転生してしたくもない出世をしています2(独立した話です)
こんにちは、アリスと言います。
私、この農村の村娘をしております。現在十二歳のぴちぴちの女の子
古いって突っ込まないで下さい。お願いします。
私の特徴を言えば赤みがかった茶髪にブラウンの瞳、と一般的ながら一応村一番の美少女で通っています。
そして実は私、生まれる前の記憶がある転生者なのです。
ちょっと悲しいことに生まれる前の性別は男なのです。
十九歳の時、テンプレよろしく、横断歩道を飛び出した子供を庇って車に引かれてしまいました。
そして気がつくと女の人に抱き抱えられて揺られていました。
最初わけがわからず泣き叫んでいましたが、すぐに転生だと気づきました。
そして、赤ん坊の時に転生に気づきひゃほおいと思って育ってみるとびっくり。
すぐに自分の股間部分にあった物が無い事に気づきました。
なんというか、悲しくて仕方なかったのですが、せっかく掴んだ第二の人生頑張って生きたいと思っています。
この世界、なんと魔法が存在するんです。
ほとんどの人が魔法が指先に火を灯す程度しか魔法が使えず、それ以上魔法が使えるというだけで一つのステータスと言っても過言ではありません。
二歳の頃、お母さんが木屑に指先から火を灯して種火にしているのを見てから自分も魔法が使えるのか試してみました。
最初は体内の魔力を感じることから始まり徐々にその魔力を変換させてゆくことを始めます。
苦節一年、ついに指先から火を出すことに成功しました。
もちろん火事にならないように川のふもとで行いました。当然です。
そこからいろいろな魔法を練習しました。
次々に覚えていきましたがやはり限界があります。
そう、魔法は才能の世界、私には特大な才能は無かったみたいです。
火は火種を作らないで薪から火を起こせる程度。
水はだいたい百五十リットルぐらいを自在に操れるぐらい。水はどうやら適正が高かったみたいです。
風はそよ風を起こす程度。
土と金属はなかなかのものです。ですが、地味です。
植物の魔法もあまり得意ではないです。
光の魔法はまったくと言って駄目です。
毎日こうして魔法の特訓をしてから二年が起ちました。
その後は魔法の火力に限界が来ていたので精密性に重きを置いて特訓してきました。
そしてその集大成が一つあります。
夕焼けの前、夕食が始まる前に誰もいないことを確認し、土魔法で小屋を作り、湯船を作り、水魔法で水を満たします。
その水を操り温度を上昇させお風呂の完成です。
最初の頃は熱すぎたり温かったりと大変でしたが最近では前世の大好きだった温度のおよそ四十四度にすることが出来ます。
石鹸なんかは無いですが、それでもこの風呂の気持ちよさは最高です。
もう慣れたロリロリしいこの体も湯船の中で擦って垢を落とします。
前世からカラスの行水と言われていたのですぐに出て集めたお湯をシャワーのように頭から被ります。
そしてビショビショに濡れた体と髪を温風で乾かして服を着てすぐに水を川に戻し、小屋と湯船を解体して帰ります。
こうやって毎日体を洗っていたらやっぱり怪しいと思われました。
親友のアンちゃんに跡をつけられていたらしく私が魔法を使っている所を目撃されてしまいました。
これからの二人だけの秘密ということでその日から二人で入ることになりました。毎日が洗いっこです。
幼女の体に興奮なんてしません。当然です! 当然です。当然です……。
六歳になれば畑仕事も手伝います。
お父さんもお母さんも頑張りすぎで我が家には兄一人(八歳)、弟二人(四歳)(一歳)、妹一人(三歳)という家族がいます。
我が家はそんなに豊かではなく毎日お仕事を手伝っています。
なんといっても私の水の魔法での水やりは楽ですし、雑草抜きも植物の魔法が得意でない私でも土魔法を応用して、地面から飛び出すようにしてしまえば良いので楽勝です。
そしてあまった時間は鳥達が作物を襲わないか見張るだけです。
そんな私にも月に一度の日課があります。
月に一度、隣村のおじいさんがこの村に来て文字や算学を教えてくれるのです。
お父さんもお母さんも私達が文字や算学を知ってどうするのかという人です。ですが、私は教育の重要性をしっている人間です。
もちろんただで教えてはくれませんから、おじいさんが来る数日前に川に行って、大きな石を土魔法で持ち上げ、川の中にある岩に思いっきり当てます。
そうすると魚がプカァと浮いてくるのでそれを獲り、石を魔法で包丁に加工して裁いて天日で干してそれをおじいさんにあげます。
いつもは私に任せて遊びに行ってしまう兄を見張りに付けて私は上の弟と一緒におじいさんの所へ行きます。
兄は最初の一回で逃げ出したのでもう行かせてあげません。
おじいさんは本でもって教えてくれますが私達に書くものなんてありません。
だから私が作った土の箱に柔らかい砂を敷き詰め木の枝で書きます。
