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チャゾステーションでの遭遇3

すんません。まだ続きそう。

ヤシマの向かう宙域は危険度の高いデブリが浮遊している宙域であることが渡された資料からわかった。現在、偵察行動中のヤシマはその宙域に向かって亜光速で移動中である。


「サリア。ちょっと遅いけど昼食にしようか。」


単距離時空超越をしないのは、その痕跡を見つけられたくないから。通常航行するより音でいうと爆音に近いレベルで探知されやすい行為であるためにに使うことができなかった。


「はい。マスター。準備はできてます。今日はサンドウィッチですのでシーアと一緒に艦橋にお持ちしますね。」


ただでさえ、大きな艦体を持つヤシマはステルス行動は苦手であったし、極力先制して的に見つかるような動きをすることはできない。


「たのむよ。」


亜光速とはいえ、宇宙は広く問題の宙域に到達するにはまだまだ時間がかかる。少々正確に言うならば6日はかかるというものだ。通常航行でこのような長旅をすることはほとんどないと言っていいために久々の長距離通常航行になれてない四朗は警戒はしつつも普段通りの艦内シフトを敷いていた。


「定時報告。マスター。付近に艦影は認められません。機関出力安定。航行に支障なし。間もなく艦橋用エレベーターが始動します。サリアですね。」


チャルは、何も映っていないオペレーター用のシートにその機械の体を括り付けていたが、思い出したようにそのような報告をする。

まもなく、艦橋搭乗用のエレベータが四朗の足元で開くと獣耳を揺らした二人がバスケットを手に入ってくるのが認められた。


「マスター!お昼だよー!」


元気いっぱいにシーアが四朗のもとに掛けよるので自身が座るシートを下におろしながらバスケットを受け取ることで対応する。


「ありがとうシーア。」


二人のために、仮設用の椅子を床から、移動式のテーブルをセットするように四朗の指がコンソールをたたき、ヤシマはそのように動いた。二人が座席につくのを確認して四朗がバスケットの蓋をあけるとそこに、灰色の物体に黄色がかった調味料が練り込まれたサンドを見つけることができたのである。


「マヨネーズ!」


四朗が思わずそう叫ぶとサリアがクスリと笑い。「どうぞ。美味しいと思います。」と声をかけた。

四朗は「いただきます」もそこそこに、ツナサンドをパクリとかじりついたのである。


「美味しいよ。サリアはすごいなぁ。マヨネーズまで再現できるなんて。」


「いえ、マスターのレシピが生きていたから再現できたんです。それに、すごいのはマスターですよ。味気ない宇宙での食事によくここまでレパートリーを増やせましたね。」


サリアが苦笑しながらそのようなことを言った。宇宙での食事というより、この世界の食事は人間に必要な養分を無駄なく摂取できる時代でもあったため、食事はどうしても味気ないものになってしまいがちだった。美味しものよりも必要最低限の食事だけで済まそうとする、銀河連邦の人々に耐えきれなかった四朗はサリアにまずお願いしたのはヤシマのデータバンクから食事用のレシピの修復だった。


「ヤシマがどれだけ漂流していたのかはわからないけど。完全にデータが飛んでなくてよかったよ。じゃないと今頃、味のない薬みたいのを齧らなくちゃいけないからね。」


「チャルが手伝ってくれますから。出来上がったものを味見して、失敗してないことを確認するのが、私とシーアの仕事です。」


「えへへーっ。美味しいでしょ!」


二人の料理長は満足気に、胸を張って見せる。四朗は、サリアの胸元に注意を向けながら神妙な面持ちで二人に感謝を伝えた。


「二人がいなかったら、生活があれてただろうな。ほんと助かるよ。」


サリアが少々顔を赤らめて胸をさりげなく隠して、シーアが元気よく「マスターから頼まれたお仕事だから!」と返してきた。純情な娘ってなんかいいよなぁとか頭の中で考えつつも、二人をのせたまま戦闘をすることに慣れてきた自分を少し嫌になりながら今は目の前の食事を楽しむことに集中しようとした。


