神の山の民
ある日、洞窟掘っていると巨大な空洞に繋がり、彼等の仕事が
洞窟掘りから洞窟探索へと変わった。
そして数多の分かれ道を越えた先の空洞の天井に光が漏れているのを発見した。
天井ちかくまでの足場を確保し、垂直な通路をなんとか登りきり、
その小さな穴を広げると穴の外へ出てみた。
そこは木々で溢れた森の中であった。
男は恐る恐る森の中を進んでいくと、少し開けた所に人が集まっていた。
老人が男に気がつき話しかけてきた。
老人:「こんなところに旅人とはめずらしい、エンクローズ村にようこそ。」
話をすると、どうやら山を越えた人々の末裔らしい。
命からがら山を越えたと思ったが、四方を山に囲まれており、
先に進むことも戻ることもできず、ここで暮らすことになったということだ。
彼がどうやってここに来たか、外の世界の話など、話題は尽きなかった。
男がしばらく滞在しているうちに不思議なことを目にした。
なんと子供達が手を使わずに物を動かしていたのだ。
奇術の類かとも考えたが、そうは思えなかった。
恐る恐る彼等に尋ねてみると、ためらいも無く答えてくれた。
この地に住むようになってからこの力を得たとのことだった。
その力は小さく、小石ぐらいの物を動かせる程度だった。
彼等は、この力のことを魔法と呼び、魔法の強さを魔力と呼んでいた。
彼等は魔法を使えること意外、外の人間と何一つ変わらなかった。
男はこの村の人々のことを『神の山の民』と呼ぶことにした。
男が村に戻る日、長老は外の世界に繋がる道を使う許可を求めた。
男は快諾し、2つの村の交流が始まった。