モルネル
村の広場に、子どもたちの笑い声が響き渡っていた。
中心にいるのはもちろん、みんなの人気者ネルだ。
「わー! 水だー!」
「ネルすごい! もっともっと!」
ころころ転がりながら鼻をひくひくさせ、小さな穴を掘る。冷たい水がこんこんと湧き出すたび、子どもたちが歓声を上げて手を伸ばす。
「きゃっ、冷たい!」
「ネル、やったー!」
ネルは得意げにしっぽをぱたぱた振り、鼻先で水を飛ばす。水しぶきに包まれて子どもたちが走り回り、大人たちもつい笑みをこぼした。
「まったく……村を救ったのは俺たちじゃなくて、ネルだな」
「ほんとだ。あいつがいるだけで、みんな笑ってる」
そんな声があちこちで漏れ、最後に誰かがぽつりと呟いた。
「……姿は獣でも、私たちを守ってくれるなら、神さまに違いないわ」
一瞬、広場に静寂が落ちる。
けれど、すぐに誰もがうなずき合った。
「確かに……」
「もう家族だ。いや、家族以上。守り神さまだ」
ネルは「もるっ!」と鳴いて胸を張る。
それだけで空気はさらに和み、笑いが広がった。
⸻
そのとき――俺の視界に、淡い光の板が浮かんだ。
――――――
【ログ】
・《ラットモール》 → 《モルネル(幼聖獣)》に進化しますか?
条件:人々の感謝 × 主への忠誠 × 守護行為
――――――
(……幼聖獣? みんなの想いが、ネルを進化させるのか)
驚きと同時に、不思議な納得があった。
これは俺が命じたからじゃない。村人の感謝と、ネル自身の願いが重なった結果だ。
「トリス、今……何か見えてる?」
隣のアリアが小声で聞く。
「ネルが……進化する。みんなの力で」
「えっ、本当に!?」
ミーナも目を丸くした。
「じゃあ――やらせてあげてください。これは村全体の奇跡です」
俺は頷き、ネルを見つめる。
「ネル……いや、モルネルになるのか。進化してみせろ」
⸻
光がネルの体を包み込む。
眩しさに村人たちが息を呑む中、ころんとした丸い体が浮かび上がった。
「姿は……あんまり変わらない?」
「でも、光ってる……」
淡い輝きに包まれた毛並み。背中には小さな紋章のような模様が浮かび、幼さの奥に神聖な気配を宿していた。
「もるっ!」
ネル――いや、モルネルが元気いっぱいに鳴いた瞬間、村全体が大きな歓声に包まれた。
「今の……聖なる気配だ!」
「ほんとに守り神になったんだ!」
子どもたちは「モルネル! モルネル!」と叫んで走り寄る。
モルネルは鼻先で水を飛ばしながら転がり、笑顔が広場いっぱいに広がった。
⸻
「……信じられない」
アリアが胸に手を当ててつぶやく。
「でも、なんだか涙が出そう。だって、みんながネルを信じて、ネルも応えたんだもの」
「ほんとね」
ミーナも微笑んで、俺に視線を寄せる。
「あなたが連れてきた存在が、こうして“希望”になったんです」
俺は二人の言葉を受け、自然と胸の奥が熱くなるのを感じた。
(ネル……いや、モルネル。お前はみんなの希望だ。そして、これから先も――)
光の中で転がるモルネルを見つめながら、俺は強くそう思った。
⸻
こうして、かつては害獣だったラットモールのネルは、人々の想いに応え、「幼聖獣モルネル」へと進化し、トリス領の守護の象徴となったのだった。
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




