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序章
これはオリジナル作品です。
無断転載などしないよう、お願いします。
序章
心地よい温度の風が吹く秋。
村の外れに建つ小さな小屋の中は、淀んだ空気が漂っていた。
澄み切った青空に、軽やかな風が吹く外とは大違いだ。
小屋の中にはたくさんの人が座り、口々に話している。
「なぁ・・・本当に、やるのか?」
疲れきった顔に、無造作にはねた髪。老人の小さく力ない唇から、小さな声が漏れた。
「やるだろ・・・仕方ないことだ」
そんな老人の問いに、誰かがそう言った。
そう言った者の視線は、小屋にある唯一の窓から外を眺めていた。
小屋の中にいる村人は、それに習うようにして視線を向ける。
たくさんの視線の先には、空を見上げている少女の姿があった。