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プロローグ

  遠くで12時を知らせるチャイムがなっている。

 燦々と降り注ぐ太陽の光でアスファルトがジリジリと焼かれている。遠くを

 見れば陽炎のように地面がユラユラと揺れる。炎天下の中、公園のグラウンド

 では、夏休み中の子供達がワイワイと楽しげにサッカーをしていた。

  その公園の駐車場の片隅には植林された木々により、車がスッポリと入る程の

 木陰があり天然のサンシェードが出来ている。氷室龍人(ひむろたつひと)にとって、炎天下から

 守ってくれる木陰と、暑さを和らげるような爽やかな風が吹くこの場所は、気持

ちの良い時間を過ごせるお気に入りの場所だった。


  龍人は、建材を扱う資材メーカーの営業マンで、外回りを良いことに天気の良い

 日は決まってこの場所で休憩するのが日課になっていた。日中の大半をこの場所

 で過ごし(主に昼寝)夕方近くに、客先を1、2件まわり帰社する。そんな毎日を送

 っていた。

 

「いや〜今日も暑いな。こんな日に仕事してたら身体壊しちまうよ…」


  龍人は、昼寝の時間だと言わんばかりに、欠伸をしながらシートを倒し、優雅

 なひと時を過ごすべく、目を瞑り惰眠を貪るのだった。


  どのくらい時間が経ったのだろうか。

 違和感を感じ、ふと目を覚ますと龍人は自分の目を疑わざるを得なかった。


  「何が、どうなってるんだ…?」


  徐にシートを起こし、周りの様子を確かめると、目に見える景色の全てがモノ

 クロに見えていたのだ。公園内にある草花も。アスファルトやグラウンドの土

 も。燦々と光を照らしていた太陽までも。全てが白と黒の世界に変わっていた。


  「寝ぼけているのか?」

 

  と言いつつも背筋に嫌な汗がツーと流れるのを感じた。


  (景色だけじゃない…グラウンドにいた子供達がいない…それに散歩やジョギ

 ングをしていた人達も少なからずいた筈だ)


  人っ子一人いないモノクロの世界に、龍人は意味も分からず恐怖した。


  (昼寝してる間に何が起こったんだよ!夢か…?いや、何故か現実感はある…

 あれ?)


  思考に没頭する間も無く、視界に見えるモノクロの世界に罅が入り始め、砕け

 散った。そこには、無機質な真っ黒の空間が広がっており、その黒い空間から

 強い光が差した瞬間、龍人は吸い込まれるように空間に飲み込まれた。


  (うぉ眩し!えぇ?吸い込まれるー!えぇ〜〜〜?)


 

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