「マスター。御楽しみの最中申し訳ありません。」


普段なら決してこのひと時を邪魔しないチャルが声をかけてくる。


「どうしたの?チャル?」


この異常事態に四朗はコンソールに目をやった。そこには5つの点が高速でこちらに向かってくるのが見える。


「不審船です。相手は、こちらに所属を発信してきません。また、エネルギー増幅を感知しました。戦闘艇であるかは不明です。」


チャルのこのあまりにも残念な報告に四朗は、座席を指令用の高さに戻し指示を飛ばす。


「全艦隔壁閉鎖。第甲種戦闘用意。所属不明艦に停船要請理由はでっち上げて!」


けたましいサイレンの音とともにヤシマが戦艦である力を発揮しようと全身に力を入れ始めた。兵装、機関、シールド。あらゆるものが目を覚まし、戦闘態勢を形作る。


「サリア、シーアは、そこで待機だね。何事もなければ良いけど。」


「…はい。」


「おねぇちゃん…」


「大丈夫。こっちにきて目をつぶって。終わったら教えてあげるから。」


サリアはシーアを抱き上げて自分の膝の上に乗せるとその上からベルトで体を固定してシーアの頭を抱えてギュッと抱きしめた。



「不審船。こちらの要請を無視。さらに加速します。」


チャルの絶望的な報告に四朗は「主砲、打ち方用意。」を命じた。


「了解、主砲撃ち方用意。弾種、陽電子ビーム弾装填完了。敵戦有効射程内。砲塔標準合わせよろしい。打ち方よろしい。」


チャルが淡々と準備を終える。


「こんな、誰も通らない場所でアンブッシュしてたとは思いたくないけど。ここを通るなんて、まともな船じゃないだろうな。」


四朗がぼやきながら、船体を面舵45を指定した。まもなく、ヤシマはその巨艦を緩やかに方向転換させて全主砲が有効利用できるよう敵に腹を見せる。


「敵勢艦。フリゲート4、駆逐艦1と判明。予想兵装は小型火器と思われます。敵艦射程に入る。」


「打ち方はじめ!」


四朗はやけくそ気味に主砲を発射した。一斉に放たれたその青白い輝きは通常の艦船からでは考えられないほどの大きさを誇っていた。

敵も発射体制になったヤシマを見て慌てて変針したとみえ、その中のフリゲート艦が避けきれずあえなく撃沈されたのを四朗は悟る。


「電探より、敵艦フリゲート1ロスト。撃沈と思われます。」


巨大な光線を浴びた、装甲らしい装甲ももたないフリゲート艦はその一撃で蒸発してしまったらしい。


「これで諦めてくれよ…」


四朗のその願いは虚しくまたもや、敵艦は変針をして再び四朗に向かってきた。


「チャル、全主砲を敵駆逐艦に合わせ。ヤシマ副砲タレット及び上下迎撃ミサイル発射管開け。こちら、目標フリゲート。」


「火器管制電探に入力完了。主砲順次打ち方はじめ。副砲起動。弾幕射撃用意よし。打ち方はじめ。」


ヤシマの容赦ない攻撃にもひるまず、駆逐艦とフリゲートは刺し迫る。ヤシマの自動装てん装置は、優秀な部類だ。これでもかというほど主砲副砲を連動で打ち込む。


駆逐艦はそれをひらりひらりとかわしながらさらに距離を詰めようとしてくる。そして、其方もタレットを発砲してくるのであった。


「敵艦発砲を認む。シールド使用率0.01%。流石に火力は高めです。」


駆逐艦にしては、高いというだけだ。


「脅威じゃない。落ち着いて潰していこう。」


四朗はおもむろに取り舵をして変針。各砲塔もそれに合わせて追尾する。それすらも、避け切って見せながら駆逐艦は筒状の物体を吐き出した。


「敵艦、魚雷発射!」「迎撃開始!」


殆ど報告と同時に発した命令は、ヤシマの迎撃装置を作動させた。


「迎撃電子パルスレーザー砲迎撃開始。弾幕を形成。迎撃用ミサイル及びデコイの発射。・・・迎撃成功。」


ヤシマの腹を食い破ろうとした5本の筒は機銃の迎撃の雨をかいくぐりながら猛進してきたが迎撃用のミサイルがそれを阻止して見せた。少々大げさに爆発するそれに巻き込まれた魚雷もろとも作り出した大きな炎の球体に見とれる暇もなく。四朗はさらに、取り舵をする。


「敵、フリゲート2撃沈。副砲弾命中。うち一隻が機関部を大破した模様。エネルギーの急速低下を確認。」


残るは2隻。四朗は、通常の回線を開いた。


「降伏しろ!もう、勝ち目はないぞ!今すぐ機関を停止させろ!」


この一杯一杯の絞り出したかのような降伏勧告にもなんの反応も示さず。またもや突貫をしてくる2隻。といってもそうこうする間に、また一隻が宇宙の塵と消え、問題の駆逐艦も数発副砲は掠ったのか、損傷しているのが伺えた。敵艦は主砲と思われるタレットから光の槍を何本もヤシマに打ち込んでゆく。そしてそのほとんどが命中するも、もともと、防御シールドの装甲が厚いヤシマに有効打は与え切れていなかった。それでも、古いヤシマの技術では抑えきれるかと言われればそうでもない、


「マスター。ヤシマ第5装甲に損傷。損害極軽微です。」


技術さえ追いついていれば、このよう木津が付く恐れはなかったのだ。それにしても、敵の砲撃手は恐ろしい手練れだと思いながらも、迫りくる駆逐艦に全火力を集中させた。


「敵艦に最大火力。進路を射線でふさいで、確実に撃破を目指す。」


チャルがすぐさま計算をし始め。どのような状況にも絶対に逃げられないようなコースを作り出す。


「機銃数発の命中を確認。敵艦さらに損傷。」


「敵シールド、ロスト。次発耐えられる可能性ゼロ。」


「敵艦副砲命中。敵損傷率50%を超えます。」


「敵、酸素漏れを確認。火災が発生している模様。」


「敵主機関沈黙。補助機関で航行している模様。なお、戦闘タレットの85%が沈黙。」



矢継ぎ早に報告が上がるのを四朗は黙って聞いていた、なかなか、止めが刺せないのもあったが、敵が頑張りすぎることに疑問を抱いたのだ。


「なぜ、あそこまでやれる?」


もはや、超人の域に達した曲芸を見せられた気分になってきたと、シロウは頭を振る。


「捕まれば死刑は確実ですから、兵法で呼ぶところの死兵になっている可能性は十分に考えられます。」


チャルの分析を聞き流しながら「それなら、最初から海賊なんてやるかね。」と嫌味たらしく言った。正直四朗には、そこまでできる腕があるなら、その腕だけで食っていける自信もあったし、犯罪に手を染めることで得られる物を取り逃がしているこの状況が非常に腹立たしかった。

やがて、敵艦は機関を焼き切ってしまったのか、動きを止め。四朗も止めを刺す必要はないと撃ち方やめを命じたのである。


うーん、戦闘シーンがうまく書けない。登場人物がまだ少ないから仕方ないけれども!

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