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鉄道警察隊、西村のスイリ。  作者: オリンポス
【10回目のスイリ】
29/46

(File27)最終関門①

 漱石山房記念館は緩やかな上り坂の途中にあった。

 西村一行はタクシー運転手に礼を述べてから建物内へと歩みを進める。

「そこにいる警備員さんに話を聞けば、次の暗号文が提示されるはずです」

 西村は、背の低い漱石の等身大パネルの隣に立っている警備員を一瞥した。

「私が代表して聞いてきますね」


「ふぉっふぉっふぉ。思ったよりも早かったな、若き者よ」

 そのパネルの後方から頭頂部の禿げあがった男性が姿を現した。

「そちらこそ、思ったよりも遅かったですね。北方さん、でしたっけ?」

 南拓実は口角を上げて挑発を仕掛ける。


「隣のカフェソウセキで休憩がてら、孫にみやげを買っていたんじゃ」

 そう牛乳色のビニール袋をかかげて見せる老人。

「ほれ、漱石の絵ハガキに、ネコがプリントされたクリアファイル、それにブックカバーも買うたわ!」


「はあ? そんなの興味ねーし!」

 対する南拓実少年は表情を歪めた。

「吾輩は猫であるを読んだけど、つまんなかったし」


「まあまあ、感想は人それぞれでしょうが……」

 西村は場をとりなしてから、

「次の暗号文を聞いてきましたよ。南拓実くん」


「おお、そうか。だったらすぐに教えてくれ!」

 南拓実は目を輝かせるが、

「いいですけど、今のあなたでは解読できませんよ」

 西村は辛辣に言い放った。


「はあ、ふざけんなよ! いいから教えろよ!」

「ああ、西村っち。俺にも早く教えてくれ」

「そうだよ。西村くん」


「ええ、わかりました。次の暗号が最終問題になるそうです」

 西村は言った。

「アイラブユー。適齢期に結婚しよう。J.Y」

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