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月夜の空  作者: みづき
四章 孤独の狐
15/18

一話

 まだ昼下がりの頃。

 がさりと、何かが動いた。

 村と同様、狐の住む屋敷は木に覆われている。

 その草や木が生い茂った森の一角で、不自然な音が立つ。

「見えるか……?」

「あぁ。でも……」

 動く人影は二つ。

 二人の目は屋敷を挟むようにして作られた庭へと注がれていた。

「あいつ、か」

 一人の男が双眼鏡を下ろし、考えるように口を開く。

 大きな庭で小さく動き回る二人と笑っている少女。つい先日、狐へと生け贄に捧げられた娘だ。

 鞠を使い、楽しそうに遊んでいる双子の狐と少女。

 狙いを定めるように凝視し、隣にいる少年に目をやる。

 その少年もまた、射るような目で少女を見詰めていた。

 けれど、男とは違う思いが瞳に宿っていた。

 憎しみや憎悪。

 それを隠すことなく、少年は歪に笑う。

「おい、本当に……」

 相手は年下だ。

 自分よりかなり年下の少年。しかし、それは見た目だけの話。

中身や考えていることは、とても少年の年齢には合わなく、酷く歪んでいる。

 この村で一番心に憎しみを抱えているであろう少年に、男は怯えた視線を向ける。

「やるに決まってるだろ? そのために、ここまで来たんだ」

 そんな男を鼻で笑い、栗色の柔らかな髪をなびかせ鋭く瞳を細めた。

「待ってろよ」

 低い声が、木の葉が舞う大気を揺らした。

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