表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鉄道警察隊、西村のスイリ。  作者: オリンポス
【2回目のスイリ】
2/46

番外・毒のない毒殺!?(前)

誕生日記念作品なので、ファイリングしません。

「本日は【ら~めん・食べちゃっ亭】の開店記念にお越しくださり、誠にありがとうございます。僭越ながら、当店自慢の逸品をご用意させていただきます」

 店長の畑麦はたむぎおもては、カウンター席に並んだ客を一瞥しながら、満足そうに口を開いた。


「いやいや。こうして畑麦くんの開業記念に立ち会えて、ぼくは光栄だよ」

 ラーメン評論家の石狩は目を細めて笑った。


「今度この店に取材をさせていただく照日テルヒだ。おいしいラーメンを期待しているよ」

 グルメレポーターの照日は店内に充満した、スープの香りにすっかり心を奪われている様子だった。


「これからはここのラーメン屋も、うちのライバル店となるからな。視察に来てやったわ! こわっぱが」

 初老の男性はつばを飛ばしながら、ちゃっかり店の宣伝まで行った。


「替え玉が無料と聞いたので、食べに来ました」

 スーツを着たサラリーマン風の男性は、遠慮がちに目を伏せている。


「おいしかったら、ブログに載せますね」

 鉄道警察隊の西村は。

 空腹を訴えるおなかをさすりながら、厨房を注視していた。


 畑麦が作っているのは、とんこつラーメンのようだ。

 と、西村は考えた。


 この香りは、とんこつベースで出汁をとっている証拠だ。

 さらにとんこつスープに焦がし醤油をブレンドすることで、インパクトを与えようとしているな。

 すばやく動く手元を観察しながら、西村はそう分析していた。


 どんぶりがカウンターに運ばれて来る。


「ブラックとんこつらーめんです。お待たせしました」


「どうも」

 西村はレンゲを使って、スープをすすってみた。


 それは真っ黒に染まっているが、しつこさはなく、ガツンとパンチの効いた味付けだった。

 麺は細麺で、そばのように歯切れが良く、ちゅるちゅるっと口の中に入って来る。

 紅生姜やチャーシューなどのトッピングも、スープとの相性が良く、強い存在感を主張するスープに負けない個性を放っていた。


 しかも替え玉が無料なのだ!

 西村は、いつしか箸が止まらなくなっていた。


 しかし、シメのおじやを食べているときに。


「うっ……。ぐ、苦じい――」

 客のひとりが。

 スツールから身を投げ出すようにして。

 倒れてしまったのである。 

(後)は1時間後に予約投稿しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