「トート」様編
今回は、美麗な挿絵で好評な「トート」様の
「サウザンドスターズ☆オンライン」に照準を絞りました。
さて、どんなお話になるのやら・・・。
確か今日は休みだった筈・・・。
なのに、何でだ?
ゆっくりVRゲームでもしようと思っていたのに・・・。
「おいっ!まだ寝てんのか?いい加減つまみを寄こせっ!」
突然壁から声が聞こえた。
「は?」
「早よ、来い!直ぐ出せっ。このアッシの好物をっ!」
「なっ!?誰ダッ!曲者かっ?」
<パッカーンッ>
壁から出て来た謎の手がハリセンで俺のドタマをしばく。
「痛ぇ。なにするんだイキナリっ!」
腕に向って怒鳴るが、
「だからーっ、早くしろよ。コッチの時間だぜ。」
腕が壁から手招きをする。
ーあ、既にあの世界に招き込まれていたのか。-
糞君が頗る残念そうな顔で腕を見上げた。
「解りましたよ。イきゃあ善いんでしょ。イきゃあ。」
「来るなら解っているよな。つまみを持って来いよ。」
おっさんの声が響き渡る。
「うっせーな。解ってますって。」
そう・・・。
ここは既におっさんの世界。
いつのまにか俺はまたしても連れ込まれてしまっていたようだ。
眠っている間に。
俺の許しも得ずに。
ーチクショウ!どうして俺はおっさんに引き込まれてしまったんだ?-
タブレットを片手に、立ち上がる。
「どーせ、ビールのつまみに読むんだろ。」
「ふっふっふっ!甘いなっ!今日はまた特別だ!」
急におっさんの声が耳元でする。
「のわっ!何処から出たっ!」
俺が飛び退いて身構えると、
「チッチッチッ!今日はビールの気分じゃない。これだよ、これっ!」
IW・ハーパーをどっかと出した腕が俺を招く。
「うおっ!バーボンかぁ。いいねぇ。」
元来の酒好きの俺に、その一本は無条件におっさんの元へと向わせた。
・・・。
馬鹿だな・・・俺。
「で?」
「で?・・・とは?」
駆けつけ一杯。
そのカップ一杯が火をつける。
<グビ グビ>
「おい・・・。一人で飲むつもりか?」
<グビ グビ>
「おーいい。無くなっちまうだろーが。ストレートはヤメロぉ。」
<グビ グビ>
「お願いぷりーずぅ。アッシも飲みたいんだが・・・なぁ。」
俺は只飲んでいるだけじゃなかった。
このバーボンに合う特上の、つまみを探していたのだ。
<グビ ツイッ。 グビグビ ツツイッ>
指が特上の物件を捜し求めスクロールを続ける。
ーむっ!?-
俺の指が一つの輝きに停まる。
「おおっ?この眩い輝きは?」
俺の指が一人の美少女に動きを止めた。
「いい。すっげーいい!」
「のわっ!またかよっ!」
俺のタブレットを覗き込んでくるさとっさんに驚いて、
「いい加減、突然現れるなっ!心臓止まるだろーが!」
そう叫ぶと、さとっさんが俺の背中に手を添えて、
<グシャッ>
「えっ?」
俺の胸からおっさんの腕が・・・。
「ほら、心臓。停めたけど・・・何か?」
ーぎえええっ!?マジか?俺・・死んじまう・・のか。-
「そして。はい、再起動。」
ー・・・。忘れていた。ここはおっさんの世界。異次元だった・・・。-
「なんでも有りかよ。まあ、いいや。それよりこれをみてみん。」
俺が勧める画像を見たさとっさんが叫ぶ。心の叫び?を。
「ぬおおおおっ!可愛いは正義だああぁっ!」
あ・・・。あかん・・これ。
2人の目に写っているのは一人の美少女の挿絵。
ーなんだ?この完成度は・・・。-
ーツンデレ少女?それともジト目少女・・・なのか?-
俺はその少女のイラストに釘付けになる。
「ニャハハっ!いいねぇ。こりゃあ、最高のつまみだぁ。」
ハーパーを並々と注いだカップを片手に持ったさとっさんが、一息に呷る。
「ぷっはーっ、たまんねーな。」
俺はこの絵を描いた作者に言いたくなった。
ーなんちゅう完成度だ。これでおっさんのテンションが爆上がりになっちまったじゃねーかよ。-
「おい、糞君。おかわりっ。もっと出せよ。こんな美少女を描ける作者の事だ。その小説はきっと高い完成度を誇っているに違いないっ!」
さとっさんは自分に自信があるのか、言い切った。
「違いないかどうか・・開けてみましょうや。この小説の世界を。」
俺は挿絵から本編に飛び込んだ。
「あれ?ここは・・・何処だ?」
俺の前には見た事も無い世界が広がっていた。
「おーいっ!誰か居ませんかぁ、って。さとっさん!」
俺の眼におっさんが犬と語っているのが写る。
「あ・・・の。ナにやってんですか?」
「んーっ?この犬がさ。なついちゃって・・・。」
って!?コイツはっ?
