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小さな妖精に転生しました  作者: fe
四章 収穫祭
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115. 戻ってこない

「帝国だと思うか?」

「……それしか考えられないでしょう」


 5日間予定されている帝国兵侵入経路調査の1日目を終えて、帰還した2隊で話し合う。


 俺の隊は王城地下から延びている地下道を担当した。もともと王族の脱出路であったため、王族が居なければ発動してしまう罠がある可能性が懸念され、第二王子である俺の隊が担当したのだ。


 しかし、1日かけて王族脱出路を捜索した結果、そこからの帝国兵侵入の痕跡は見つけられなかった。やはり地下道に繋げられていた下水道側から侵入したのだろう。


 本日帰還したもう1隊は、直接地下に入らず地下道への侵入経路を外から探していた隊だ。つまり、下水道へ入った隊は誰も帰還していない。


「高齢の魔術師団長殿もいるが、スタンピード中は脱糞しながら戦っていたそうじゃないか。案外、下水の異臭も気にならないとか?」


 無いと分かってはいるが、状況整理は必要だ。自分であり得ないと思う想定が、他人もあり得ないと感じるかの確認は必要だろう。


「戻るタイミングは各隊に任されていたとは言え、定期連絡は義務付けられています。それが無いとなれば、連絡すらできない危機的状況に陥っているとみるべきですが……、全隊がそのような状況に陥ったとなれば下水道の潜在的な危険ではなく、やはり帝国から何かしらの妨害を受けたと思われます」


 1人の兵が答える。まぁ、そうだろうな。



「帝国兵を見つけて追跡中という可能性は?」


「たとえ追跡中だとしても、連絡要員を送るでしょう。それすらできない奇襲を受けたか、挟み撃ちを仕掛けられたか……、もしくは罠という線も考えられます」


 そうだな、そうだろうな。もう確定だ。調査隊は帝国の妨害を受けた。直接戦闘か間接的妨害かは分からんが。



「帝国兵は居ると思うか? それとも設置型の罠だけだろうか?」


「最悪を想定しておくべきです。帝国兵が未だ下水道に潜伏していると考えましょう」


 他の面々からの反論もない。帝国兵はいる。それが総意だ。



「そうだな。じゃぁ、次の行動だ……。2手に分かれて広範囲を捜索したいが、別行動は危険だろう。各個撃破される可能性がある。2隊一緒に行動するとして、じゃぁ何処から入る?」


「その前に、増員できないのですか? それから殿下は捜索隊から外れるべきと判断します。王族脱出路の調査には殿下が必要でしたが、調査範囲が下水道に絞れたことで殿下が参加される必要性は無くなったかと」


 うーん、やっぱ行くなと言われるか。でも行きたいだろ、この状況。面白そうじゃん。さて、どう理由をこじつけてやろうか……。



「まず、増援は要請しよう。ただ、すぐには無理だ。装備やら鳥やらの準備に時間がかかる」


 戦闘用装備だけじゃなく、地下で数日過ごす携帯食料などサバイバル装備が必要だ。また、各隊1羽ずつ用意した鳥。地下で息ができるかを確認するために鉱山から借りてきている鳥だ。予備は2羽しか居らず、それ以上の部隊を入れるなら追加で借りてこなければならない。


 大人数を2隊に纏めるのは却下だ。狭い下水道で同時に行動できる人数には制限があるだろう。明日からの増援は厳しい。別の鳥で代用するにも、急いで明後日からだな。


 増員要員は問題ない。今回の編成は衛兵で構成されているので、第2騎士団がほぼ余っている。北へ行った妖精の護衛として6人抜けているが、それ以外はまるまる残っている筈だ。



「それから、俺は行くぞ。面白そうだからな!」


 捜索隊から外されない理由を考えたが、特に思いつかなかった。



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[一言] 第二王子いい味だしてるー!ひゅー! ヘイトキャラがでてくるとうーんてなること多いけど、なぜかfe先生のヘイトキャラは舞台装置として数えてしまいます。妖精さまのキレイな『めっ!』が下りそうだw…
[一言] このままだと、だっふんだおじさんが盾の勇者になってしまう。
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