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小さな妖精に転生しました  作者: fe
六章 聖王国
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190. 期待

「ルァ」

「ラ」


「いいえ、ルァ、です」

「ア!」


 ドラゴンを改造してしこたま怒られた翌日から数日、鳥籠メイドさんとの勉強の日々が続いている。ホントもう勘弁して欲しい。


 でも、なかなかこの国の言葉を聞き取れなかった原因がなんとなく分かってきた。まず名詞のみ単体で発言するときと、文中で出てくる場合とで音が変わるのだ。例えば妖精を表す「アシェール」という単語は、文中に入って何かの条件を満たすと「アシェーア」や「アシェールァ」みたいに違う音に聞こえる。何の条件を満たすと変わるのかは未だに分からないけど。


 それにたぶん、母音が5つより多い。あいうえお表を作ると5段じゃなくて6段か7段くらいになる筈だ。「あいうえお」の5音だけという先入観が頭から抜けなくて、音の違いがなかなか聞き取れないよ。


 子音も日本語より多い。少なくてもラ行は絶対2種類以上ある。音がこもったラ行と高く綺麗なラ行は別の音として扱われてるっぽいんだよね。


 さらに発音も問題だ。発音時のクチや舌の形も教えてもらうんだけど、私の場合クチを動かして発音しているんじゃなくて、風魔法で音を出してるだけ。だから鳥籠メイドさんのクチの形を模倣すれば良いだけじゃなくて、そのクチの形で流れる風を読み取って風魔法で再現する必要がある。つまり、ちょームズい!



 それから、だんだんと言葉が分かってきたことと反対に、私の中である疑問がどんどんと大きくなっていく。それは、おじゃーさんの呪文だ。おじゃーさんは「おじゃー!」と唱えて魔法を使っていたけど、習った言葉の知識だけだと何の意味にも翻訳できない。


 気になるけど、今おじゃーさんはいないっぽいから確認できないんだよね。いったい「おじゃー」にはどんな意味があるんだろう。




 朝から続く勉強会は昼過ぎに終わり、ようやく解放される。夕方にはお風呂のお湯を出すことを要求されるけど、それまでは自由時間だ。とりあえず勇者くんにいたずらをしてから、その日何をするか考える。あまり物を作るなと注意されたので、何かを作ることは選択肢にないよ。


 そう言えばここ数日で新しく分かったことがある。ドラゴン騒動の後から結婚の話題がチラホラ出てたんだけど、どうやら結婚するのは金髪兄さんの方らしい。そしてお相手はなんとなんと、聖女なんだって。


 聖女と言えばファンタジー、ファンタジーと言えば聖女と言っても良いほどファンタジーな存在がもうじきやってくるっぽい。実際にファンタジー聖女パワーが使える特別な存在なのか、宗教的地位だけの胡散臭い存在なのか、どちらなのか気になって夜しか眠れないよ。


 魔法や魔力がある世界なんだから聖女パワーも実在している可能性は高い。鳥とかめっちゃ体にとまってたり、チョウチョが周りを飛び回っていたり、野生動物が優しい目で後ろから付いてきたりするんだろうか。もしそうならめちゃくちゃファンシーだよね。後光とか出てるんかな。


 もしかすると精霊や妖精みたいなファンタジー生物も引き連れてるかもしれない。そうなったら、ついに私も同種と邂逅してしまうのか……、緊張してきた。


 んー、気になる!



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― 新着の感想 ―
[一言] 讓妖精反過來教他們日語也是可以
[良い点] そういえば妖精さんの同種は戦争中でも全然見なかったですね。 ネイティブの発音が全然できないってことは国とは関係なくたまたまファルシアン王国領内に発生した世界唯一の存在なのかな? [気になる…
[良い点] ルァがア!になっちゃう妖精さんあざとい [一言] これは聖女改造計画の前ふりですね?
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