この方法はおじいさんに驚かれておじいさんは他の場所でもやると笑顔で言ってくれました。
もちろん下の弟と妹も四歳になったら一緒に行く予定です。お姉ちゃん頑張ってお魚いっぱい取るからね。
変わらない日々を過ごしていたらさらに六年たって、私は十二歳になりました。
あの後さらに妹と弟が出来ました。
それに私に魔法を教わり上の弟が魔法の才能があったらしく家の畑も広がっています。
九人家族でもなんとか食べていける状態です。いや、状態でした。
この年の農作物は冷害の影響で全滅とまでいかないものの、不作でと言っていい状態でした。
弟と私のおかげで少しばかりの貯蓄はありますが、苦しいのは変わりません。
「アリスさん。どうしたのかね?」
どうしようかと悩んでいるといつも勉強を教えてくれるおじいさんが聞いてきました。
「実は」
私はおじいさんに今の家の事を話しました。
ですが、今の状況はどこの家も同じ、食い減らしの為に下の子を殺すか、年頃の娘を売りに出すかの二択です。
おじいさんもそれを聞いて何もいえなくなってしまいました。
我が家でもお父さんとお母さんが日夜話し合っています。
数日後、アンちゃんに呼び出されました。
「どうしたのアンちゃん?」
「あのね、私お別れに言いに来たの」
「え?」
「私ね、今度商人さんが来たら食い減らしの為に売られるの。だからお別れ」
アンちゃんはそれだけ言ってすぐに走り去っていきました。
私はただその場で立ちつくしてしまいました。
顔を上に上げて涙が零れないように必死に耐えて涙が枯れるまで立ち尽くしました。
仕方ない。仕方ないんだ。それしかアンちゃんの家の人たちが過ごしていく事は出来ないんだ。
そう思ってその日は家に帰りました。
数日後、アンちゃんは商人のおじさんと共に旅立って行きました。
最後に村を出るときに大きく手を振ってお別れをしました。
さらに数日後。私は一つの決心をしました。
アンちゃんも覚悟したんだ私も覚悟する。
多分娼館あたりに売られてすぐ死んでしまうだろうけど。大丈夫だ。
どうせ前世が男なのだから男の人と恋愛なんて出来ない。ならばこの家族の為にこの体を売ろう。そう思ったのです。
お父さんとお母さんに相談したら涙を流して抱きしめられました。
「ごめんね、ごめんねアリス」
「俺達が不甲斐ないばかりに、ごめん」
二人に抱きしめられて両親の愛情を心の奥底から感じられました。
弟は私より魔法の才能があるから畑の事は任せられる。
だからと思って私は数日後、川に行き、森に入りました。
そこで日持ちしない為に冬篭りに使えない食材を沢山獲りました。
そしてさらに数日後に来るおじいさんにその食材を渡しました。
「どうしたんだいこの食料は?」
「これは先払いです。私、今度売られるんです。だから弟と妹達に勉強を教えてもらうお礼の先払いです」
それを見たおじいさんは目を点にしました。
そして何かを悩んだ後にすぐに真面目な顔になりました。
「商人に売られるってどういうことか賢い君ならわかっているんだよね?」
「はい、多分娼館あたりでしょう」
私がそう言うとおじいさんは目を閉じて何かを物々と嘆いていました。
「商人が来るのはいつだ?」
「え? 六日後だと思います」
「そうか、待っていろ」
そう言っておじいさんは村から走って出て行ってしまいました。
翌日私の家におじいさんがやってきました。
そして私のお父さんと何か話した後お父さんはおじいさんに何度も頭を下げていました。
「おいでアリスさん」
おじいさんがそう言ってきたので私は近づきました。
「これが紹介状だ。君はこの家に働きに行くといい。明後日までにこの村を出る準備をしなさい」
そう言って木札を渡されました。
そこにはおじいさんの名前と私の名前、そして私の身分を保証するという事が書かれていました。
こうして私はおじいさんに連れられてこの村を離れることとなりました。
おじいさんに連れられて三日、途中おじいさんの家に行きましたが、私はこの土地を治める領主様の住む街に着きました。
そして手を引かれてたどり着いたのは領主様のお屋敷でした。
おじいさんがお屋敷の入り口に立つと門番の兵隊さんが慌てて中に入っていきました。
そしてピシッとした服を着たおじ様が出てきました。
「ニルスさま、どうしました?」
「いや、ほら」
おじいさんに言われて私はおじいさんに渡された木札をそのおじ様に見せました。
「なるほど、この子をどうすれば?」
「なに、屋敷で働かしてもらえればいい。この子は女の子で唯一学問の大切さに気づけた子でね、そんな子が売られてゆくのが惜しい。そう思っただけさ」
「わかりました。アリスと言ったね?」
「はい」
「今日からあなたをここでメイドとして雇います。さぁ来なさい」
そう言われて私は前に進みました。
おじいさんは門の前で立ってこちらを見守ってくれていました。
私はそのまま玄関から領主様のお屋敷に入っていきました。
