表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鉄道警察隊、西村のスイリ。  作者: オリンポス
【8回目のスイリ】
23/46

(File21)第一関門①

「ええ。ですから、ここから先は関係者以外立ち入り禁止です」

「そんなはずはありません。旅行会社からなにか聞かされていませんか?」

 西村は警備員らしき男に質問する。


「いいえ、そもそもここは旅行会社と提携をしたこともないのです。失礼ですが、なにか勘違いをされているのではありませんか?」

「しかし、この暗号を解読すると所在地はここになるのです」

「そう言われましても、こちらとしてもお通しするわけにはいきませんので」

 丁重に頭を下げる警備員を困らせるわけにもいかず、

「わかりました。失礼します」

 西村はそうしぶしぶ建物をあとにした。


「すいません。違いました」

 そう外で待機をしていた東川と島崎に頭を下げる。

「警備員の方と押し問答になったのですが、ご存じないそうです」


 地域文化浅草総合科はテナントで貸し出されているビルの一角にあった。

 だがこれといった情報も得られなかった。

 推理の方向性は合っていたはずなのに、肩透かしを食らった気分だ。


「そっか、残念だったね。西村くん」

 島崎がなぐさめの言葉を投げると、地面の底から地鳴りのような音がした。

 地下鉄が走っているのだ。

 東京は天にも到達する巨大なタワーだけでなく、地下にも交通機関がある。


「それにしても日本の列車って優秀だよな、西村っち」

 東川は感嘆したように息を吐く。

「最初から最後まで、ダイヤの乱れがほとんどないんだからさ。外国の鉄道はここまで時間に正確じゃないらしいぜ」


「それは常々思っていますよ」

 頭を抱えながら、隅田川方面と雷門方面を右往左往する西村。

 最初から最後までダイヤに乱れがないのもそうだが、もしも遅延してしまっても、その遅れは途中の駅で取り戻しているのだ。


 だからもしもここで出遅れてしまっても、その遅れはツアーの終盤までに取り戻せば……。


「ん?」

 最初と最後。

 地下鉄。

 地域文化浅草総合科。


「そういうことでしたか。確かに目的地はここではありませんね」

 西村は思い切り手を叩いた。

「気付いてしまえばなんということもない。さもありなんといった感じです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