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鉄道警察隊、西村のスイリ。  作者: オリンポス
【6回目のスイリ】
18/46

(File16)西村少年のスイリ対決③

ご愛読に感謝申し上げます、最終回です。


ほかに書きたい探偵がいるので、これにて終幕です。

『地具度松才加』ちゃんに会え。

(ヒント:線路からホームをのぞけ)

 紙にはこのような記入がしてあった。


「ちぐどまつ、さいか」

「ちぐどま、つさいか」

「ちぐど、まつさいか」


 読点の位置を微妙にずらして発音してみるが。

 これと言っためぼしい収穫は得られない。


「反対から読んでみよう」

 西村は自動販売機の近くにあるベンチに腰を下ろした。「かいさつまどぐち」


 ピクッと。

 身体が反応した。


「改札窓口だっ!」


 彼は急いで改札窓口へと向かう。

 前の問題に比べるととてつもなくおざなりな回答になってしまったが。

 とくになんのひねりもなかったが。

 改札窓口へと向かう。


「係員さんですか?」

 自動改札口からちょっと外れたところに、すらっとした背の高い女性が立っていた。

「ええ、そうよ。受験者くん」

 その女性はふところから一枚の紙を取り出すと。

「これが最終問題よ。がんばって解いてね」

 と言い残し、立ち去ってしまった。


標準軌(4フィート8.5インチ)

(鉄道豆知識:1フィート=約30,48cm/1インチ=約2,54cm)


「これが最終問題か……」

 なんだか肩透かしを受けた気分だな、と西村は最終問題に取り掛かった。


 標準軌→線路の幅は世界基準では1435mmもある。

 ちなみに日本では新幹線に採用されている。


 だから14時35分に列車が発着する、新幹線ホームに行けば良いということだ。




「なーんて、西村っちは推理してたらしいけど、実際は大間違いだったってわけ」

 心地よいリズムの洋楽と、胸糞悪い東川の独白で、西村は意識を引っ張り戻された。

「えー、間違いなんですか? だいぶ良い線に行ってたと思うんですけど……」

 首をかしげる島崎の顔が、バックミラー越しに見えた。

「方向性は間違っていない。ただ、情報が足りなかったんだ」

「情報?」

「そう、情報……」


 ここはフェアに東川の推理も開示しておこう。

 彼も同じ問題用紙を渡されていたが、まったく異なる推理を展開したのである。


「ここで着目すべき点は、やはり1,435mmという数字。つまり14時35分に列車が発着する在来線および新幹線ホームをチェックしなければいけないということ。新幹線ホームにはその時間、1本しか発着はないが、在来線には同時刻に4本の発着がある。1番線、4番線、6番線、9番線の4つだ。これらのすべてを監視することはまず不可能。ならばどれかひとつに的を絞らなければならない。ここで疑問視したのが括弧内の文字。(4フィート8,5インチ)という文章だが、なぜ1,435mmと表記しなかったのか。理由は簡単だ。フィートもしくはインチという単語に、隠された意味があるから。ならばどんな意味があるだろうかと、想像をめぐらせてみる。フィートは記号で<ft>読み方はフット。フットといえば、英単語のfootが連想される。フットは足、身体の1番下にある部位。この中で1番下に来る数字は……と考える。まあ、なにをもって上とするか下とするかは、捉え方次第だが、野球では上位打線、下位打線ってあるし、なんとなく数字の小さい方が上で、大きい方が下って想像が出来る。だから在来線の9番線が正解ってわけだ。が、これは新幹線乗り場を含めない場合の結論であって、含めた場合は、新幹線(あちら)側が正解になってしまう。つまり西村っちの推理が当たっていたことになる。だからここで、もうひとつの情報が必要になったんだ」


「…………」


 あまりの台詞の長さに、島崎は相づちを打つタイミングを逸していた。山村刑事は興味がないのか窓の外をしきりに眺めているだけだった。


「もうひとつの情報、それはもうひとつの問題文。

 主催者側は時間調整の関係で、問題を早く解き終わった人のために、追加でいくらか暗号を用意していたんだ。人によっては3問しか解いてなかったり、俺は5問くらい解いていたり、そんなところだ」


「どんな問題だったんですか? もうひとつの情報というのは……」

 島崎が訊いたとき、自動車はサービスエリアに停止した。

「九州で稀の万歳三唱」

「えっ?」


「すいません、トイレに行ってきます」

「同行しますよ、西村さん」


 西村と山村刑事はそう言って、車から出て行った。


「九州で稀の万歳三唱。こんな感じ」

 東川は備え付けのメモ用紙をちぎって、ボールペンで素早く書き付けた。


きゅうしゅ

うでまれの

ばんざいさ

んしょう。

(頭を使え)


「あっ、わかった! 頭文字を繋げて読むやつだ。(答え:きゅうばん)」

 やったとはしゃぐ島崎に、東川は静かに言い放つ。

「正解」


「じゃあ西村くんは負けちゃったんですか?」

「その通り」

「だから東川さんに辛く当たるんですね」

「まあね。でもぼくは、彼には勝ってほしかった。だから適当な因縁をつけて勝負を挑むことが多々あったんだが、そのせいで嫌われてしまったのは皮肉なもんだよ」


 東川の意見は独断と偏見に満ちていて、とてもじゃないが公明正大ではなかったが。

 彼らの過去編は、おおむねそんな感じである。

東川が解いた、ほかの暗号を紹介します。

フリーターを探せ(雨にでも濡れていろ)


これはいったい誰に会えばいいのでしょうか? わかった人はコメント等で教えてくだされば、必ずご返信いたします。


それでは、ありがとうございました。

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