後々知ったのですが、おじいさんはニルス様と言って領主様の先代からの大恩がある方らしいです。
領主様のお屋敷でのメイド生活が始まりました。
朝起きてからの水汲みから始まり。寝る前の戸締りに終わります。
朝起きて井戸から水を汲み、厨房や厠などの水坪に水を貯める仕事です。これは魔法があるから楽勝です。
領主様家族が食事が終わるのを待っての皿洗い。これも水の魔法があるので楽勝です。
コックの人や同じメイドの人の水桶を温かいお湯にしたらとても感謝されました。
水よりもお湯の方が汚れ落ちがいいのも知らなかったようです。
その後は洗濯です。これも水を使いますから私には楽勝です。ここも洗濯水をお湯にしたらみなさんから感謝されました。これから冬なので毎年皸が酷いと愚痴ってた年上メイドさんが優しいです。
そして洗濯が終わればやっと朝食の時間です。
そんな時もゆっくり食べている時間はありません。
かけ込む様に口に突っ込みご飯を食べて水で流し込みます。
そしてお屋敷の掃除をして交代でのお昼寝の時間。領主様家族の夕食が終われば交代で食事、その後の皿洗いがあってそれが終われば戸締りの確認をして一日が終わります。
私には横になれば転がれないほどの個室が与えられました。
そこで魔法で持ってきたお湯で頭と体を洗いすぐに水捨て坪に捨てて就寝する毎日です。
普通なら辛いのでしょうが魔法があるので楽勝です。
そんなこんなで一ヶ月が起ってお給料が出ました。
休日もなくお給料も使い道が無いので四分の三を実家に贈って貰い。四分の一をニルス様に弟達の学費に当ててもらうように手紙に書いて贈りました。
そんなメイド生活も、一年も起てば、他の執事さんやコック、メイドさん達から認められるようになりました。
ある日、洗濯が終わり額の汗を拭っていると声をかけられました。
「あなたがアリスね、ちょっとこちらにいらっしゃい」
そう言われてそちらを見れば領主様の息子様の奥様でした。
すぐに頭を下げて言われた通りに近づきました。
「顔を上げて頂戴」
その場で止まり私は顔を上げて奥様を見ます。
「メイド長から聞いたのだけど、あなた、水の魔法が得意なのね?」
「いえ、その、そんなに得意ではありません。たしかに火や風、植物、光に比べれば水は得意ですが、それでもあまり大量に水を操れません」
私が謙遜すると奥様は
「そんな事ないわ、確かに操れる水の量は他の魔法使いよりも少なくてもあなた、水の温度調節が上手いらしいじゃないの」
と返してきました。
そんな、そんな事ありませんよ。
「コックなどから、水を人の肌にちょうど良い温度にするのが天才的に上手いと聞いておりますよ」
あれ? もしかしてそれって特別なのでしょうか?
「普通なら水を熱湯にするか、氷にするかしか出来ないのにあなたはそれが出来る。まったく一年も放っておいたなんてもったいない。あなた今日からわたし付きのメイドに格上げよいいわね」
そう言われてキョトンとしてしまいました。
あれよあれよと言う間に話は上に通り私は若奥様付きのメイドとなりました。
普段から真面目に仕事をこなし、ニルス様の紹介状も効いたみたいであまり反対意見も上がりませんでした。
部屋も狭いには狭いですが、前よりも少し広い若奥様のとなりの部屋になりました。
朝、若奥様を起こしに行き、人肌程度の温度のお湯を持って行きます。
若奥様がそれで顔を洗い目を覚まします。
そして髪を梳いて整え服を着替えるのを手伝います。若奥様のおっぱいは……もうね、なんていうか、ドーン! って感じです。
そして若奥様の食事の時に後ろに付いて食事を見守ります。
今までは仕事をしていたので、お腹が空いても我慢できましたが、今回はおいしそうな料理が目の前で食べられているのを見ているので辛さが数倍です。
若奥様の食事が終わればもう一人の若奥様付きのメイドさんと交代で朝食を取ります。
私はその朝食が終われば洗濯をしている人たちと皿洗いをしている人の水を人肌よりやや熱めの水に変えて戻ります。
そして若奥様の後ろについて若奥様の一日に合わせて動きます。
夕食後、私が呼ばれた本当の理由の始まりです。
井戸から大量の水を持ってきて湯船に水を貯め、それを人肌に暖めます。
私は四十四度ぐらいが好きなのですが、若奥様には熱すぎたのか若奥様は温めのお湯で長時間入るのを好みます。
今まではお湯は熱湯しか沸かせずそれを水で埋めてちょうどいい温度にするしかありませんでした。
温くなれば少し抜いてお湯を足し、熱すぎれば少し抜いて水を足し。
排水設備が整っていないのでそんなめんどくさい事をしなくてはいけませんでした。
それに失敗して温くしすぎたり熱くしすぎれば目も当てられません。
ですが、私がいれば常にお湯の温度は一定で保つことが出来ます。
若奥様と一緒に湯船に入りその綺麗な体の垢を落とします。役得なんて思っていません。ぜんぜん思っていません。
