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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
新たな土地に夢を託して

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支部を呼ぶ理由、都市にする覚悟

ハルトンに戻ると、広場にはまだ昨日の名残が残っていた。

 篝火の跡、串の焦げ、笑い声の余韻。

 ――ああ、“帰ってきた”んだ、と胸に柔らかく入ってくる。


「トリス様!」

 駆け寄ってきたのはトーマス爺さんだ。腰は曲がっているが、声は若い。

「足湯はどうだったね?」


「上々だ。テルマハルトは“入口”になれる。……次はハルトンの番だ」

 俺はそう答え、すぐに段取りへ移る。

「みんなを集めたい。長屋で話そう」



 集会所代わりの長屋に、顔なじみが集まった。

 アリアは壁際に立ち、ミーナは帳面を広げ、カインは材木の束に腰掛けている。


「――ギルド支部を呼ぶ」

 俺は最初に結論を置いた。


 ざわ、と空気が揺れる。


「冒険者ギルド、ですかい」

 トーマス爺さんが首を傾げる。「王都にある、あの……」


「そう」

 ミーナが補足する。

「本部は王都。各地に支部。依頼の受付から報酬の支払いまで、全部担う窓口よ。人が集まる場所に、必ずできる」


「ハルトンに“人を集める”ってことか」

 大工のオルドが腕を組む。「ありがたいが……騒がしくもなるぜ?」


「騒がしさは、稼ぎの前触れよ」

 ミーナが笑う。「静かに貧しいより、少しうるさくても豊かな方がいい」



 俺は卓に簡単な図を置いた。

 ハルトン――アントのダンジョン――蒼晶の眠る洞――テルマハルト――グレインハルト――ロックハルト。

 街道で繋がった四つの“拠点”。


「アントのダンジョンは素材の宝庫だ。外殻は道、体液は固化剤、巣材は建材。……だから定期的に“潜る必要”がある。今は俺たちと、風切りの羽だけ。手が足りない」


「蒼晶の眠る洞は“期待”だが“未知”」

 アリアが続ける。「探索は分担。撤退線は明確に。少人数で常時回すなんて無理よ」


「だから支部だ」

 俺は図の中央、ハルトンに丸をつけた。

「依頼が回り、人が泊まり、店が増える。治安はギルドと俺たちで“二枚看板”にする」



「店が増えるのはありがたいね」

 織りのエマが頷く。「布も売れるし、湯に行く人の羽織も作れる」


「材も動く」

 大工のオルドの目が光る。「宿の梁、露天の囲い、橋の補修……仕事が増える」


「井戸も!」

 レムが挙手した。「モル――いや、うちの“幼聖獣”にまた手伝ってもらえれば、畑がもっと潤う!」


「モルネルは“行事の時だけ”光らせる」

 俺は念を押す。

「普段は村の相棒だ。頼り切るな。過度な期待は歪みを生む」


「心得たよ、トリス様」

 トーマス爺さんが笑う。「あの子は、わしらの“家族”だ」


 空気が温かくなる。



「順序を言う。

 一、ギルド本部に誘致申請。王都のギルド長と、王家の監察局へ。

 二、アントのダンジョンを“定常依頼化”。採取・討伐・搬出を細分化して、報酬は“薄く広く”。

 三、宿の整備。簡易宿を三棟。露天囲いはテルマハルトに回し、ハルトンは寝床優先。

 四、治安。ギルド駐在を一隊。村の若者を“巡回”に取り立て、評価は俺が“統治”で見る」


「補足」

 ミーナがすぐ挙手。

「立ち上げ費の一部は“アント素材の卸先保証”で肩代わり可能。売り先を約束すれば、ギルドは買う先を作る。

 蒼晶の眠る洞は“王家の採鉱監督”が見張ってくれる。……トリス、王へのレターは私が草案を書くわ」


「頼む」

 俺は頷き、全体を見渡した。「質問を」



「はい」

 最初に手を挙げたのはアリアだった。

「治安の“二枚看板”――ギルドと領の警備が衝突する可能性は?」


「ある。だから役割を分ける」

 俺は線を二本引いた。

「場内の揉め事はギルド。村の外――街道や森は領の警備。越境したら合同。案件ごとに指揮を明確にする。……混ざると腐る」


「了解」

 アリアは短く頷いた。


「わしから一つ」

 トーマス爺さんが手を挙げる。「人が増えれば、悪さをする奴も増える。“無体”を働く貴族筋が来たら?」


 一瞬、空気が冷えた。


「――来る。必ず」

 俺ははっきり言う。

「だからルールを先に置く。支部の規約、領の規約、王家の勅令――三つで“締める”。爵位が何であろうと無体を働いたら“告発”する。……俺はそういう領主になる」


 静まり返る長屋。

 やがてミーナが息を吐いた。


「いいわね。私はそういう領主が好きよ」

「そういう領主がいる領地は、職人が根付く」

 カインが口の端を上げる。

「守る価値がある」

 アリアは目だけで笑った。


 梁がきし、と鳴った。



 俺は卓の図を巻き取り、最後に言う。

「知らせが二つある。ひとつはテルマハルト。副脈が繋がった。足湯を広げる」


「おぉ……!」

 村人から感嘆の声。


「そしてもう一つ」

 俺は少し苦笑した。

「アントのダンジョンで卵が大量にあったのを思い出した。他にも素材になりそうなものを探したい」


「殻か? ……食べるのか?」

 オルドが即座に現実的な声を出す。


「下処理を決める。湯に浸して、“聖癒光”を一瞬。安全は二段階。“真鑑定”と“実食”。無理はしない」


「よし!」

 トーマス爺さんが膝を叩いた。

「やることが見えた。やる時が来た。……トリス様、わしら、ついていくよ」


「ありがとう」


 長屋の戸口から午後の光が差し込む。

 白い街道はまっすぐに伸びていた。


(道はできた。次は人を呼ぶ。器を用意する。……ハルトンを“都市”にする)


 胸の奥で言葉を重ねたとき――背中で、《統治》が静かに頷いた気がした

初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。

AIをとーても使いながらの執筆となっております。

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