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地下迷宮運営者の悩み  作者: 柘 榴
第一章
9/10

新人運営者さんと過去の記憶

痛む頭を抑え、、溜め息を吐く

あの指輪を見た瞬間から痛み出した頭で何か物事を考える気力もなく、ベッドに倒れ込んだ――――





「我等クレイモア一族は代々紡いできた魔物契約の魔術と錬金の術を研究し、着実に身に付けてきたのはわかっているな。アルベルトよ」


「はい、父様」


「魔物は我等の魔術には必須な研究素材だ。なのにそのようなものに情を移すとは何を考えているんだお前は」


「落ちこぼれの三男だからな、仕方ないさ父さん」


「こんな弟、欲しくなかったね」


蔑んだ目線をまだ成長過程の少年へと降り注ぐ

少年は只、無表情に冷めた眼差しを兄達に向ける


「あぁ、なんて才の無い子を産んでしまったのかしら。貴方は一族の恥よ、アル」


「上のお坊っちゃま達は素晴らしい才をお持ちないなのに、とんだ出来損ないだ」


周りからの陰口に心を閉ざした少年が唯一、心を開いたのはモンスターだけだった


「(知っている、モンスターに対しての冷酷さが足りないことも。けれどそれは本当に必要か?錬金術によるキメラ作成はそこまで重要か?否、何故過ちだと気付かないんだ?そんな命を粗末にする実験は只、殺戮兵器を生み出すだけだというのに)」


少年が唯一、才能に恵まれたのは剣と銃の扱いだけだと一族の皆は言い、蔑んだ


しかし、少年を唯一認め、選んでくれた者が居た


「少年、お前以外の一族は皆、つまらぬ人間になったなぁ?私はお前以外に主と認めないと連中に言っておけ。私はお前が死んだ瞬間に契約を破棄するとも伝えろ、良いな?少年」


男は命令口調で少年に言った

逆らえない何かを携える男に言われるがまま、少年は一族の皆に伝えた


「どうやらあの古の禁断の知識を持つ悪魔は、僕を選んだようですよ?僕を殺した瞬間に契約を破棄するとも言っていました」


肩を竦める少年に誰もが憤怒した表情を見せた

しかし、少年は平然に告げる


「悪魔は僕を選んだ。早く契約の指輪を持ってきてくれ、僕は今すぐにでもこんな場所から去りたいんだ」


冷めた、深く暗い、光が灯ることを忘れた瞳が人々を見つめる

誰かが口にした「悪魔の愛し子」と

その言葉を合図にメイドの一人が指輪を少年に放り投げた、まるで爆弾を慌てて投げるようだ


少年は危なげなくキャッチし、指に嵌める

ブカブカだが、少年は満足したかのように微笑む


「僕は今まで貴方達に本当の僕を見せたことがありません。こんな窮屈な場所を出る前に一つだけ、お見せしましょう」


にっこり、楽しそうに微笑む


「―契約せし悪魔よ 我が声に従い姿を現したまえ―」


呪文を紡ぎながら指輪を嵌めた指を人々に向ける


「―象徴せしものは知恵 さぁ、姿を現したまえ―」


そうして紡ぐは悪魔の名―――――

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