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初めての「詐奪」

下水ダンジョンを抜け出した瞬間、トリスの体は糸の切れた人形のように膝から崩れ落ちそうになった。

腕は酸の火傷で肌がひりつき、足首にはラットに噛まれた跡が生々しく残っている。

頼みの綱の木剣も先端が欠け、ひと振りでもすれば折れてしまいそうだった。


「……生きて……帰れた……」


小さく呟いた声は震え、同時に胸の奥から安堵が込み上げてきた。

懐には、先ほど命懸けで倒したビッグスライムの素材が収まっている。


《濃縮スライム核の欠片》と、《高濃度スライム粘液》。

ギルドに持ち帰れば、きっといつもと違うパンに換えられる。

孤児院に持って帰れば、みんな笑顔でかじりつくだろう。

そう思うと、力が少しだけ湧いてきた。



石畳の裏路地に差しかかったとき、不意に声が飛んできた。


「おい、坊主。こんな時間にひとりで何してやがる」


闇の中から現れたのは、よれた帽子をかぶった中年の男。

油染みのついた外套をまとい、濁った目をぎらつかせていた。

その視線はトリスの懐に吸い寄せられ、あからさまに値踏みしている。


「……俺は何も持ってない」

「嘘つけ。顔がダンジョン帰りだ。懐を見せてみろ」


男がじりじりと近づいてくる。

トリスは木剣を構えたが、酸に焼かれた腕は震え、力が入らなかった。


(……勝てない。今の俺じゃ……でも、何も持ってないように騙せ! 何も倒せないように弱く見せるんだ!)


「……ほ、本当に……俺は何もできない。ただのガキなんだ」


必死で声を絞り出す。

相手の顔にわざと怯えを見せつける。


「へっ、そうだな。今にも泣き出しそうだぜ」


男が薄笑いを浮かべた、その瞬間


【スキル詐奪 発動】

対象:不良冒険者「ロット」

成功:スキル《石投げ》(コモン)獲得



「……え……?」


トリスは思わず目を見開いた。

(……俺は何もしてない……のに……スキルを奪った?)


混乱する暇もなく、手元に転がる石が目に入る。

トリスは反射的に拾い上げ、全力で投げつけた。


ヒュッ、と風を切り、石はまっすぐ男の額に命中。


「ぐあっ! てめぇっ!」


男はよろめき、怒鳴り声を上げる。

しかしトリスが再び石を拾おうとするのを見て、舌打ちしながら後ずさった。


「クソガキ……覚えてろ!」


悪態を残し、不良冒険者は闇に消えていった。



「……はぁ、はぁ……」


肩で息をしながら、その場に座り込むトリス。

腕は震え、全身に痛みが走る。

けれど胸の奥には、確かな実感が残っていた。


(今の……俺のスキル……? 本当に奪えたのか……?)


未知の力の正体は分からない。

だが、これでただの無力なガキじゃない!

その予感が、心に灯をともした。


「……絶対に生き残る。俺は……何度でも」


夜の路地を見上げる瞳に、恐怖と共に、確かな希望の光が宿っていた。

初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。

AIをとーても使いながらの執筆となっております。

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