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青春アスハラク  作者: 城鐘 狐月
文月編
37/39

雷堂こなた 014


 その日、家で項垂れていた僕の家に、インターホンが響いた。

 土曜、休日にである。

 どうしてか重い身体を無理矢理にでも動かし玄関へと向かう。

 妹はいないようだった。

 実にありがたい。


 先日、取っ組み合いの大喧嘩をした日からずっと、僕は千鶴と顔を合わせていない。

 一度も。


 玄関扉へ手を掛けた。

「はい、どちら様__」

「あ、曲間くん」


 そこには、雷堂こなたがいた。


 まず目に入る巨乳。

 メガネ、黒髪、ぶっ飛びファッション。

 どれもが、雷堂こなただった。


「は?」

「えへへ__」


 アイディアンソロジーは?

 雷堂こなた__喰われたんじゃ、なかったのか?


「その様子だと、やっぱり、私が食べられたって、信じてたみたいだね__」


 それから、雷堂は語った。


 アイディアンソロジーと賭けをしていたことを。


 どうやらアイディアンソロジーは、そういう嘘を吐くことで、僕と本気で戦おうとしていたこと__だが、それは多分、違う。


 本気で僕を潰したいなら、雷堂こなたを喰らって、万全な状態にしてから望むべきだった筈だ。


 アイディアンソロジーは、死にたかったのだろう。


 春休み、僕に負け、生きているのが惨めになって、せめてもの足掻きとして、僕の精神を揺さぶって。


 死んだ。


 なんだ。これじゃあ、


 まるで僕が悪者みたいじゃないか。


 まるで僕が__


 化物みたいじゃないか。


 そこからの雷堂のした話は、よく、覚えていない。

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