(File24)第二関門①
新橋駅のホームにも単駅貼りポスターがあった。
そこには緑色の文字で、
「ほ、上1、る、上7、わ、ほ、上1、中1、む、上3、い、中1、つ、上6、へ、下0、と、中3、ほ、上1、は、上1、へ、下3、ほ、上1へ、上6、は、中9、へ、上6」
「西村くん、ひらがながあるよ。これなら数字に置換しやすいよね。まずは五十音表に基づいて……」
「待ってください、島崎さん。おそらく今回も数字に置換してから、アルファベットに置き換えて、その後でローマ字読みをさせるつもりなのでしょうが……」
「ああ、西村っちの言う通りだぜ」
東川はそう指を折り始めた。
「あかさたな、はまやらわ。“は行”は6番目で、“ほ”は数字に変換すると30になるだろ。30番目に符合するアルファベットは存在しないから、単純な五十音表とは限らない!」
「それならまずは上とか下の数字を検討すべきでしょうか? これは上り列車、下り列車を示していると思われますし……」
「だとすると“中”という文字がなんなのかわからない。上中下ってのはどういう意味を持つんだ?」
「その通りですね。単体だと意味がわかりませんが、“ひらがな”と“上中下+数字”がセットでひとつの意味を持つとは考えられませんか? 上にいくつずらすとか、下にいくつずらすとか……」
「もしもそうした指示記号なのだとしても、“中”という文字がなにを表すのかわからなければ、結局は八方塞がりではないのか?」
「確かにそうですけど、中、センター……」
西村は唇をとがらせている。
「暦じゃないかな?」
島崎は男2人が唸るのを見かねて一石を投じた。
「もしも西村くんの推理が途中まで合っているのだと仮定すると、この文字列はアルファベットに変換されるでしょ。アルファベットすなわち26文字だから、上中下で1~30までの数字を網羅する必要がある。そうしたら、上旬、中旬、下旬じゃないかなって思ったの。上の1は上旬の1日目だからそのまま“ついたち”だけど、中の1は中旬の1日目だから11日、下の1は下旬の1日目だから21日。こう考えれば数字に置き換えられるでしょ」
「え、ええ。確かにその通りです!」
西村は笑顔を炸裂させて言う。
「よく気付きましたね!」
「え、うん。西村くんのおかげかな?」
島崎は謙遜しつつ、
「あとはひらがなの方がわかればいいんだけど……」
と頭を悩ませる素振りを見せた。




