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英雄格の美女

あらすじ:エリスが凄かった

 エリスという女は18歳という若さで既に英雄格にいると言う。

 英雄格の条件は、英雄のような行動をする事。つまり、エリスは既にどこかで英雄になったと言う事だ。


「お前、英雄格になったのいつだ?」

「んーと、確か10歳の頃じゃなかったかしら。村が魔物に襲われちゃってね」

「ん? どっかで聞いたぞそれ」


 確か神様がそんな事を言ってたような気がする。

 と言う事はエリスは10歳で、大量の魔物の襲撃を1人で凌いだと言うのか?

 

 昼に魔物に襲われたから分かる。あれを前にして、戦う意思を持てる者はそういない。

 俺の場合はサイコロを使い、擬似とはいえ英雄格になりやっと戦う事が出来た。

 しかしエリスはどうだ。10歳で、通常格で、加えて女の子だ。


「村の大人は戦わなかったのか?」

「戦う能力を持って産まれたのが私しか居なかったのよ」

「だから……10歳の君が大人の代わりに戦ったのか?」

「しょうがないわよ。誰かがやらなきゃ村が滅びる。そして解決手段を持っているのは私だけ。ならやるしかないでしょ?」


 普通であれば大人も逃げれば子供も逃げる。

 しかしエリスは違った。勇敢にも戦った。故に英雄に、そして英雄格になったのだ。


「エリス、お前すげぇな」

「ふふん! そうでしょう!」


 エリスは勝ち誇った様な顔をしていて、それがびっくりするくらいムカつくが文句が言える立場ではない。


「それで私に自己紹介させておしまいなの?」


 そういえば俺の自己紹介は何もしていなかった。


「俺の名前はムラカミ・カズヤ、カズヤって呼んでくれ。18歳の通常格。能力は……えーっと……」


 やばい、なんて説明しよう。

 まず俺に能力は無い。その代わりに神の六面体があるのだが、どう説明したものか……。


「能力は?」

「えーっと……そ、そうだ! 冒険者って無闇に能力を教えるのは悪手って聞くんだけど」

「はぁ? 能力が分からなきゃパーティーを組んだりした時に、お互いにカバー出来ないじゃない。冒険者同士はお互いの能力の把握が不可欠よ。まだ私達は冒険者じゃないけど、冒険者志望同士って事で教え合うのは当然でしょう?」

「あ、そう、そうなのね」

「まあ、言いたくないなら構わないけど」


 エリスは俺を冷めた目で見る。

 そうか、この世界では能力はお互いに把握するものなのか。


「いや、そう言う事なら全然言うんだけどさ……どう説明したものか」

「どう言う事?」

「うーん……能力が頻繁に変わる的な?」

「なにそれ? そんな能力聞いた事ないわよ」

「やっぱり?」


 花マルな回答をしたと思うのだが、これで納得してくれないともう説明のしようが無いんだが、どうしようか。


「……嘘ではないのよね?」

「神に誓って嘘ではない」

「ふーん。変わるってどんな能力になったりするの?」


 どんな能力って、超直感しかしらねぇよ。


「えーっと……ピンからキリまでだな。強い時は神でも殺せるくらいの化け物みたいな能力だし、弱いとただの一般人くらい」

「そんな不安定な能力で冒険者になるつもりなの?」

「そうだよねー。俺も困ってるよ」


 今度は同情の目を向けられた。そんな目で見ないでくれ……。


「さて、お互いの自己紹介が終わったところで、そろそろギルド探そうぜ」

「そうね、と言ってももう探す場所無いわよ?」


 そうなんだよな。

 現状でもう大通りから裏の路地までかなり探した。もちろん王都と言うこともあってめちゃくちゃ広く全てを探したわけじゃ無いが、少なくともこの周辺には無いだろう。

 そこで俺はふと思い出す。


「なあ、お前門の周辺って探した?」

「え?」

「俺らこの街の中央付近ばっかり探してて、そっちの方面探してなく無い?」

「……」

「それにさ、冒険者ギルドが門より遠かったら不便だし、門の近くにある気しない?」

「…………」


 エリスはどうか分からないが、俺はゴルムと話しながら入ったから、周りなんて気にしてなかった。

 それに俺は大体中央にあると思ったが、考えれば中央にあるメリットがないのだ。


「と、とりあえず門の方行ってみる?」

「……そうね」


 門の方に行ってみると、なんと門の目の前に大きな建物が建っていた。


「……あったね」

「……そうね」

「俺ら、何してたんだろうね」

「……そうね」


 空は既に少し明るくなっていた。

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