胸の下の部分が蒸れるから丁寧にやって欲しいと言われて丁寧に揉み込んで洗っているだけす。えーそうです。
風呂上りに体と髪を丁寧に拭くのですが、私の温風魔法と櫛を使えば簡単にそれでいて綺麗に若奥様の髪を乾かす事が出来ます。
「最近髪のハリがいいわ、これからも頼むわね」
そう奥様からお褒めの言葉をいただきました。
若奥様はお茶が趣味らしく沢山のお茶を飲みます。
前に若奥様のお茶を淹れた時、飲みやすい温度を考えてお茶を淹れました。すると、若奥様が目を見開き私に何をしたのか尋ねてきました。
私は水の温度しか変えていないと言うと若奥様それだと言ってはしゃいでおられました。
私は若奥様と一緒にどの温度が一番茶葉の味を引き立てるのかの実験を毎日のように繰り返させられました。
「私のかわいいアリス。本当にあなたはいい拾物だったわ」
そう言って若奥様は私を可愛がって下さります。
水の温度の実験を繰り返していたら一年が起ち私も十四歳になりました。
若奥様付きのメイドになってから給料も上がって家に仕送りする量も増えました。
ニルス様はこれ以上いらないから家に贈る量を増やしなさいとお返事をいただきそうさせていただきました。
十四歳になって変わった事の一つに若奥様が妊娠しました。
一応若様のお渡りはあったので翌日の掃除では独特のにおいに苛まれました。
ある日若奥様が気持ち悪いと食べた物を戻されて医者を呼ぶことになり見てもらいました。
そして妊娠している事が発覚し家は大喜びで街も大賑わいでした。
数日間祝いの品が届き私は若奥様の取り寄せた妊娠中に飲むといいお茶の美味しくなる温度の実験中です。
ある日、若奥様の部屋を掃除していますと若様が入ってきました。
「若様、いかがしましたか?」
「いや、何でもない……。たしかお前はミカ付きのメイドだったな?」
「はい」
「名はなんという?」
「アリスと申します」
「生まれはどこの家だ?」
このお屋敷の主である領主様は領地持ちの子爵家です。
そして、このお屋敷で働いているメイドや執事のほとんどが騎士家の出です。
私を含めた庶民もいますがそれは騎士家や、男爵家の推薦があって成る者です。
本来なら若奥様付きのメイドは騎士家の出でないとおかしいのです。
「いえ、わたしはしがない庶民の出でございます」
「なに、庶民の出でミカ付きのメイドとなったのか、なるほど、年の程は?」
「十四になったばかりでございます」
若様がなにかうんうんと唸っています。
「ならば相当優秀なのだろう。よし褒美をやろう。そこの机に手を付いて足を広げて腰を上げろ」
え?
「あ、あの」
「わからないか、そこの机に手をついて足を広げて腰を上げろ」
若様のさっきの言葉が聞き間違いでないと理解した。
つまり、そういう事なのでしょう。
「早くしないか、まさか出来ないというわけではあるまい」
子爵という階級は貴族の中では低いが、それでも庶民よりも圧倒的に高いのです。
私が断れば家族ともどもどうなるかわかったものではない。
自分は無言で机に手を付き若様に足を開きながら若様にお尻を向けました。
その日、私は女にされてしまいした。
その日の夜。
私は仕事を終えた後自分の部屋でただただ泣きはらしました。
別に大事な人の為に取っておいたものではないです。
前世の男の思想がなければもしかしたら恋をしていたかもしれませんが、それもありません。
仕事をして無理矢理考えないようにしていた事が、部屋に帰った事で思い出されます。
体の下の方にある違和感が今日の事を思い出させ私の涙腺を刺激し、頬から涙が伝います。
悔しさと悲しみが少しづつ引いてくると今度は男に感情もなく欲望をぶつけられた恐怖が体をよぎります。
ただただ恐くてそれに震えながら私はその日眠りました。
次の日もその次の日も私は若奥様がいない所を若様に見つかると部屋に連れ込まれ同じ格好を取るように命じられます。そして最後に、
「ミカにこの事を言っては駄目だ。わかってるな?」
と言ってきます。私は家族を思いただ頷く事しか出来ませんでした。
その屈辱に耐えながら日々を過ごしていきます。
どんなにされても私には気持ち悪いだけでただ無言でなすがままに任せ耐えています。
ですが、もしかしたらと思い演技をすることにしました。
気持ち悪いを気持ちいいと、ただそう言うだけで若様は四回はしてきたのを一回で満足して帰っていきます。
私は気持ち悪い時間を減らす為にもっとも気持ち悪い事を言わなければいけない事への嫌悪感が日に日に高まっていきました。
若奥様の妊娠が発覚してから三ヶ月後、若奥様の容態が安定し始めたのでご実家に一度報告に帰られました。
若奥様には若奥様のご実家のメイドや執事が迎えに来たので私はしばらくの間若奥様のメイドはお休みです。
ですが、仕事は無くなりません。
そうやって仕事をしているとものすごい吐き気に襲われました。
幸い一階の窓際の所にいたのですぐに窓を開けて土魔法で器を作り底へ食べた物をぶちまけました。