「うぎゃあっ!さとっさんっ、そいつは眷属ってヤツですよぉっ!」
「・・・。そうなの?」
「やばいって!逃げましょうっ!」
俺が慌てて逃げ出そうとすると、
「んー?別に逃げんでも・・・。こいつ懐いているから。ほら、お手。」
さとっさんがケルベロスに手を差し出す。
「にゃぁ。」
大人しくその手に自らの足を載せた。
「は?」
「ほらな。可愛いだろ。」
「あああああっ!有り得ねぇっ!」
俺がパニくって頭を抱える。
「ま、この世界にはこんな事もあるみたいだな。」
そう言ったさとっさんが、ケルベロスの頭を撫でて立ち上がる。
ー嘘だろ。どうなってんだよ、作者さん。-
俺が信じられない物を見ている様に眼を眩ます。
「普通、闘うだろ、普通。」
ーいや、待て。ここはあの美少女が居る世界の筈。どうなってんだ?-
「ニャハハッ、おい糞君。見てみたまえっ!」
ーえっ?-
俺の眼に映ったのは・・・。
ー・・・謎の女・・だと・-
「ビッびっ少女ぉっ!」
「やめいっ!」
俺がおっさんのどたまをかち割る。
「いやあ、いいねえ。」
ーもう立ち直りやがった。-
瞬時にかち割った筈のどたまを元に戻したさとっさんが涎を零す。
「それにしても、モブ・・いや、鈴木一・・・とは。」
「まあ、そんな嫌そうに呼んでやるな。同じサラリーマンなんだし。」
「そ、そうなのか?では何故あんな格好を?」
「フラグ・・・じゃねーの?」
パタパタと手を振って気にしないおっさん。
「それより、この世界の事を教えてくれよ。」
ーあ・・・。肝心な事を忘れていた・・・。-
「でわっ!この世界。<サウザンドスターズ☆オンライン>の説明を・・・。」
ここはとあるVRゲームの中。
この世界はバーチャル空間に集うゲーマー達が剣と魔法を駆使して戦い、物語を形成してゆくVRMMOをモチーフとした小説であり、その空間の中に訪れた者の心までも引き込む挿絵付の秀作。
そう、この中では美しい挿絵が見れるのだ。
作者自身が描いた美麗な絵が訪れた者を魅了する。
登場キャラは皆それぞれの役割を与えられ、美少女から美男子まで彩が艶やかだ。
「ふーん、そうなんだ。アッシに向いた絵があるのか?」
「おっさん・・・それは言っちゃだめなやつ・・だよ。」
「ぬっ?おぬし、何を根拠に?」
俺は問答無用でこれを出した。
・・・・。
「むさ苦しい・・モトイ。アーヤちゃん。かわいいよぉ。」
「おっ?」
「おおっ?」
「あおっおえあっおあっ!?」
さとっさんのスイッチが入ってしまった。
「かわいいっ!これがこの世界の真実なのかっ!」
「あ・・・あのな。只の少女・・・」
「ばっかっもーーーーんっ!」
どこから出したのか、「可愛いが正義」の幟が翻る。
「よいかっ、たとえモノクロでも可愛いは正義なのだぞ!」
ーそうか・・・それなら。-
「うおっ!?」
ーこれでどうだっ!-
「瞳がキラキラだぁー。リリンちゃん素敵っ。」
さとっさんが溶け出した。
ーおおっ!これは強烈だぞっー
「ぎゃはーっ!レイルちゃんのおふとももっ、がはあっ!ぶくぶく・・・」
ーあっ・・・。溶けた・・・。-
俺の前でおっさんがスライムみたく、溶けて無くなった。
「おーいっ!おっさん。何処行ったぁ、俺をほって置いてどうするんだぁー。」
俺はこの世界に放り出された一人のプレイヤーにされちまうのか?
「おーいっ!俺を戻してくれーっ!まだバーボン飲みタラねえんだ。おーいっ!」
だが、俺の叫びは虚しくこの、
「サウザンドスターズ☆オンライン」
の、世界に響き渡った。
「で?どうしたんだ?糞君。酔っ払ったのか?」
「あ・・あれ?おっさん。呼び戻してくれたんか?」
「・・・。悪酔いか?何処に行ってたんだ?」
ーあ・・・。俺は酔い潰れてしまったのか?おかしいな・・・。-
「おっさん・・・たしか溶けて無くなった筈じゃあ・・・。」
俺が首を傾げてさとっさんに訊くと、
「くっくっくっ。その通りだぁ。」
おっさんがイキナリ仰け反り俺を指差し、
「さあ!行くぞっ栄えある小説の中へ!剣と魔法が飛び交う世界の中へ!」
俺に扉を開かせようとする。
「まっ、待てっ!おっさん。そんな格好で?」
さとっさんはまたもや殿様の姿に変る。
ー魔法・・・おっさん・・かよ。-
「早く行くぞ。可愛いが呼んでいる。」
「は?はぁ?」
諦めた俺がタブレットの画像を拡大する。
そして、
「小説家になろう」からとある作家のページに飛ぶ。
「トート」 様
これがこの素晴しい世界の創造主。
この、
「サウザンドスターズ☆オンライン」
と言う、小説の作者だ。
この小説はまだまだ続いていくだろう。
なにせ連載スピードが素晴しい。
こちらのレビューが追いつかないほどなのだから・・・。
素晴しい挿絵。
素敵なキャラ。
そして、何より凄いのは・・・作者自身がキャラと共に成長して行くのが判る事だ。
我々の想像を超えようと挑むこの作品を読みたいのなら、
今直ぐに此処まで行くがいい。
さあ!俺が勧める小説の中へ・・・ダイブ・イン!
http://ncode.syosetu.com/n9716dq/
さて。
この次は地獄からご来場の予定・・・?
なっ!なんですとぉっ!?