を届けて欲しいなって。

 そして今、私の手には1通の手紙……。なるほどなるほど、要するにこの手紙を届ければミッションクリアってことだよね。でも誰に? もしくはどこに?


 まさか私の知らない場所の知らない人に届けろなんてムチャぶりは、いくら勇者くんでもしないだろう。人の頭や顔を無遠慮にぐりぐりしたりしてくるけど、それくらいの常識や良心は持ってると思う。


 ということは、私が知ってる人か知ってる場所へ届けるってことだね。さらにわざわざ私に頼むってことは、人間だとなかなか行くのが大変な場所ってことが予想できるよ。

 空の上なんてことはないだろうから、単純に考えれば遠い場所だ。私が知ってる場所で1番遠いのは北にあった海沿いの港町か……。

 でも港町なら船で行けると思うんだよね。わざわざ私に頼むんだから、雪が積もってて行くのが大変な陸路な気がする。


 じゃぁ、私が知ってる人で今陸路で遠くに行ってる人は……。

 おじゃーさんか。確か西へ行ってるハズだ。なるほどなるほど、ビンゴな気がする。この手紙をおじゃーさんに渡せば、んでもって返信も受け取ってくればミッションクリアだね!


 西に向かったおじゃーさんにこの手紙を届けるとして、じゃぁ具体的におじゃーさんがどこにいるかだけど……。

 私が全く知らない場所なら、私に手紙を届けて欲しいなんて言わないんじゃないかな。だってそんなのムチャすぎるし。

 となると私が知ってる西側の場所は、この街から西に延びる街道沿いで銀髪ちゃんに出会った森までだ。つまり街道沿いに西に向かえばなんとかなる気がする。


 よしよし、やっぱ私って冴えてるじゃん。じゃぁ行ってきまーす!


 私は手をふって勢いよく飛び出した。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 妖精「いったいいつから、目的地が西だと錯覚していた?」
[一言] 一同「(妖精様逆方向に飛んでいったんだが???)」
[一言] 鳥かごメイドさんフォローしてあげてっ
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