となりで一緒に窓を拭いていたメイド仲間の一人が駆け寄って背中を擦ってくれました。
この穿き方……そういえば来ていない……。いや、まさか……。
そう思って内緒で光魔法が出来る人の所へ行き給料が出た後の払いで診察してもらいました。
「おめでとう」
「え?」
「おめでとう妊娠してるよ。ああ、アリスって仕事人間なのかと思ったけどちゃんと恋もしているんだね、安心したよ。子供産んだ後も落ち着いたら戻ってきてね」
そうにっこり言われました。
いや、妊娠しているって言われましても、相手なんて一人しかいないし……。
どうしよかと思いとりあえず若様に報告しようとアポイントをとりました。
普通一般のメイドしかも庶民の出の私が面会を求めても一週間、下手したら一月待たされるのがざらです。
ですが、若奥様付きのメイドでちょうど日程も開いていたので運よく二日で面会をすることが出来ました。
「それで面会内容とは?」
「その、出来てしまいました」
わかりやすいようにお腹を擦りながらそう言うと若様も察したのか目を見開きました。
後ろにいた若様の護衛も執事も私が妊娠したことに驚いています。
まぁ、それほど男っ気を無くして仕事一筋でやってきましたから当然ですね。
「その報告で来たのか?」
「はい」
「つまりは?」
「他に男性はいません」
私と若様は主語をまったく挟まないで会話をします。
多分後ろの二人に知られてはいけないのでしょう。ですので私もそれに合わせて話します。
「わかった。では生まれるまで暇を与える。荷物を纏めるがいい」
旦那様がそう言って来たので私も頷いて出て行きます。
「アリス殿」
部屋から出ると護衛の人に呼び止められました。
「なんでしょうか」
「もう少々お待ち下さい」
そう言われて待っていると部屋から執事の方が出てきました。
そして私の腕を軽く掴み私の部屋へ引っ張っていきました。
護衛の人は不思議な顔をしてそれを見守っていました。
私の部屋へ向かう途中他のメイドや執事の人とすれ違います。私が止まって挨拶をしようとすると若様の執事に引っ張られて止まることが出来ません。
そうやって私の部屋に入れられました。
「早く荷造りを始めなさい。それとこの屋敷から出るまで誰にも何も言ってはいけません。いいですね」
執事の人の剣幕に私は頷くことしか出来ませんでした。
もう小さくて着れなくなったここに来た時の服以外はメイド服ぐらいしかここにはありません。
荷造りと言っても何もありません。
肌着とシャツを若奥様から貰ったバッグに詰め込みそれを持って立ち上がりました。
そして執事の人に連れられ門の外に出てすぐに門が閉められました。
門番の人にはなにがあったのか見たいな顔をされましたがすぐに何でもないと笑顔を見せて立ち去りました。
これからの身の振り方を考えなくてはいけません。
実家に帰るというのもありますが、若様に無理矢理され、妊娠した娘など邪魔でしょう。どうすればいいと考えていてもつわりが辛くて考えが纏まりません。
そんな頭の中でだした答えがニルス様に智恵を借りるという事です。
迷惑かもしれませんがもしかしたら助けてくれるかもしれない。そんな淡い期待を持って歩き出しました。
ニルス様の所へ行くのに一日しか掛からない距離ですが、それでも妊娠してつわりのくるしい体には重労働です。
本来の半分の速度で歩いて途中気持ち悪く吐く。
苦しくても悲しくてもなぜか生きたいという気持ちだけは持ち続けていました。
途中昔やった方法で魚を取って捌き焼いて食べても気持ち悪くて戻しそうになってしまう。
それをむりやり飲み込んでひたすら進みました。
もちろん一晩野宿しなくてはいけないのに、そんな装備などありませんから一日中火を焚いて眠気を惜しんで進みました。
そしてニルス様の住む村に到着して初めて考えました。
もしかしたらニルス様はいないかも知れない。もしかしたらすでに亡くなっているかも知れない。
すでに高齢の方だったのでその可能性を考慮しない自分を恨めしく思いながら一日だけお世話になったニルス様の家のドアを叩きます。
「はい、今出ますよ」
懐かしい声が聞こえました。
ニルス様は独身と聞いていますから間違いなくニルス様でしょう。
ドアが開かれ私を見たニルス様は驚いた顔をしていました。
「アリスさんか、大きくなりましたね、どうしたんですか? いえ、ここでは話しづらいでしょうから中へどうぞ」
そう言ってニルス様は家の中へ私を招いてくれました。
家に上がり水を出されたので私はそれを人肌のお湯に変えて少しだけ呑みました。
一息つくことが出来たのか、なぜここに来たのかをニルス様に話しました。
全て吐き出すとニルス様は私の頭を撫でて微笑んでくれました。
「アリスさん。辛かったですね、ですが、安心しなさい。とりあえずここでその子供を産んでから色々と決めなさい」
