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無題

作者: 菜畑三太郎

 今日も私たちは歩き続ける。「未来」という、無限の可能性を含む目的地へと向けて、歩みを止めることなく。



 ある人は僕にこう言った。「転んでも前を見続けろ。さすれば、転んだその痛みは必ず報われる」と。


 またある人はこう言った。「可能性というのは君の目の前に広がっているのであり、後ろにはない」と。


 だけど僕は、前へと歩きながら自分の横に広がる新緑の萌える並木道や、軽やかな旋律を奏でるように流れる小川を眺めるのがたまらなく好きなのである。


 そして、たまには自分が歩いてきた道程を確かめるように振り返ってみたり。


 「そんなにきょろきょろしてたら転んで怪我するよ」あるランナーは僕にそう言った。


 「邪魔だ、どけ!」さして急ぐ用もないだろうに、早足の老人は僕を杖で叩いて先を急いだ。


 だけど僕は気にしない。何を気にする必要があるか。



 それぞれの生きるスタンスがあるんだ。ペースがあり、ポリシーがある。人生というマラソンを駆け抜ける人がいるならば、歩いていく者もいていいじゃないか。


 先を急ぐ者は先を急げばいい。伴う苦痛はかなりのものだが、得るものはきっと大きな、かけがえないのものに違いない。


 でも僕はゆっくりゆっくり、みんなが気付かないような道端の小さな花を見つけてみたり、雨上りの道の水たまりに映った青空に自分の顔を写してみたりしながら進んでいきたいと思う。



 途中でサイダーなんかを買っておくとなお良い旅になるかもしれない。

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