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小さな妖精に転生しました  作者: fe
一章 王妃の病
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013. 第2騎士団

「お疲れのところ呼び出してすまないね」

第2騎士団中隊長を仰せつかっている俺は、騎士団長に呼び出された。


 俺は騎士の平均よりも少し体が大柄だが、騎士団長は平均的な体格をしておられる。ただ、髭面の眼光は鋭く、まだ30代前半とはいえ歴戦の猛者という風格を纏われている。



「いえ、報告が必要なことが多々ありますから」


「大筋では聞いておるよ。大変だったね、帰りに野盗に襲われ帰還したらすぐ捕物騒ぎだ。さらに一夜明けてそのまま雨の中妖精の捜索、なかなかに濃い時間だったね」




 俺は前日まで、隣国に赴かれていた第一王女殿下の護衛隊長を務めていた。


 本来王族の遠出には精鋭である近衛騎士が付く。ただ、今回は第一王子殿下と王女殿下が同時に別々の隣国を訪れることになった。


 第一王子殿下の道程には、あまり整備もされていない高い山がそびえ危険な魔物も多い。そしてそこを抜けても南側諸国は文化的にあまり友好的とは言えない国々だ。


 それに対して王女殿下の道程にはそれほど危険はなく、行先も友好国であった。よって、近衛騎士は第一王子殿下に随行し、王女殿下の護衛には我々第2騎士団から選出されることになった。


 しかし安全かと思われたその帰路で、異常に強い野盗に襲われたのだ。



「で、これがその野盗共の剣かね」


「そうです。やけに業物で気になり持ち帰りました。服装や防具は野盗らしく粗い装備でしたが、武器だけはこのとおりです」


「確かに、この剣は野盗が使うにしては業物だな。食糧難から野盗に堕ちたにしては不自然だ。この剣が人数分あったのだとしたら、それを売れば良かっただろうに」


「それだけではありません。奴ら魔力を纏っていました、素人ではあり得ません」


「報告は受けておるよ。それまで庶民だった者が訓練もなく身体強化して戦える筈がない。何者だと思う?」


「構えや撃ってくる技はバラバラでした、そこからは判断できません。ただ、今の情勢では帝国が関わっているのではと」


 帝国とは東隣のザルディア帝国だ。数年前まで我がファルシアン王国と戦争状態にあった。5年にわたる戦争で両国は疲弊し、現在は休戦状態となっている。終戦はしていないのだ。そのため第二王子殿下が国境警備部隊を率いて目を光らせている。



「確かにな、しかし証拠がない。で、その際に件の妖精に助けられたと」


「はい。かなりの負傷をした者も含め一瞬で全員が治癒され、次いで野盗が纏っていた魔力以上の強化魔術をかけられました」


「ふむ、その強化はまだ効果が続いているのか?」


「いえ、切れています。ただ、あれから他の者も含め体の調子が非常に良いと」


「そうらしいね」


「できるだけ早く王都に戻る必要があったとは言え、王女殿下は遠征に不慣れです。替え馬などありませんのに馬を使い潰す勢いで戻るよう指示されてしまいましたが……、馬は潰れるどころか最後まで普段より調子が良さそうでした」


「なるほどね。西門からも報告が挙がっている、妖精から一定範囲内に入った門番たちの古傷が癒えたらしい」


「まさか。我々が西門を通り抜けた際にですか? あのときは本当に通り抜けただけでしたよ。妖精も馬車上から顔を覗かせてはおりましたが、何かした様子はありませんでした」


「しかし報告が来ている。妖精に近づくだけで古傷すら癒えるのだ。一緒に行動していた お主たちや馬の調子が良くなるのも納得できる」



「はぁ……。確かに王女殿下も並々ならぬ興味を抱かれておりました。しかし今回、真に気にするべきは野盗の方だと思われます」


「そうかもしれないね。今日の街での妖精捜索で、帝国の者と思われる怪しい奴らも捕縛できた。思った以上に入り込まれているのかもしれない」



 先の戦いで帝国も疲弊している。我が王国は帝国以外の隣国が西の友好国で、南は高い山に隔たれておりこちらに興味がない様子、そして北は海だ。帝国のみに注意を払っていれば良い状態。


 しかし帝国はそうもいかない。我々以外の敵国が反対側にあり、下手にこちらへ攻め込もうものなら背面から襲われることになるため、表立ってこちらに攻めて来ることはないと思われていた。


 俺もそう信じていたが、水面下ではこちらに様々な手を打ってきているのかもしれない。我々が気付いていないだけで……。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 構えや撃ってくる技はバラバラ ほうほう正規兵じゃないですね、とすると傭兵かファンタジーで良くあるあの職業か…。 帝国も王国ばかりに構ってるとヤバイ状況ですか。
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