この世界には堕胎の方法がいくつかありますが全て安全ではありません。
だからこの言葉は私の体を気遣ってくれた言葉です。
私の事を気遣ってくれるただその一言が嬉しくって涙が溢れてきました。
私はニルス様の胸に飛び込み子供の頃に戻ったように泣いてしまいました。
私が泣き止むのを待ってニルス様は一つの箱を取り出しました。
その箱には結構な硬貨が入っていました。
「あのこれは?」
「これは君が私に送ってきていた兄弟達の授業料だよ。君の弟がちゃんと君の妹や弟の授業料を払っていたからね、これは必要ない。もし君が結婚したらお祝いに返そうと思って貯めておいたんだ」
「でも、それは」
「受け取りなさい。私だってこの年だそう永くは無い。だからね」
そう言われて動けない手に箱を掴まされてしまいました。
ニルス様と生活を始めてから一ヶ月ほど起ちました。
料理屋でセキ茶を振舞う仕事を貰いました。
セキの葉はそこらへん中で生えていますが、お湯を用意するのは意外と大変です。ですが、私には魔法があるので楽勝です。
料理に暖かいお茶が付くだけで結構違うもので料理屋のおじさんに感謝されました。
ニルス様は他の村に勉強を教えに行っているので、その日は一人でした。
玄関がノックされたので玄関を開けてみると若奥様がいました。
「ああ、アリス、私のかわいいアリス。やっと見つけたわ」
すでにお腹が大きくなっている若奥様が強く抱きしめてきました。
「ごめんね、私のかわいいアリス。なかなか見つけてあげられなくてごめんね、辛い時に一緒にいられなくてごめんね。もう大丈夫だから」
若奥様はわんわんと泣きながら私を抱きしめてくれます。
「あの、これは……」
正直近所の人がこちらを見ていて恥ずかしいです。
ですが、それでも若奥様に会えた嬉しさはあります。
「アリス、帰りましょう。大丈夫です私があなたを守ってあげます。どうか、お願い私あなたがいないと駄目なの」
あんな所に戻りたくない。でも若奥様の願いは叶えたい。でも……。
「あの、その、ニルス様にお礼を言ってからで良いでしょうか?」
「もちろんです。ああ、ニルス様には感謝も仕切れませんわ」
快く了承してくれた若奥様は私と一緒にニルス様の家に入りました。
私は若奥様からあの後どうなったかの話を聞きました。
私が追い出されて二週間後、若奥様が帰ってきて私がいないことに気づいたようで、私の所在を聞くと、若様は私が妊娠したので仕事を辞めて恋人と恋人の故郷へ帰ったと聞いたそうです。
おかしいと思って他のメイドや執事に聞いても光魔法が使える一人が妊娠したのを診断したと証言しただけでした。
それでさらにおかしい事に気づいたのでした。
アリス以外のこの屋敷に勤めている男が辞めていない。
もし外で恋人を作っていたのならそれは誰なのか……。
そう思って、門番を勤める者達の証言を聞いて私が一人で外出した事が無い事を突き止めたらしいです。
これはおかしいと思って若様に問いただしたら、私が若様の子を妊娠したので追い出したと白状したそうです。
これに若奥様は激怒して若様をフルボッコにして私を探したそうです。
それは問題ないのかと思いましたが、若奥様の実家は若様よりも位が高く。若様のお父様つまり当主様が優秀な方らしく当主様に大きな仕事を与える為にした政略結婚らしいです。
若様は若奥様に頭が上がらないそうです。多分だから従順な庶民の女である私を自由に出来ると踏んでやったのでしょう。反吐が出ます。
「ところでアリス。聞きたいのだけど」
若奥様はニコニコと笑いながら聞いてきました。
「なんでしょうか?」
「あの人私に殴られているときに、アリスはすごく気持ち良さそうに感じてくれたんだ。君とは違う。とか言っていたけど本当?」
「いえ、その、ただただ気持ち悪かったです。気持ちいいと言えば早く終わってくれたのでそうやって演技をしていただけです」
私の答えに若奥様は口を窄めプッと噴出し口元を扇子で隠しました。
「やっぱりね、あの人短いし、早いし、下手糞だし、まったくあんな粗末な物で私のかわいいアリスを汚すなんて許せない。まったく」
若奥様はまた怒り出しました。
若奥様は村長の家に泊まるようで話もほどほどに別れました。
次の日にニルス様が帰ってきて若奥様が事の顛末を話し、私を連れて行きたいとおっしゃってくれました。
ニルス様は渋い顔をしましたが私からもお願いしましたら私が納得しているのなら止める理由は無いとおっしゃってくださいました。
奥様に連れられてお屋敷に帰ってみると顔面がでこぼこに腫れた若様がいました。
それと知らない執事服を着た方一人。
なんでも当主様の秘書長をしている方らしいです。
帰っている時に若奥様から聞いたのですが、貴族の方がメイドに手を出すのはたまにあることらしいです。
それ自体はあまり良い事とされませんが、よくあることと思われる程度です。
その後の対応でやはり貴族の体面というのが決まってくるそうです。
