プロローグ
【プロローグ】
さて、おなじみの異世界転生モノ。
(前略)...(中略)...神様が...
などありまして(それぞれの"略”は適当に補ってね!)、この世界にやってきました。
とりあえず、神様から説明は受けた。
まあ、これもおなじみの中世ヨーロッパ的な世界ね。基本的に前世の物理法則は、ここでも通用する。そして魔法と言えるようなものはあるらしい。だけど、細かなことは知らないから、自分で確かめろって。ということは、炎や水を作り出して、武器にして戦ったりとかはないね。質量保存やエネルギー保存の法則なめるな!
もちろん、魔物やゴーストもいない。進化なめるな。この世界でも、ヒトの発生は、単細胞から始まり、無脊椎動物の時期を経て、脊椎が形成され、魚類を経てヒトの形になり出生となる。「個体発生は系統発生を繰り返す」ってやつだ。すなわち、魔物やゴーストといったものは、存在し得ないってことだ。ただ、環境や進化の過程が、やや異なっているので、前世では存在しなかったような、変な生き物はいてもおかしくはない。この世界に適応できたものが生き残ることができ、そして、現在生存しているのだから。
で、ここは、いい加減な世界。以前は「間違えるのが、20回に1回未満であれば問題ない」というのが常識だったのに、「ヒトは真実を知ることができないから、なんかあった後に考えればいいんだ」っていうことになった。って、ついに開き直りやがったよ!
あっ!この世界の宗教はね、「たらめな数字の羅列」を聖書とする「乱数教」なんだって。大抵のことはこれで決める。神のお告げだね。聖書にもいくつかの宗派があるけど、聖書の多数派は日本人が書いたものだ。いったいだれが持ち込んだんだろう?
で、生きていかねば死ぬ(当たり前)。人生の目標?なにそれ美味しいの??甘えたこと考えているんじゃないよ。とりあえず、明日まで繋げるため今日を生き延びる。そうして、いつか明日が迎えられなくなる。だから、その前に子供を産み、育て次につなげていくのが最大の目標だね。結婚?まあ、それは形式的なものだからオプションでいいよね。その前に相手が必要だろうって?金や権力があればどうでもなるよ!まあ私にはそれがないのが問題だけどね!!
で、生きていくためには食わねばならない。食べるためには、必要なものを自分で作り出すか、他人になんらかの恩恵を与え、それに対する対価物(お金、食べ物など)を入手しそれで生きていくことになる。要するに仕事しろ!ってことだね。働かざるもの食うべからず...っていうか食えないよ?死んじゃうよ、仕事しないと。
それじゃ、やばいことをやるっかって?証拠や裁判もなしに、神のお告げで死刑か無罪だよ。半々じゃないよ?めんどくさいから一般人は、9割死刑ね。持ってる人は持ってるもの全部取られちゃうって感じ。で、その次は死刑ね。単純だね。当面生き延びることができても、まず生き続けることはできない。だから犯罪が全くないわけじゃないが、そのリスクは無視しても問題ないらしい。で、なんやかんや仕事はあるし、ちゃんと働けばなんとか生きていくことはできる。そのはずだよ?いや、そこまでひどい設定じゃないよね??
...落ち着けわたし。
仕事?一応手に入れた、すでに。っていうか、それが転生の条件だったよ。この神様、ヒトの世界に直接手を下すことはなく、大雑把にみているだけ。めんどくさいからね。でもそれじゃ、娯楽もなんにもないから、面白そうな情報をもってこいと。
まあ、情報分析が、前世での私の仕事だったからね。それなりのプロジェクトも手がけたし、組織を動かしたりもして、それなりに長く生きた。だから、それを利用してなんか面白いネタを探してこいってことだよ。
暇持て余しているくせに、面倒くさいから自分ではやる気がない、単なる神様の暇つぶしに付き合わさるんだよ。冗談じゃないよ!おまけに、下級神だからお前に何かの能力を付与することなんて、できないからあきらめろ...って。おもわず叫んだよ。オメーなんか、神やめっちまえって。いや、なんのためにいるのさ?だれか、この神様の存在意義を教えてくれないかな?私に。
いや、受けたよ?仕事。前世でも好きでやってた仕事だったし、向いてたと思う。それが、色々と環境が異なるこの世界でも行えるなら、それを仕事にするのは望むところだよ、そりゃ。だけど、前世では情報収拾手段があったよ。色々な情報が、データベース化されていたしね。こっちにはないよ、そんなもの。生身でやることになんだよ?何かよこせよ、オラッ!
