出兵
部隊長に伝令が届けられたのは、剣の訓練をしている最中であった。
内容は、ボトム村およびエンクローズ村の村民を討伐することのみであり、
詳細は、伝えられなかった。
突然の出兵に部隊長は困惑していたが、国王様の命であるならば従うのみである。
部隊長:「わかった、すぐに出兵準備!!、第一騎馬隊を集合させろ!!」
側近の者に各自出兵準備を整え集合させるように指示を与えた。
部隊長は、最低限の情報収集を怠らなかった。
ボトム村、エンクローズ村、そして2つを繋ぐ洞窟があることを。
ボトム村に到着したあとに、洞窟を進まなければならないことを。
王宮前の広場には、馬に乗った兵士が集合していた。
ゆうに50騎を越える錚々たる面々であった。
部隊長は、兵士たちの前にでると、大きな声で話し始めた。
部隊長:「ボトム村に向けて進軍する。
これは、訓練では無い。心してかかるように。
出兵前に、ボトム村とエンクローズ村を繋ぐ洞窟の内部を
知っている者を探しだすのだ。
発見者には褒章を与える。
発見した際は赤の狼煙を上げ、その者をつれてくること。
狼煙が上がった場合、全員城門前に集合すること、
以上、遅滞無く執り行う事、すぐに取り掛かれ!!」
兵士達が散っていくなか、城門に向かいながら考えた。
部隊長:(いったいなにが起ころうとしているのだ、、、。)
エンクローズ村と交流が始まってから1年ほどしかなく、行商人が数回訪れた程度であった。
このため洞窟内部を知っている者は少なく、捜索は難航した。
洞窟の案内人は、諦めるしかないかと思案していたそのとき、赤い狼煙があがった。
部隊長:「やっと見つかったか。」
時間はかかったが、部隊長として兵士の安全を考えるとしかたがないことだった。
この捜索が無かったらボトム村とエンクローズ村は壊滅させられていたことだろう。
案内人と兵士の集合を確認したのちに、進軍が開始された。
それは丁度カイルとゼットが村に到着した頃であった。