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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
新たな土地に夢を託して

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祝宴と貴族の闇

玉座の間での叙任が終わると、広間は一転して華やかな宴へと変わった。

高い天井に灯されたシャンデリアが煌めき、長卓には豪奢な料理が次々と並べられていく。

楽人たちの竪琴が柔らかく響き渡り、重苦しい緊張が少しずつ解けていくのを肌で感じた。



「子爵殿、実に見事な働きであった」

白髪の老臣が近づき、杯を掲げてくる。

「アントの巣を討伐しただけでなく、素材の利用法を確立するとは……。

 その技術こそ、王国にとって金貨の山にも等しい価値を持つであろう」


「ありがとうございます」

俺は姿勢を正し、杯を合わせた。

酒が喉を焼き、胸の奥まで熱を届ける。


別の重臣も前に出る。

「だが領地経営は討伐とは違う。民は魔物のように斬れぬ。

 治めるとは、守ること。そして導くことだ」


「肝に銘じます」

俺は深く頷いた。

(――ここからが本当の戦いだ)



そんな俺の背を、アリアが軽く突いた。

「堅苦しい顔してる。もう少し肩の力を抜いてもいいんじゃない?」


「そう見えるか?」

思わず苦笑いを返すと、彼女は杯を手に小さく笑った。

「うん。でも、今のあんたなら――胸を張っていいと思う」



「ほら、重臣の相手ばかりじゃ疲れるでしょ」

隣にいたミーナが柔らかい声で割り込む。

「挨拶に来る人の名前と肩書き、あとで整理してあげる。書き留めるのも任せて」


「……助かる。僕だけじゃとても覚えきれない」


「子爵様って呼ばれるの、慣れてきた?」

いたずらっぽく笑うミーナに、耳が熱くなるのを感じた。


「やめてくれ、まだ落ち着かない」



やがて、アルトリウス王が立ち上がり、杯を高く掲げた。

「皆の者、聞け! 本日の主役は――若き子爵、トリス・レガリオンである!

 アントの群れを打ち破り、新たな資源を王国にもたらした英雄だ!」


「トリス子爵に、栄光あれ!」

「栄光あれ!」


広間が大きな歓声と拍手に包まれる。

無数の視線と声援を浴びながら、俺は自分が背負ったものの大きさを改めて噛みしめていた。


アリアが隣で小さく呟く。

「……本当に誇らしいわ、トリス」


ミーナも杯を掲げる。

「でもね、これからが本当の勝負よ。領地をどう動かすかで、あなたの未来が決まる」


「わかってる」

俺は二人の杯に自分の杯を重ねた。

「トリス領の未来に――そして仲間たちに」


澄んだ音が重なり、広間に広がっていく。

それは、俺たち三人の決意を刻む音のように響いた。





表向きは、誰もが若き子爵を称え、杯を掲げていた。


だが――その裏で。



広間の隅、柱の陰でひそやかに声が交わされる。

金刺繍の衣を着た中年貴族が、杯を指先で弄びながら吐き捨てた。


「……馬鹿な話だ。孤児院上がりの小僧が、子爵領を与えられるとはな」


隣の肥えた貴族が鼻を鳴らす。

「しかも名ばかりではなく、実際に領地と技術を手にした。

 アント素材の技術……あれを独占されれば、我らの利権に響く」


「国王陛下は賢王と呼ばれているが……あの若造に肩入れしすぎだ」


「ふん、いずれ失敗して民に見放されるだろう。

 その時こそ、真に統治できるのは我らであると示せばいい」


杯の葡萄酒が揺れ、どす黒い笑みが浮かぶ。

彼らの囁きは音楽と笑い声にかき消され、誰の耳にも届かない。



一方で、祝宴の中央では王の声が高らかに響いていた。

「――再び告げよう。トリス・レガリオン子爵に、栄光あれ!」


「栄光あれ!」

喝采と拍手が広がり、トリスの名は繰り返し呼ばれる。


アリアが小声で囁く。

「……見て、皆があなたを英雄のように見てる」


ミーナも笑みを浮かべながら、しかし真剣な瞳で続けた。

「けど、その視線が全て味方とは限らないわ。

 この先は……敵も増える」


「わかってる」

俺は二人の言葉を受け止め、静かに杯を掲げた。


「――それでもやる。トリス領を、必ず守ってみせる」


杯が重なり、澄んだ音が広間に響いた。

その音の裏で、不穏な影が確かに息づいていた。

初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。

AIをとーても使いながらの執筆となっております。

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