俺の兄は俺様会長だ
他のシリーズとは別世界です。
俺の兄貴は超絶美形だ。
神かと見紛う容姿。
色気溢れる艶やかな黒髪に、黒く鋭い眼光。
そして、圧倒的カリスマ。
周りの人間は、全員兄貴に従う。
時に、両親でさえも兄貴に頭が上がらない。
現在、高等部。
持ちゆるハイスペックとカリスマで、学園では生徒会に所属し、生徒会長の任に就いている。
学園も違わず、兄貴の支配下だ。
そんな兄貴をずっと、身近で見てきた俺。
俺の兄貴は俺様生徒会長だ。
とでも思ったか!
バカめ!!!
俺の兄貴は、隠れ泣き虫ヘタレだッッ!!!
そう。
俺の兄貴は間違っても、俺様とか言える性格ではない。全くない。
泣き虫で、怖がりで、ビビリで、ヘタレで、ドジッ子で、騙されやすくて、子ども味覚でetc.
数え上げればキリがないほど、俺は兄貴の恥ずかしい黒歴史を知っている。
そんな兄貴が何故クールで俺様な会長などと呼ばれているか。
答えは至って単純。
超人見知りと内弁慶を物凄くこじらせた結果だ。
「マジで!?人見知りと内弁慶こじらせたらアレになんの!?」
「うん」
「嘘だろ、あんなイケメンの実態がヘタレとか詐欺だわ!!」
「うん」
「…やっぱ嘘だろ!?」
「写メあるけど?兄貴が泣いてるとこ」
何ならムービーもあるぜ。
「…いやっ、いい!見ない!何か、俺の中の何かが崩壊する!」
「もう手遅れじゃね?」
「うわぁあああ!あのイケメンが、神の美貌が、泣き虫とかぁあああああッ!!!」
コイツ面白いなー。
やっぱ話して正解。
ナイスリアクション☆
「―万里」
「あ、兄貴」
神の美貌(笑)がお出でなすった。
いや、美形よ?彫刻のように。
けど、家でも学園でも見慣れてる俺からしたら、普通なんだよ。
多分、俺は将来結婚する時、相手を不細工だと思って結婚する。
まぁ、恋は盲目っていうし、大丈夫だろ。←テキトー
「誰だ、ソイツは?」
「ダチだよ」
「こ、こんにちはです!」
あり?
何でそんなかしこまってんの?
「ふぅん…」
「そうだ、兄貴。今日の晩メシ、唐揚げでいい?」
うちは親が忙しい。
こういう場合、普通はお手伝いさんが居るんだけど、兄貴の偏食+舌がうるさいのに対応出来んの俺だけなんだよなー。
「! あ、ああ」
「じゃ、それで。…それとさ、兄貴」
「何だ?」
「兄貴宛てに女の子からプレゼント貰ったんだわ」
「廃棄しろ。いや、俺がする。渡せ」
「その子、俺がちょっといいなって思ってた子なんだよね」
「…………」
「兄貴、…キライ」
その後、兄貴は幽鬼のような足取りで去って行った。
「な?すぐ涙目になって面白いだろ?」
「お前、最強だったんだな…」
「は?」
俺のスペックは平凡だぞ?
とりあえず、心にも思ってないこと言ってしまったので、今日は唐揚げにプリンも付けよう。
女の子云々は嘘だぞ、兄貴。
いつか兄貴が悪い女や詐欺に引っ掛からないか、弟は心配だ。
千「…ぅぅ」
副「………」
千「……はぁ」
副「………暗いッ!何ですか、さっきからジメジメと!」
千「……万里が」
副「またですか!万里くんってば、千里で遊ぶのはお家でって、いつも言ってますのに、もう!」
その後の生徒会室にて。
☆★☆
・弟→万里くん
ハイスペックなカリスマ兄を持つ平凡男子。
しかし、実態を知っている為、コンプレックスを持つことなく過ごしている。
面白いことが好きで、普段は兄のことを語らないが、リアクションが面白可笑しそうな奴にはペロッと言う。
・兄貴→千里くん
周りからは超絶美形なカリスマ俺様生徒会長、弟からは泣き虫ヘタレと言われている。
自分にレッテルを着せず、普通に接してくれる弟が大好き。
餌付けの効果もあると見られる。
・友達→田口くん
美形な生徒会長をスゲェなぁ、雲の上の人だと思ってる一般生徒。
弟くんの悪戯心のせいで図らずも実態を知ってしまった。
・副会長
会長とはまた違った美形。
弟くんの悪戯の被害者の1人。