雷堂こなた 014
その日、家で項垂れていた僕の家に、インターホンが響いた。
土曜、休日にである。
どうしてか重い身体を無理矢理にでも動かし玄関へと向かう。
妹はいないようだった。
実にありがたい。
先日、取っ組み合いの大喧嘩をした日からずっと、僕は千鶴と顔を合わせていない。
一度も。
玄関扉へ手を掛けた。
「はい、どちら様__」
「あ、曲間くん」
そこには、雷堂こなたがいた。
まず目に入る巨乳。
メガネ、黒髪、ぶっ飛びファッション。
どれもが、雷堂こなただった。
「は?」
「えへへ__」
アイディアンソロジーは?
雷堂こなた__喰われたんじゃ、なかったのか?
「その様子だと、やっぱり、私が食べられたって、信じてたみたいだね__」
それから、雷堂は語った。
アイディアンソロジーと賭けをしていたことを。
どうやらアイディアンソロジーは、そういう嘘を吐くことで、僕と本気で戦おうとしていたこと__だが、それは多分、違う。
本気で僕を潰したいなら、雷堂こなたを喰らって、万全な状態にしてから望むべきだった筈だ。
アイディアンソロジーは、死にたかったのだろう。
春休み、僕に負け、生きているのが惨めになって、せめてもの足掻きとして、僕の精神を揺さぶって。
死んだ。
なんだ。これじゃあ、
まるで僕が悪者みたいじゃないか。
まるで僕が__
化物みたいじゃないか。
そこからの雷堂のした話は、よく、覚えていない。




