(File28)最終関門②
「アイラブユー。適齢期。結婚……」
東川は早くも推理を始めた。
「結婚、結婚指輪、ジュエリーショップ」
そうぶつぶつと小声で呟く。
「アイラブユー? そして適齢期」
うーんと唸ってから、漱石の等身大パネルに目を向けた。
「アイラブユー、適齢期、結婚、夏目漱石」
わかった! と彼は膝を打った。
「この勝負もらったぜ。西村っち!」
「ふぉっふぉっふぉ。中々に侮れない。そろそろわしも目的地へと向かうか」
東川と北方は競うようにして建物を出た。
残ったのは、西村と島崎と南少年だけだ。
「お前もわかったんだろ。だったら行けよ」
南少年は鋭くにらむ。
「ええ。ですが、あなたもすぐに追い付いてきてくださいよ」
西村は大人の余裕を見せつける。
「期待していますよ。南拓実くん」
「子ども扱いしやがって!」
そんな彼を尻目に、西村と島崎は建物を出た。
「目的地は渋谷駅ですよ、島崎さん」
そして渋谷区で男女が結ばれるところと言えば、ジュエリーショップではなく、そう西村は続ける。
「縁結び。明治神宮です!」
「明治神宮? でも東川さんはジュエリーショップに行っているはずじゃ」
「そうです。もし私の推理が不適切ならば、優勝はおそらく彼になりますね」
西村は表情を暗くして言った。
「アイラブユー。適齢期に結婚しよう、か」
島崎はふふっと笑んでから、スニーカーの靴で走った。
「婚活パーティで知り合ったとは言え、まさか、ね。告白してくるわけないよね」
そう心中に期待と不安を抱きながら。




