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小さな妖精に転生しました  作者: fe
四章 収穫祭
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149. 頷くな

 で、で、で、出たーッ! おじリーダーだ!!

 絶対に頷いてはいけない会談が始まるぅ!



 外に行こうとしたら鳥籠メイドさんが不思議な踊りを踊るので、今日は何か予定があるんだろうなぁと思っていたら、ついに来てしまったかぁ。


 おじリーダーにドレス商人さんとトリプルお針子さん、クッキー姉さんズと、それからいつも通り暇そうなドアップ様と銀髪ちゃん、その2人のお付きのメイドさんたちがゾロゾロとやってきた。おじサブはいないね。


 さて、今日は何を出してきて何を言ってくる? 初手おじリーダー、ごついカバンを2つ取り出して開ける。き、金貨だーッ! うひょー、妖精グッズロイヤリティのお支払いが前回から2倍になってる! 儲けてんねぇ!



 そして私は見逃さない。その間にお針子さん3人がせっせとクローゼットから小さいドレスを回収しているのを。10段くらいに仕切られてびっしり詰められたクローゼットから、3段くらい空きを作っている。これはまさか……。


 で、出たーッ! 私用の秋用ドレスだーッ!? ドレス商人さんが以前より生地が若干厚めのドレスをテーブルに並べていく。前回、前々回のドレスだってまだ全部着てないのに、まさか季節でドレス総取っ換え? 儲かってんねー。


 そしてなんと、今回はブーツのリベンジがある。前に履かされたときに痛くて投げやってから靴は用意されていなかったけど、改良してきたというのか。男性陣が出て行って着せ替えショーが始まった。ドアップ様はニコニコだ。でも銀髪ちゃんはめっちゃ機嫌が悪い。


 イヤリングをあげたときはすごく喜んでたのに、この3日で何かあったのかな? あれか、王様(フラッシュさま)フライング事件か。自分の父親が部下を集めて鳥の模型に乗って空を飛ぼうもんなら、年頃の娘なら「お父さんやめて恥ずかしい!」って不機嫌にもなるよね。そっとしておこ。



 ドレスは若干ゴワゴワしてるけど問題ない。装飾のバリエーションも増えたっぽいね。そしてブーツ。前回は裸足にブーツだったけど、今回は靴下が用意されていた。


 さらにブーツも色々と頑張ったんだろう、フットパーツとレッグパーツの2つに分かれている。小さ過ぎて普通に1つのブーツとして作るのが難しかったのかな? まずスリッパのようにツマサキだけ入れて、その後靴底から伸びた革で足を覆っていくと普通の靴になる。それから別パーツでスネ部分を覆う構成だ。


 履き心地は……、良くはないけど履けないこともないか。あとは慣れれば大丈夫かも? 私が頷くとトリプルお針子さんたちが喜んだ。ハッ、しまった! さっそく頷いてしまったよ。


 着終わったドレスはどんどんクローゼットに詰められていく。鳥籠メイドさんは何が何処に詰められたかチェックしているみたいだ。あの量を把握するとか大変だと思うんだけど、把握できるんだろうなぁ。何気に優秀だし。



 着せ替えショーが終わった後、妖精印のクッキーと不思議なお茶が出された。なんかすごく花の香がするハーブティーだ。これは初めて出されたね。飲んでみると独特の味がする。現代日本と比べてもなかなか美味しいけどよ。さすが異世界、まだまだ知らない味が出てくるな。


 いつの間にか戻っていた男性陣が、今度は棺桶みたいな箱を6箱も出してくる。……嫌な予感がするよ、まさかね? おじリーダーとドレス商人さんがフタを開けていくと、で、で、出たーッ! 私人形6体だーッ!? すでに部屋に1体あるから総勢7体の私人形がこの部屋に揃ってしまった。


 マジ? それ量産するの? 驚愕しているとニコニコ顔のドアップ様が1体1体できをチェックしていった。なるほど、ドアップ様は人形が好きなのか。いや、小さくて可愛いモノなら何でも好きなのかもしれない。私の着せ替えショーもニコニコで楽しんでたからね。


 ドアップ様はチェックし終えた人形を、わざわざ私の方に向けて立たせてくる。こっわ。6体の等身大で無表情な自分に囲まれてみ? 恐怖しかないって。



 そうしてついに、おじリーダーが何やら言ってくる。ここだ、ここが正念場。今までの私とは違うということを思い知らせてあげよう。何せ私は、ほんの少しだけだけど言葉が分かるようになったんだもんね。


 えーと、1……、いや、6か? それから最近よく聞く単語、名詞であることは分かる。……たぶん収穫祭だ。うーん、1と6と収穫祭? 第16回収穫祭開催ってこと? で、その収穫祭で食べ物? 料理? 駄目だ、全然わからん。


 話し終えたおじリーダーが私のリアクションを待っている。ドアップ様も他のみんなも待機モードだ。やばい、プレッシャーぱない。頷くか? 首を振るか? 妖精って単語が頻繁に出てきてたのが心配になる。私への呼びかけで妖精って言ってるときもあったっぽいけど、明らかにそうじゃない文脈でも妖精って単語が出てきてた。


 うーん、今ここで首を振るのは簡単だ。だけどよく考えてみて? おじリーダーは妖精グッズで金貨をあれだけ稼いでいるのに、今のところ私には特に利益がないんだよ。もしかすると今の話が私への支払いとかご褒美という可能性もあるじゃない? その可能性は限りなく高いハズだって。


 そう思えば頻出していた妖精という単語も理解できる。「いやー、妖精グッズめっちゃ儲かりましたわ、ホンマおおきに! ほならご褒美は……第16回収穫祭で盛大に!」って話だ。ここで首を振ればそのご褒美を断ることになるんじゃ……? うごごご……。


 私は頷いた。



おじリーダー:商業ギルドマスター

おじサブ(おじサブリーダー):商業ギルドサブマスター

クッキー姉さんズ:商業ギルド女性職員2名

ドレス商人さん(ぽちゃ商人さん):ドールショップオーナー。妖精のドレスや妖精人形を手掛ける

トリプルお針子さん:ドールショップのお針子さん3名

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― 新着の感想 ―
[一言] これはあれですか、テレ東の池の水抜くあれですか。 外来種の大物が出たときのような声が聞こえた気がしましたよ。
[良い点] 妖精さま!!! 頷いてはダメだとあれほど!! ww wwあぁ〜草生える〜(((*≧艸≦)
[一言] ・・・うなずいた? ど、どうなる!?
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