抵抗されたけど、強奪したよ、金。神様の前にあったんだよ。大きさが違う硬貨の山が二つ。とは言っても、全てのポケットに詰め込める程度だけどね。神様相手じゃ、犯罪じゃないよね?
お賽銭の一部を、この神様、適当に抜き取ってるんだと。まあ、理屈は通っている。実態を知らない信者が、この神様に捧げた硬貨だ。それを捧げられた神様が、勝手に持ち出すことに問題はない。お金使必要ないけど、ヒマにあかせて、金を数えているのが趣味なんだって。守銭奴かよ!
乱数教の神なんだから、数字が好きなのは分かる。それなら、数えなくてもデタラメな数にしとけばいいんじゃないか、と言ってやったが、それはそれ、これはこれ...って視線をはずしながら、モゴモゴ言ってた。
え、数え終わったら返すの?まあ確かに、持っててもしかたないよね。え、抵抗したのは、奪われて数える貨幣の数が減るのが惜しかったから?それは、ちょっとした乱闘の結果、数え済みの硬貨の山と、まだ数えていない硬貨の山が混ざってしまって、最初から数え直さなければいけないようにした、私の功績により相殺、っていうより、より楽しめるようにしてあげたんだから、問題ないよね。うん、完璧なまでに犯罪じゃない。神助けだ。結論、こいつから金を奪ったことは全く問題ないってことだ!ちなみに貢物には興味がないらしいから、何も物は持っていないって。だから、物も与えることもできないって。こいつダメすぎるだろう?
それなりの地位をよこせと主張したけど、これもダメだった。社会を良くするとか、悪をぶっ潰すとか、そんなことには興味はない。動きが取りやすい、普通の身分で得られるネタ集めろって。認めてもらえなかった...っていうよりこの神様には、たぶんそんな能力はない。視線外しながら屁理屈こねていたし。まあ、突然地位がある人物が現れたら不自然、というか周りに迷惑だ。見向きもされない庶民であれば、突然現れても自然だというのは、納得できる。だから、この神様の言い訳は、そのまま受け入れたよ。さすが大人を経験した私!
転生にあたって、色々と特殊能力や特別なアイテムを与えられるのが、こういった話の定番だったはずなのに...全くないよそんなもの!いい加減にしろ!!
ああ、仕入れるネタについては指定された。神様には感情はないから、愛とか恨みとか怒りなんかには、全く興味は全くないそうだ。個人個人についても、生きてようが死のうが興味はないらしい。要するに、個人ネタにはまったく興味はないってことだ。というわけで、ある程度の集団で発生するネタってことだね。とはいえ、天変地異みたいなのは、さすがに、この神様の情報網にも引っかかるから、そういった大規模なものもいらないらしい。なんか、生きっているってことがよくわからないから、前世とこの世界で起こっていることを比較して、それをネタにして欲しいらしい。
そもそも、神様が面白いと感じるネタと、私の面白いと思うものが一致するのか?大丈夫らしい。なんか波長が合うんだって。いや、全然嬉しくないよ。ともかく、数字が欲しいと。そして乱数の神だから、規則的な数字に憧れがあるんだって。
で、神様との接触は、私が寝ている時に行えるそうだ。うん、なんの役にも立たないね、私にとっては。現実の世界では何もできない時じゃないと、神様とコンタクトできないなんて。まあ、昼間でも加護を期待できるような神様じゃないことは、よーくわかったし。せめて、コンタクトの際に数えてる金をふんだくってやろう。あいつが持ってても意味ないし、もうこれは、神助けといってもいいよね?
それではこの残酷で、単純で、美しい世界へ...