新人運営者さんの記憶Ⅰ
――――ワイバーン討伐?
Bランクになる為に課せられたクエストについ、頭を傾げる
「あぁ、お前なら一人ででも出来るだろう」
「俺はまだまだ未熟な冒険者ですよ、ギルドマスター。Aランクへの昇格クエストでしょう?ワイバーン討伐って」
自身に対する評価があまりにも高すぎる
そんな気持ちを抑えつつ、冷静に話を進める
「俺をAランクに昇格させようって魂胆じゃないですよね?」
「そのような魂胆さ、お前なら出来る。なんたってあのAAAランクに相当するユニコーンを四体、討伐に成功させているんだからな」
その言葉にピクリ、と反応してしまう
いや、あれは…只運良く当たりに当たりまくっていつの間にか討伐出来ただけなのだ
「その前はベビードラゴンの保護にも加担したじゃないか」
つい、顔をしかめてしまう
それこそ本当に運良く当たった鞘で気絶してくれただけだ
「その後来た親のドラゴンを説得したのにか?」
ヒクリ、頬がひきつる
まさに間一髪だった、死んだと思いキレて暴走する寸前にベビードラゴンが起きてくれただけなのだ
「悪に染まり、魔族に成り果てそうになったクー・シーを手なずけたのにか?」
首筋に手をやる
いやはや、何故、まだまだ未熟な俺になついてきたのか未だにサッパリです
「その他にも様々な活躍をしてきたんだ、Aランク昇格に誰も反対しないさ」
その言葉にとうとう頭を抱えてしまう
「只、トラブルに巻き込まれて運良く解決出来ただけですよギルドマスター」
そう、本当に運良くだ
全て、運良く良い方向転がっただけなのだ
「ほぉ?そこまでいうか?帝国軍に所属していた時は【防壁のクレイモア】と呼ばれていたお前がそこまで言うか?」
「只たんに強化や防壁魔法と相性が良かっただけですよ」
「あまりにも謙虚過ぎやしないか?クレイモア。諦めてAランク昇格をしてこいよ、な?」
その言葉に苦笑し、頭を掻く
もう腹を括るしかないようだ
「分かりましたよ、行ってきます」
俺が死んでも知りませんからね?と軽口を叩くと豪快に笑い、それはないなと言うギルドマスターに改めて苦笑する
その後、10人の援軍が来る前に討伐してしまい【竜殺し】だなんて通り名が一つ増えたのだった