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小さな妖精に転生しました  作者: fe
四章 収穫祭
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100. 何かのパレード

 うぇーい! うぇへへーい!


 私は今パレードのほぼ先頭にいて、街の人たちはみんなパレードを見物している。何のパレードかよく分からないけど、きっと今日がお祭りの本番なんだ。山鉾(やまぼこ)巡行だ。うぇーい!



 今朝起きたら部屋にはすでに、メイドさんたちを中心とした色んな人がいた。そして朝から化粧にドレスになんやかんやで、そのまま西門まで連れてこられてしまった。


 西門の外がパレード参加者の集合場所だったようで、そこで整列してパレード開始。受付(しょう)さんやお酒マンもいたんでちょっと挨拶にでも行こうとしたんだけど、鳥籠メイドさんが不思議な踊りを踊ったのでやめておいた。



 通りの中央をパレードが進み、通りの脇には見物人でいっぱい。みんな笑顔だ。両脇の建物の2階や3階からも人が顔を出して紙吹雪を投げている。この紙吹雪、後で誰かが掃除すんだよねぇって思うと大変そうだったので、紙吹雪が舞ったそばから花びらに変えていった。エコだよこれは。



 パレードの先頭はでかい旗を1本ずつ持った2人の歩兵だ。応援団が掲げるようなでっかくて縁に金糸のぴらぴらが付いてるヤツ。1本はたぶんこの国の国旗じゃないかな。晴れの日の朝にお城の広場に掲げられる旗と同じっぽい。もう1本は何の旗かは分からないけど。


 その次に音楽隊で、ぱっぱら音を奏でている。その次が私が乗る黒い豪華な天井のない2頭立ての馬車だ。金縁があしらわれていたから、そこをエレクトリカルに光らせている。


 パレードに音楽は付き物だから音楽隊が先頭なのは分かる。と言うことは、その次が実質先頭みたいなもんだ。つまり私がほぼ先頭だ。ほぼ先頭なんだから私が主役と言っても良いんじゃないかな。私はこの街で結構人気者だし、お祭りのパレードの主役に選ばれても不思議じゃないよね!



 鳥籠メイドさんはパレードに参加していなくて、代わりに銀髪ちゃんが乗っていた。私はそのまわりを適当に飛び回っている。御者は知らん人。


 銀髪ちゃんも笑顔で手を振っているけど、銀髪ちゃんも笑えたんだなぁ。いっつもムスッとしてるイメージだったよ。今度なにか笑えるオモチャでもあげようか。でもなぁ、まだ小さいけど雰囲気は大人っぽいし、オモチャじゃ喜ばんか? この歳ならアクセサリーとかの方が嬉しい?



 私がいる馬車の後ろに騎士団。騎士団はフルプレートみたいな重装備じゃなくて、要所に金属装備があるだけの割と軽装だ。その代わり荷物がかなり多い。旗を掲げてる騎士もいるけど、パレード用のきらびやかな装備じゃなくて機能性重視の装備に見える。なんか華が足りない気が……。


 あー、これってかなり前にお城から出発していった一団かな。ようやく帰ってきたんだ。帰ってきてそのままお祭りに駆り出されるなんて結構忙しいのかもなぁ。


 街の観光に一区切り付いてるし、そろそろ騎士団とかも見てみたかったんだよね。でもずーっと騎士団っぽいのは留守っぽかったし見れてなかったんだ。今度じっくり見に行こっと。



 騎士団の後ろには、よく分からないけど檻が引かれている。このお祭りの由来や趣旨が分かれば、あの檻の意味も分かるのかなぁ。もしかすると、昔に何かすごいモノを捕まえたことがこのお祭りの由来かもしれないね。


 檻の後ろにお酒マンと受付(しょう)さん、それから筋肉オバケと小太りさんが乗った馬車が続いて、その後ろに冒険者がいっぱい徒歩で付いてきている。冒険者が参加するパレードだから、何かすごい魔物を捕えたことを祝うお祭りなのかな。



 筋肉オバケと小太りさんは冒険者ギルドのお偉いさんだ。受付(しょう)さんもお城の会議とかに参加してたし、もしかするとお偉いさん側なのかもしれない。


 そこまでは分かるんだけど、なんで一緒にお酒マンがいるのか分からんのよね。いっつもお酒飲んでボサッとしてたけど、もしかしてすっごい偉いさんだから働かなくても良かったんだろうか。であればもっと媚を売っておいても良かったかもしれない。


 そう言や、筋肉オバケは南に行ってたはずだけど帰ってきてたのか。船で大量に冒険者を移動させてたはずだけど、後ろで歩いてる冒険者ももしかして帰ってきたばっかだったりするんかな。みんな大変だねぇ。



 前ではぱっぱら音が鳴っているし、沿道の歓声は途切れることなく大音量だ。馬がこんなに歩いてるというのに蹄のかっぽ音はほとんど聞こえない。すご。


 銀髪ちゃんが手を振れば、その方向の歓声がさらに大きくなる。銀髪ちゃん大人気だね。私? 私はほら、小さいから手を振っても遠くからはよく見えないんだろう。手を振っても歓声が大きくならないのは不人気だからじゃ断じてない。



 パレードが進む西門からの道は、ゆるやかな左カーブだ。前が見通せない状況から徐々に中央広場が見えてきた。以前は水の出ていなかった噴水も、最近は元気に(ふん)(すい)している。そして噴水の前に、何やら白い布を被せられた物体が立てられていた。さらにその横には、おじリーダー。


 中央広場に着いて、私が乗っている馬車は広場を一周してから止まった。パレードの面々で噴水を取り囲んだ形だ。私の馬車の横にパレード最後尾の冒険者がいる。音楽隊は白い布の前に移動した。



 しばらく待っていると、騎士団の列を大回りで避けて冒険者ギルドの馬車がやってきた。んで、白い布の前にお酒マンが立つ。え、このお祭りの主役ってお酒マンなの? てっきり私が主役なのかと思ってた……。やば、ちょっと恥ずかしい。


 そして何やら式みたいなのが始まった。お祭りだからね、神様への祝詞みたいなもんかな? 音楽隊の音に合わせておじリーダーが白い布を引っ張る。ぱぱぱ~というファンファーレと共に現れたのは……、お酒マン像だった。



 なんでぇ?



読者の皆様のおかげで100話を迎えることができました!

ありがとうございます!


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんでぇ?な妖精ちゃんかわいい。 妖精像が出てきたらやめろ〜って怒るか恥ずかしがるかしそうだからコレで良かったんじゃ……
[良い点] 祝・100話
[良い点] イラストの肉団子おいしそう
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