ギルドでの換金と孤児院
夜明け前。
孤児院の食堂に並んだ子供たちの顔はまだ眠たげだったが、それ以上に期待の色が浮かんでいた。
「トリス、今日は……パン買ってきてくれるんだよね?」
年下の女の子が両手を胸の前で握りしめる。
「もちろん。昨日すごいのたおしたから、いっぱい持って帰れるよ」
トリスは微笑んで頷いた。
「やったー!」
「パン! パン!」
子供たちがはしゃぎ出す。
その笑顔を見た瞬間、トリスの胸に小さな炎がともる。
(絶対に……手ぶらで帰るもんか)
彼は軽く手を振り、孤児院を飛び出した。
⸻
朝靄を抜け、王都の中央にそびえる大きな建物――冒険者ギルド。
扉を押し開けると、熱気と喧噪が一気に押し寄せてきた。
「なんだ? 子供か?」
「迷子かと思ったら……カードぶら下げてるぞ」
「へぇ……一応冒険者か」
視線が突き刺さる。
トリスは深呼吸をして、怯まずに前へ進んだ。
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木のカウンターに袋を置き、中身を取り出す。
「これを……お願いします」
受付嬢のリナが目を丸くする。
「……ちょ、ちょっと! これ、ビッグスライムの素材じゃない!」
「えっ? ビッグスライム!?」
「嘘だろ、あの坊主が?」
「でも見ろ、本物だ……」
ざわめきが広がる。
トリスは心の中で(……リナさん、声大きいって……!)と頭を抱えた。
リナは慌てて秤にかける。
「核が三銀貨、粘液が二つで二銀貨。合計で五銀貨よ」
袋を差し出すリナの声も自然と小さくなった。
「……はい、こちらが報酬。お疲れさま、トリス君」
「ありがとうございます」
深く頭を下げて受け取る。
拳を握りしめる。
(これで……みんなにパンを買って帰れる!)
だがその名が広がる。
「トリス……だと?」
「名前、覚えておくか」
好奇の視線に晒され、居心地の悪さを感じたその時――。
⸻
「ねえ、君がトリス君?」
声をかけてきたのは、十五歳ほどの少年。
短い茶髪に真っ直ぐな瞳、擦り切れた胸当てをつけている。
「俺はルーク。《風切りの羽》ってパーティのリーダーだ」
その後ろに二人の仲間が立っていた。
杖を抱えた栗色髪の少女が恥ずかしそうに名乗る。
「わ、私はミーナ。回復とちょっとした攻撃魔法が使えるけど……すぐ魔力切れしちゃうの」
黒髪の少年は腰の短剣を軽く叩いて笑う。
「俺はディル。斥候担当。まだまだ半人前だけどな」
三人は顔を見合わせ、そしてルークが口を開いた。
「正直に言うとさ、俺たちも駆け出しでさ。三人だけじゃ心細いんだ」
「そうそう。魔物相手に毎回ギリギリでさ……」ディルが苦笑する。
「でも君なら……勇気あるし、きっと違うと思う」ミーナが小さく付け加える。
「だから――一緒に来ないか?」
ルークが手を差し出した。
⸻
心臓が早鐘を打つ。
昨日まで一人きりで死と隣り合わせだった。
でも今、自分を「仲間」として求めてくれる人がいる。
(僕なんかで……いいのかな。でも……)
「……僕で、いいなら」
声は震えていた。
だが三人の顔が一斉に輝いた。
「もちろんだ!」
「やったぁ!」
「これで少しは安心できるな!」
笑顔に包まれる。
胸の奥に小さな希望が宿るのを感じた。
(今度は――一人じゃない!)
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初投稿作です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。
あと、AI様にお絵描きをお願いするのにハマり中です。