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鉄道警察隊、西村のスイリ。  作者: オリンポス
【11回目のスイリ】
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(File39)鎌田正信の殺意⑧

 視界がだんだんと赤黒く染まってきて、島崎鳴海は目を閉じた。

 しばらく経ってから開閉してみる。

 すると、もはやまぶたの裏側を見ているのか、それとも外の景色を見ているのかわからないくらいに、視覚情報は断絶されてしまっていた。耳もほとんど機能していない。身体の感覚もない。音も色も温度も匂いも何も感じない。永遠に虚無が続いている。


 それでも西村さんは、大声で私の名前を呼び掛けてくれているんだろうな。

 そう思う。思考力だけは、まだ生きている。


「警察官という職業は、世の中の人が思っている以上に危険な職業なんですよ」

 明治神宮での西村の言葉がよみがえる。

「犯人を組み敷くのが危険だとか、ヤクザの抗争に巻き込まれるとか、そういう大きな事件(ヤマ)に当たるのはごく稀ですが」

 ……ごく稀なんだ。

 でも、良かった。南拓実くんを守ることができて。

「いつになるかはわかりませんが、大切な人を守れるくらいに強くなったら、私から声を掛けます」


 ねえ、西村くん。

 もしも私が死んだら、あなたは悲しむかな。

 ねえ、西村くん。

 私はあなたにとって、立派な()()役が務まったかな?


 もっといっぱいあなたと話したかった。

 もっといっぱいあなたに会いたかった。


 ねえ、あなたの大切な人ってだれ?

 私以外の人かな?

 もしもそうだとしたら私のことなんかすぐに忘れてね。

 私は、()()()()()()()()のだから。


 ああ、せめて最期くらい。

 最期くらいは、西村くんの推理が聞きたかったな。


 今までまでありがとう。

 そして、サヨウナラ。

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