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鉄道警察隊、西村のスイリ。  作者: オリンポス
【5回目のスイリ】
12/46

(File10)奇術と推理の対決③

「悪いな。これからアルバイトの面接があるんだ」

 東川はマジックショーを終えて。

 舞台裏で着替えてから、西村達にそう言った。

「鍵は渡しとくから、さきに乗車して待っていてくれ」


「経営責任者ともなると、マジックをやったり面接をしたり大変なんですね」

 島崎は素直に感心して、そう発言した。


 が。

 東川には、島崎の発言は嫌味に聞こえたようで。


「そうだな。たしかに大変だ。――まあそうは言っても、監査業務は会計士に委任しているから、楽々だけどな。

 まあ俺の仕事といえば、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結剰余金計算書、連結キャッシュフロー計算書、連結附属明細表を作成したり、上場企業の確認および買収。それから試算表の作成に加えて、弊社の損益計算表、貸借対照表を公開したのち当期純利益を計算して……」


 大学の経済学部に籍を置いたことがない島崎には。

 東川の答弁がちんぷんかんぷんだった。

 東川がわかりにくく説明しているのだから、それも無理はないが。


「連結財務諸表を作成しているということは、トラストかコングロマリット――いわゆる企業提携でもしているのですか? それは大変ですね」


 西村が合いの手を入れる。


「そうだな。まあトラストは独占禁止法が施行されているから、主にコングロマリットに力を入れているがな」


 東川は急いでいるからと言って、どこかへ行ってしまった。


「西村くーん。東川さんが怖かったよー!」

 甘えているというわけではなく。

 島崎は本当に涙声だった。

 そうとう怯えていたのだろう。


 まあだれだって専門外の話をされれば、戸惑ってしまうものだ。

 それに東川は敵意を丸出しにしていたのだから、余計にタチが悪かった。

 沈黙したら、それこそなにを言われるかわからない。そんな圧迫感もあったのだろう。


「東川さんはすました顔をしていますが、なかなかにプライドが高いですからね。

 今度からは気を付けてくださいよ」


 などと、西村は今更なことを言って。

 エレベータに乗った。

 行き先は――地下1階だ。 


「あれ?」「え?」「……?」


 階数表示ボタンには、地下1階という項目はなかった。


 西村は【開】のボタンを押して、いったんエレベータから出ると。

 メールを受信して、振動しているスマートフォンを手に取った。


From:東川州

Subject:駐車場

Message:駐車場を探求する者達よ。

どうかこのメールがそなたらを導く一助となることを願わん。

「愚かなる心や見えんます鏡」「ベリリウム」「扇」「ダイヤモンド」「松方正義」

儂はこれらの語句にシンパシーを感じておる。それでは健闘を祈る。

この小説はもはや、スマートフォンがないと成り立ちません。

まったくもう文明の利器に頼りすぎだよ、西村くん。


って、悪いのは西村くんじゃなくて、ぼくなんですが(笑)

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