まずそのメイドを闇に葬る。
これは、ばれなければ一生外に出ることはありません。ですが、ばれたときの悪評は天井知らずと言っても良いでしょう。
他には子供は庶子として認知し、そのままにする。もしくは愛人として匿うです。
次にメイドに暇を出す。
これが最も一般的です。ですが、メイドに退職金として口止め料を払うのが普通です。
その金額が、多いか少ないかで貴族の評価が決まると言ってもいいです。
普通は二、三ヶ月ほど普通に過ごせる金額。多いと半年ほど。見栄っ張りな大貴族ならばつつましく過ごせば一生過ごせる金額を与えたりもします。
ですが、私の場合そんな物はいっさい無し、これでは最初の闇に葬ると同じような悪評が立って、当主様の器を疑われるほどです。
当主様もこの事を重く見て秘書官をこちらに派遣したそうです。
私が妊娠していると診断した光魔法の使える子をここに呼んで私のお腹の子の性別判断をして女の子と出しました。
この事で私の子供は若様の子と認知、若奥様のお腹にいるすでに男の子と判明している子を次期当主と任命。若様を当主継承権最下位に任命。この領地の統治権を若奥様に、もし当主様が次期当主の成人前に亡くなったとしても後継人は若奥様にすることが決まりました。
若様ががっくりとうなだれてどこかへ行ってしまいました。
そして二ヵ月後、若奥様が産気づき無事に男の子を出産。それに続けと三ヵ月後に私も女の子を出産しました。
私の出産の時はちょっとした戦場になりました。
「ちょっとまだ熱い。これじゃあ産湯になんないよ。奥様の時の子はどこだい?」
「あの、産婆さん、目の前の子です」
「ああ、もう、なんでここの人間はお湯を作るのが下手かね」
ごめんなさい。多分私のせいです。
自然と乳母の役目は私となり子爵家の乳母として、若奥様付きのメイドとしての日々を過ごすことになりました。
「ねぇアリス」
「なんでしょうか、奥様」
「アリスの娘にねいい相手がいるの」
まだ娘は一歳なんですけど、どうなんでしょうか?
「私の弟の次男なんだけどね、お父様も義父様との関係をもっと強く結びたいらしいの、だからお願い。もちろんアリスがいやなら他のも考えるから」
いやいや、若奥様ここの領地を治めてる領主代行のはずですが? なんでこんなに下手なのでしょうか? でも考えてみると悪くない縁談だと思います。
私のような辛い人生をこの子に味わわせたくありません。
「ありがとうございます。この子も幸せでしょう」
「よかった。アリス、ありがとう。私のかわいいアリス」
そう言って若奥様は次期当主様、娘、私の順に頬にキスをしてきました。
私の娘は娘でありながらメイドとして仕えている家の当主の孫にあたる人物になります。
そこらへんの歪な関係があっても若奥様のおかげで特に問題もなく関係を築けていました。
そして十四年の月日が流れ、次期当主様と娘は王都の学園に通う事になりました。
私は若奥様付きのメイドであり若奥様は領主代行です。
だから王都に付いて行く事は出来ません。
すごく心配です。
礼儀作法は厳しく教えてもらいました。ですが、庶子だからと馬鹿にされるんじゃないかと、虐められるんじゃないかと気が気でありません。
心配で心配で送り出したその年の年末。大きな事件が起きます。
第三王子の真実の愛事件です。
今年入学したこの国の第三王子ととある庶子の子爵令嬢が恋に落ちました。
普通なら結ばれることのない二人。でけどそれが二人の恋をさらに燃え上がらせます。
当然回りは身分違いの恋を応援する者もいません。
第三王子の婚約者である公爵令嬢も二人を引き離す事に躍起になってあの手この手を使ってきました。
そして子爵令嬢が学校の階段から突き落とされる事件が発生しました。
さいわい近くに光の魔術が上手い生徒がいた為後遺症も傷も残らずにすんだみたいです。
そして、年の終わりの進級パーティの時にその事件が起きます。
第三王子が公衆の面前で公爵令嬢に婚約破棄を言い渡したのです。
第三王子は公爵令嬢の悪行を公表し、公爵家の悪行も同時に調べ上げ公表したのです。
激怒した公爵令嬢は子爵令嬢を近くにあった豚の丸焼きを切り落として食べる用の肉きりナイフを持って襲いました。
ですが第三王子の一撃でナイフを落とされ、王家に刃を向けた罪で公爵令嬢を逮捕したそうです。
この庶子の子爵令嬢は他ならぬ私の娘です。
この話を聞いた時、私は思わず(あの馬鹿娘なにさらしとんじゃい。お前にも許婚がいただろうが!)と思ってしまいました。
この話が出回ってから私と若奥様は急いで王都に向かいました。
そして領主様と初めて対面し事の重大さを知りました。
王家も領主様とその上にいる侯爵家も今回の火消しに躍起になっています。
幸いな事に公爵令嬢の実家が行っていた不正の大きさがすさまじく取り潰すには充分で王家としては目の上のたんこぶであった家が潰せるという事と、民衆がこのロマンスに好感触な所です。
