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神格の強さ

あらすじ:サイコロ振ったら6が出た

 合格するだけなら3か4くらいでよかったんだけどなぁ……。

 俺は変なタイミングで、過剰な数字が出た事を残念に思いつつアルバを見る。


「確認はできたのか?」

「あ、はい……一応……」

「今の能力を教えろ」


 うーん……能力をそのまま教えてもいいのだろうか。

 今の能力は『時間操作』これは明らかに人の手に余る能力だ。

 神格の全てがこのレベルの強さだったとしても、俺は今は通常格。そのためランダムという未知の能力だったとしても、明らかに異常だ。

 うん、このまま教えるのはダメだね。

 そうなると教える能力は時間操作の下位互換……となると教える能力は……。


「えーっと……じ、自己加速です!」

「……ランダムとかいう未知の能力の割には普通だな」

 

 自分だけを加速させるバフ系統か、相手だけを減速させるデバフ系統か悩んだが、バフの方が個人的に好きだからバフ系統、つまり自己加速という事にしよう。


「どうする? 武器は使うか?」

「……いや、このままでいいや」


 武器なんか生まれて一度も持ったことがない。そんな人間が能力も無しに武器なんか使ったら、武器に振り回されて吹っ飛んで行く未来が見える。

 

「そうか。少し離れてからじゃあ構えろ」

「はい」


 俺はアルバから10mほど離れて素人感バリバリの構えをして、自分の時間操作を始める。

 勝つためならば、時間を止めてボコれば終わるのだが、自己加速と言ってしまった以上加速している姿を見せなければならない。

 相手はエリスと正面から戦える程の相手だ。1.3倍程加速すればいい勝負が出来そうかな?

 アルバへの時間操作は……念には念を入れて0.9倍ほどにしておこう。

 俺は大きく深呼吸をしてアルバに視線を合わせる。


「行きます!」


 俺は足に全力で力を込める。

 時間操作をしているとはいえ、馬鹿正直に突っ込むのは愚策だろう。

 まずは様子見で、全力で正面から走っていき、アルバの反応を見よう。

 足に込めていた力を全て解放するかのように地面を蹴る。

 すると驚くことに蹴った地面が大きく抉れたのだ。

 俺はここで大きな誤算に気がつく。


 格が上がれば身体能力も大きく向上することを完璧に忘れていた。


 時間操作というぶっ壊れた能力ばかりに注目していて、身体能力向上を何も考えていなかった。

 そのため全力の力を込めたダッシュは、俺の経験した事のない速度になっている。

 本気でブレーキを掛けようとするがもう遅い。距離が10m程度しか離れていないのに、今の速度まで加速してしまったらブレーキなど間に合わない。

 つまり、このままだと、びっくりするくらいの速度でアルバに突っ込む事になる。

 ……こうなったらアルバを信じよう。アルバはエリスの攻撃も全て捌けるのだから、きっとなんとかしてくれるだろう。

 俺はブレーキをしつつ、アルバに突撃する。

 

「うげぇ!」


 アルバは俺の動きに反応出来なかったのか、俺の突撃をモロに喰らった。

 俺の高速タックルの衝撃を全て受け止めたアルバは、ものすごい勢いで吹っ飛んで行く。

 アルバは50m程飛んで行き、転がったままピクリとも動かない。

 静寂がこの場を支配する。

 

「……」

「……」

「いやいやいや! アルバさーん!」


 沈黙を保っている場合じゃない!

 俺は自分で制御出来る範囲で出来るだけ早く駆けつける。

 アルバの状態はどう考えても重症だ。

 

「早く冒険者の回復能力者を連れて来なさい!」


 ギルドの職員と思われる人達が大慌てで回復能力者を呼びに行く。

 俺に出来る事は……アルバの怪我が悪化しないように、アルバの時間の停止!

 俺は早速アルバの時間を限界まで減速させる。


「!? まずい呼吸が!」


 いや……すみませんそれ俺の仕業です。

 


 しばらく時間を減速させていると、職員の人らしき人が、回復能力者を連れて来て早速回復を開始する。

 そのタイミングで能力を解除しようと思っていたが、ちょうど1時間経ったのか能力が消えた。

 時間がわからないのは本当に不便だ……なんとかならないものか。


「……何やったらギルマスがこんなんになるんすか?」

「……試験中にすごい攻撃が直撃しまして……」

「はぁ? 何すかその人……化け物っすか? ギルマスの『見切り』で捌けなかったんすか?」

「そのようですね……とんでもない速度の体当たりでしたので……」

「あれは速い攻撃とか関係ないんすけどねぇ……」


 『見切り』は速い攻撃とか関係ないのか……じゃあ何故反応出来なかったんだ?

 確か能力の効果は、攻撃意思のある攻撃の察知だったような……。

 

「あ……」


 わかってしまった。

 俺の高速タックルは本来、アルバの様子を見るために、ただ近付くための移動手段であり攻撃ではない。

 つまり、今回の攻撃には攻撃意思はなっかったのだ。

 そして神格が1.3倍の速度で全力の体当たり……いくらアルバが英雄格だとしても反応出来るわけがない。


「ふぅ……なーんとか命は繋ぎ止めたっすよ……ギルマス吹っ飛ばしたの君っすか?」

「そ、そうです……」

「一体何したんすか?」

「えーっと……思いっきり体当たり?」

「体当たり受けただけでこれって……あなたゴリラかなんかっすか?」

「あ、あはははは……」


 これはあれだ……完全にやらかした!

ブレーキを掛けていなかったらアルバは木っ端微塵になってました

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