(File23)第一関門③
「ほら、おかしな単駅貼りポスターがありましたよ」
浅草駅の地下鉄のホームには、ビールの広告や浅草寺の広告が並ぶ中で、ひときわ異彩を放つポスターがあった。
「謎解きミステリーツアー参加者へ。
QP3、HNYに行け! 解読方法は先と同じ」
「また暗号かよ」
東川はそう眉間をもむ。
「わかりました」
西村はすでに答えを出していた。
「え、もうわかったの?」
島崎は口元を手で覆った。
「はい。これから私の頭は快速列車です」
そう格好つける西村だがとくに受けなかった。
「この暗号をアトバシュ暗号で置き換えると、JK24、SMBとなります」
「それがどうかしたの?」
島崎の疑問に、西村が解説を入れる。
「東日本旅客鉄道株式会社は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を見据え、訪日外国人旅行者の方をはじめ、すべてのお客さまによりわかりやすく、安心して鉄道をご利用いただくために、首都圏エリアへ"駅ナンバリング"を導入しました。そしてJK24の駅ナンバリングは新橋駅に相当しますし、SMBは新橋駅の駅コードに相当するのです。つまりこの暗号が指し示す場所は、新橋駅です」
そうして3人はちょうど滑り込んできた車両に乗り込む。
「普通列車だと思っていたら実は特急列車で、停車駅が一足飛びになることってありません? 私はそのせいで、目的地を通り越して乗っちゃうことがよくあるんですよ」
島崎は楽しそうに列車に揺られていたが、西村も東川もとくにそれを聞いてはいなかった。




