表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
新たな土地に夢を託して

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/282

未踏ダンジョン《蒼晶の眠る洞》

 朝靄の残る街道を、荷車の車輪が心地よく転がっていく。

 足を踏み締めるたび、乾いた路盤が「きゅっ」と鳴き、雨上がりでもぬかるまないことを誇示していた。


「……やるじゃない、うちの道」

 アリアがかかとで路面を軽く叩く。

「硬い。乾いてる。滑らない。……これなら剣を振ってても安心ね」


「水はけも完璧」

 ミーナが路面を指でなぞっては、満足げに笑う。

「砂塵にならない。荷車も旅人も楽だわ。滞在時間、確実に伸びる」


「道が店を呼ぶ、店が人を呼ぶ、ってやつだ」

 カインは荷を背負い直し、空を見上げる。

「鍛冶場の炭も湿らず運べる。……こりゃ職人冥利に尽きるな」


 俺は頷き、街道の“呼吸”を五感で確かめる。

 乾いた縁。湿りの残る側溝。踏圧で締まった中心線。

 ――地図じゃなく、足で領地を覚える。それが一番だ。



「ねえ、トリス」

 アリアが肩をつつく。

「足湯は大成功。次はどうするの?」


「帰る。ハルトンに」

「まあ、そうよね」


「で、帰りながら考える。……“道”が整ったら次は“人”だ。人が動く理由、泊まる理由を増やす」


「理由、か」

 ミーナが顎に指を当て、にやりとする。

「温泉、食、宿、催し……それと――ダンジョン」


「おい、最後のが一番重いぞ」

 カインが苦笑する。

「けど、確かに一番カネになる」



 前方から、荷を積んだ旅人が近づいてきた。

 篭の中の湯の花、干し果物。まさにテルマハルト帰りだ。


「兄さんたち、道がありがたい。おかげで足が軽い」

 旅人は帽子を取って笑う。

「あの足湯、最高だったよ。肩まで軽くなった」


「それはよかった」

 俺は軽く頭を下げる。「またテルマハルトに来てくれ」


「もちろんさ。……なんでも、その先に――」


「その先?」

 ミーナが即座に拾う。商人の耳は風より速い。


「森の奥で洞が見つかったって話だ。未踏の洞窟さ。“宝が眠ってる”とか“魔物がうようよ”とか。まあ、噂は大げさなもんだがね」


 旅人は肩を竦め、去っていった。



 俺たちは自然と足を止め、顔を見合わせる。


「宝が眠る……悪くない響き」

 アリアが剣の柄に指をかけ、目を細める。


「未踏は収益の香り」

 ミーナは即断する。「“最初に押さえる”ことに価値があるわ」


「だが簡単じゃない」

 カインが腕を組む。「装備、手、時間……どれも必要だ」


「……確認する」

 俺は深く息を吸い、森の奥へ視線を絞る。

「【真鑑定】」



 光が走り、視界は地中へ潜る。

 絡み合う根。水脈。硬い層、柔らかい層。

 ――そして舌にピリ、と乗る“金気”。魔石の波長。


――――――

【真鑑定】(遠隔・概観)

対象:未踏ダンジョン(成長中推定)

資源反応:微弱ミスリル/極小アダマンタイト/魔結晶(低純度)

危険:成長中につき不明(魔力反応有り)

商機:高(加工技術と運用人員が条件)

備考:地熱弱、湿度高。入口狭隘。

――――――


(……“ある”。だが、今すぐ突っ込む話じゃない)



 俺は光を閉じ、仲間を見た。


「当たりだ。鉱気がある。魔結晶も薄く反応。――ただし今じゃない。まずは手順だ」


「手順、ね」

 アリアが頷く。


「まずはハルトンへ戻る」

 俺は指を折って数える。

「アントのダンジョンを“定常運用”に。未踏の洞は“冒険者ギルド支部”と連携して分担する。……ハルトンを、ダンジョン都市に育てる」


「いい響きだわ」

 ミーナが笑顔で頷く。「店、宿、依頼掲示板。……人が絶えない“中心”にね」


「鍛冶場も増設だな」

 カインが肩を回す。「鉱石が来るならなおさら。よし、やってやろう」



「ところで、その洞窟……名前は?」

 アリアがわざとらしく問いかける。

「名前?」

「ダンジョンに名前があった方が、人は惹かれるわ」


 俺は少し考え、森の奥を見やった。

 湿った空気、ほの暗い魔力、そして眠る鉱石の光――


「……《蒼晶の眠るアジュール・レスト》としよう」


 その場の空気が、わずかに震えた気がした。


「いい名前ね」

 アリアが剣を鳴らす。

「“蒼晶”。宝の響きだ」


「商人受けもいい」

 ミーナがにやりとする。「チラシに刷りたくなる名前だわ」


「……派手な名前は看板になる」

 カインが唸り、「よし、腕が鳴るな」と笑った。



 俺は街道の先――ハルトンの屋根を見やった。

 乾いた道は今日も人を運び、旗が風に揺れている。


(――蒼晶の眠る洞。その存在が、領地を新たな段階へ押し上げる)


 足取りは自然と早まる。

 やることは山積みだ。

 けれど、その一歩一歩が未来へ続く。


 街道の脇でホーンラビットが顔を出し、すぐに逃げた。

 アリアが弓に手をかけて、しかし笑って手を下ろす。

「今日は狩りより、帰還優先」


「珍しいな」

 カインが肩を揺すって笑う。


「だって――」

 アリアは前を見据えた。

「“やること”が山ほどあるから」


 街道の先、ハルトンの旗が小さく揺れていた。


初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。

AIをとーても使いながらの執筆となっております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