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小さな妖精に転生しました  作者: fe
四章 収穫祭
120/342

117. 綺麗な

 妖精様の北方慰問、私たちはそれに同行しています。まさか10歳で海が見られる機会を得られるとは思いませんでした。楽しみです!


 王国の北側は、良くなってきたとは言え未だ続く不作、近年なかった双子神様の逆流による被災、それから領主家お取り潰しによる旧バスティーユ領民の風評被害とか、色々問題があるみたいなのです。なので妖精様が慰問という形で、王都から北の港町まで往復されることになりました。


 初めて見た逆流は王都ですらそれはもう凄いものでしたし、公爵家のお取り潰しなんて初めて聞きました。ここ数年びっくりすることばかりです。でも大丈夫、妖精様がひとたび通れば萎れた作物は回復し、逆流被災の負傷者は全快、良いこと尽くめなのです!


 それから、チラッと聞いたところによりますと、バスティーユ元公爵の処刑を妖精様に見せたくないって思惑もあるみたいです。残存帝国兵や王城侵入経路の調査、どうやって国境警備隊に気付かれずに国境を越えたのかを調査する間、帝国の注意を北に逸らすとか、色々あるみたいですね。


 同行してくださっている騎士様の1人は、今後2分される旧バスティーユ領の片方を統治されるそうです。その挨拶とかも兼ねているのかもしれません。今は代官様が治めているそうです。


 私には難しくてよく分かりません。私は妖精様のお世話を頑張るのみです。船内の割り当てられたお部屋を妖精様が快適に過ごせるように準備したり、それが終わると馬のお世話と馬車のお掃除、やることはたくさんあります。妖精様がご使用されていない間に鳥籠も綺麗にしておかないと。



 午後、ふと気づけばシルエラさんが妖精様に絵本を読み聞かせていました。妖精様は言葉が通じるものの、王国文字の読み書きはできないんだそうです。ただ、文字の概念や書くという行動は知っておられるようで、使用されている文字が私たちと違うのだろうと学者先生がおっしゃられていました。


 なので、妖精様に絵本を通して王国の文化と文字を知って頂くのかと思って見ていたのですが……。


 シルエラさんを見ていると、どうも文化や文字を教えていると言うよりは言葉そのものを教えているように見えますね。同じ文章を複数回読んだり、モノの名前を言いながらその絵を指さしたりしています。犬が描かれている絵を指して、「これは犬」と何回も言ったりしているのです。シルエラさんは、妖精様に言葉が通じていないと思っている?


 疑問に思ったので訊いてみようとしたところ、突然妖精様が嘔吐されました!


「わ、わぁ、妖精様! 大丈夫ですか!?」

「甲板にお連れします。あなたは水とタオルを用意してきてください」


「はい!」



 船酔いでしょうか? まさか妖精様が嘔吐されるとは夢にも思いませんでした。何故なら妖精様はこれまで排泄もされなかったからです。食べたモノが何処に消えているかは分かりませんが、食べたらすぐに消えると思ってましたよ。とりあえず、急いで水とタオルを用意してこないと!



「妖精様! 濡れタオルですよ」


 水とタオルを用意して甲板に出ると、妖精様は河に向かって嘔吐されていました。ああ、おいたわしい。


 この河は王都や周辺都市の排水がそのまま流されていますので、もともと非常に汚い河です。なので河に嘔吐するのは問題ありません。しかしふと河を見ると、妖精様のキラキラと光る吐しゃ物を受けた河は汚れるどころか、広範囲が綺麗になっているのでした。


 さすが妖精様! 吐しゃ物も綺麗なのですね!



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― 新着の感想 ―
[良い点] 吐いたもので河の浄化はひどいwww
[良い点] キラキラした物を吐く(NOT イメージ図)
[一言] これが本当のお吐瀉物ですわね(((
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