王都で火消し工作をしていたある日、若奥様が王妃様にお呼ばれしたので私は若奥様についていきました。
王城のテラスで王妃様と若奥様の対面がありました。
本来なら子爵家の女と王妃が一対一で会うことなどありません。
ですのでこれは非公式の会合です。
二人は互いにお茶を飲みながらの腹の探り合いです。
ですが、若奥様と王妃様では場数も力量も違います。徐々に若奥様の旗色が悪くなっていきました。
「アリス、お茶のお代わりを」
「はい」
「あら、時間が起ってもうお湯が温くなってしまいましたね、待っててください今沸かさせますから」
「大丈夫です。アリス」
「はい」
私と若奥様は阿吽の呼吸で会話し、私は用意された茶葉の種類、湿度、湿りを確認し最適な温度のお湯を作り出しお茶を作り出しました。
私はそのお茶を若奥様のカップに注ぎました。
「ありがとうアリス、今日も美味しく入ってるわ」
「ありがとうございます」
私達主従の一連の動きを見ていた王妃様がニヤリと笑いました。
「ふふふ、そう、その子水の魔法が上手いのね、あんなに一瞬で水をお湯に変えるなんて」
「私はこの子を当代一と思っております」
「そうなのですか?」
「はい。アリス、王妃様にも入れてあげて」
そう言うと王妃様は残ったお茶を地面に捨てカップを空にしました。
私は王妃様付きのメイドにポッドを渡します。
王妃様付きのメイドがポッドを受け取り王妃様のカップに注ぎました。
そのお茶を一口飲むと王妃様は目を見開きました。
「あら美味しい。温度もちょうど良くて、この葉っぱのいい香りが最大限に引き出されているわ」
「私の自慢の子です」
うーんもう三十前で子って年じゃないんだけどね。なんか貴族がメイドを呼ぶ時はそう呼ぶらしい。
「そう……。ならその子下さらない?」
へ?
私と若奥様の二人が同時に固まってしまいました。
「そ、それは……」
「くれたら私、今回の騒動の収束に力を貸してあげます」
王妃様が笑顔でそう言ってきました。
今回の騒動の収束において一つの障害になっているのが王妃様の勢力の中立維持である。
王妃様が今回の騒動に協力していただければすぐに収束されるだろう。
逆にここで長引いたり、収束しきれずにこちらに非が来た場合。若奥様や娘を含めた私達の滅びだろう。
「奥様、ここは私が行くしかないようです」
「アリス、私のかわいいアリス……。ごめんなさい。あなたを守るって言ったのに、ああ、こんなんじゃ天国にいるニルス様に顔向け出来ないわ」
「奥様、奥様は充分守っていただきました。これは私が自分の意思で行くのです」
「ごめんなさい」
こんな風に若奥様との別れを惜しんでいたら王妃様に笑われてしまいました。
「いい主従関係ね。でもその子は貰うわね、あなた明日からここで私付きのメイドとして働きなさい」
そう言われてこの会談は終わりました。
次の日に若奥様と王城へと向かい私だけが中に入りました。
私は王妃様付きのメイドの一人として働き始めました。
王妃付きのメイドは四人いて私以外の三人はみんな貴族で、庶民は私しかいません。なんか出世しちゃったけどべつにそこまでしたくなかったな……。
四人の王妃付きのメイドは朝顔を洗う水と器を持って王妃様を起こしに行きます。
朝水壷にある水を人肌のお湯に変えて持っていったら大変喜ばれました。やっぱり王妃様もこのほうがいいのでしょう。そして毎朝の起床の番は私に変わりました。
王妃様の開くお茶会も私が専属になり。
三日に一度だったお風呂も私がお湯の温度調節をするようになると王妃様は毎日入るようになりました。私はその時に一緒に入りますが私よりも十も上なのにこの肌のハリはうらやましいと思うのです。それにおっぱいも若奥様以上です。私は一緒に入って念入りに王妃様を洗います。
こうやって私専属の仕事が増えれば嫉妬も増えるかなと思っていましたが、他の事に関して言えば他の三人が一枚も二枚も上手で私はその三つをやっていれば良くなりました。
私がこうして王妃様付きのメイドになったことで問題の収束も早々と済むことに成りそうです。いえでした。
娘が伯爵家へ養子に入り第三王子が公爵位を得て結婚と思ったら何を思ったか、第二王子が真実の愛事件を起こしたのです。
だけどこの事件は第二王子と男爵家令嬢の自作自演とわかり公爵家の令嬢と当主が怒り王家がこの二人を療養と言う名の幽閉をしてしまいました。
そして運が悪いことに第一王子が流行り病で後遺症が残りベッドから立ち上がれない状態になってしまいました。
必然的に第三王子の臣下が取りやめになり第一王位継承者になってしまいました。
この国大丈夫なのかなぁと心配になりながら今日も王妃様の背中をながすのでした。
主人公はこの世界ではなろうで言う意味のチート魔法使い(精密性)です。
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