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小さな妖精に転生しました  作者: fe
四章 収穫祭
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156. 帝国の想定

「今のところ、敵に動きはないようです」


「うむ、こちらも初日は動かん。ガルム期が始まっても先走って動くなと(みな)に言っておけよ」


「ハッ」


 当初は越境トンネルを抜けて王国軍をやり過ごし、直接王都を叩く予定だった。しかし、越境トンネルの出口であるトロールの森に上位種が現れたため、その作戦は不可能となってしまった。よって現在、こうして王国軍と国境を挟んで睨み合いをする羽目になっている。


 それでも、あの胸糞悪い大臣の計画ではこちらが大分優勢となる筈だった。しかし、王都地下に毒を放ったことで夏頃には王都を中心に病が広がっているという話だったが、王国に病が広がったような気配は一切ない。


 また、ポーション買い占めにより王国のポーションを枯渇させる作戦。これも奇跡のポーションとやらの出現で全く無意味になってしまった。大方嘘であろうが、1瓶で瀕死の淵から完全回復するという。それを信じた馬鹿が想定以上の力を発揮してくるのは脅威だ。恐怖を感じない敵ほど怖いものはない。


 さらに、事前にしかけたスタンピードは、たった3人で防衛に成功したという。その話を語った絵本を嫌味のようにわざわざ帝国まで流通させてきよった。絵本には誇張が大分含まれるのだろうが、戦力の全くない状況でスタンピードを防がれたのは事実だ。であれば、妖精の加護を得た剣士や魔術師が出てくる可能性もあるか……。



「それから、離れていた第2王子や有力貴族も国境線に戻ったようです」


「そうか。通達通り第2王子は殺すなよ」


 王族の癖に今までもフラフラと最前線に出てくる馬鹿王子め。帝国に生かされてるだけとも知らず毎度毎度よう出てきよるわ。これまでに王国の優秀な奴は優先的に殺してきたが、同時に馬鹿は意図的に生かしてきた。馬鹿だらけの王国など取るに足らん。


 そうだ。正面切って相対する羽目になったものの、負ける筈がない。馬鹿な大臣が先走って敵城を襲撃した際には強力な魔法剣で返り討ちにあったそうだが、その魔法剣も奪取に成功している。


 最も想定外だった妖精も、敵城襲撃時に片腕を失い今は行方知れずだそうだ。この場には出てこんだろう。ファルシアン王も負傷して長くはないらしい。


 また、王国に雨が降り始めたとは言え、いきなり豊作になる訳ではない。食糧難で戦力は落ちたままの筈だ。



「例の魔剣はどうだ? 使えるようになったか?」


「いえ、まだ魔法を飛ばすことには成功しておらず……」


「そうか、……まぁ良い。このままここで1日待機だ。上手くいけば王国でもう1度スタンピードが起こる。その混乱に乗じて突っ込むぞ」


「ハッ。――しかし、スタンピードが発生しなかった場合はどのように?」


「その場合も同じだ。ガルム期2日目の朝に動く」


「承知しました」


 馬鹿ばかりの王国に勝つのは当然として、問題はその後だ。ガルム期初日からあちら(・・・)も動くと聞いている。あちら(・・・)に良いところを取られぬよう、国境を抜けたら最速で王都を落とす必要があるな。その後は大臣をどう失脚させるか……。


 ――こんなところで躓く訳にはいかん。



これにて四章完結です。

次章が最終章になりますが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 四章完結おめでとうございます! \(^o^)/ [気になる点] 妖精様は話せる様になるのか?! [一言] 妖精様最高! (๑•̀ㅂ•́)و✧
[一言] 4章まで、お疲れさまです、5章も楽しみです。
[一言] 見事に偽情報に躍らされておられる
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