王宮での成果報告
荘厳な大広間。
高くそびえる天井から垂れる大旗の下、玉座に座す王アルトリウスと王妃が見下ろしていた。
左右に列を成す重臣たちの視線が、俺と仲間に突き刺さる。
場の空気は、針の上を歩くような緊張に満ちていた。
「面を上げよ、トリス・レガリオン」
王の声は低く、重く、広間全体を震わせる。
「陛下」
俺は顔を上げ、胸の奥で鼓動を抑え込みながら進み出た。
「街道整備の件につきまして、私の仲間に説明を任せております」
俺が視線を送ると、ミーナが裾を正し、一歩前に進んだ。
広間を覆う緊張の中、その足音だけが響いた。
「陛下。ハルトン村から王都へ至る街道整備に関し、新たな技術を確立いたしました」
ミーナの声は澄み渡り、大広間の隅々まで響いた。
彼女は合図し、俺が無限収納から取り出した黒光りする外殻の塊を、床に置く。
ごつごつとしたその質感に、重臣たちが思わず身を乗り出した。
「これはアントの外殻にございます。
これを粉砕し土に混ぜ込むと、水捌けが飛躍的に改善されます。
加えて――」
さらに、固化した体液の塊を示す。
石のように硬化したそれは、叩けば金属のような音を響かせた。
「この体液を乾燥させると、石材のごとく土を固めます。
つまり、この二つを組み合わせることで、雨にも雪にも屈せぬ堅牢な街道を築けるのです」
重臣たちがざわめいた。
「土木に……」「戦の補給路に……」と声が漏れる。
アルトリウス王は黙して視線を落とし、王妃は扇を口元に当てたまま、息を呑んでいる。
ミーナは、さらに一歩踏み出した。
その仕草にすら、場を支配する自信が宿っていた。
「陛下。私たちが提供できるのは、この素材と、それを用いる技術です。
施工そのものは、王国の技術者や兵にこそお任せすべきでしょう。
ですが、この二つが揃えば、街道は確実に国の血脈となりましょう」
俺は無限収納を開き、さらに外殻を積み上げてみせた。
山のように積まれていく素材の量に、広間の空気が凍り付いた。
「これらをすでに、我らは安定して供給可能です」
沈黙。
やがてアルトリウス王が、重々しい口調で言葉を落とす。
「小村の若き者たちが、これほどのものを……。
確かに、この素材と技術が広がれば、王国の街道は百年先まで揺るがぬだろう」
王は玉座から立ち上がり、杖を床に突いた。
「よかろう。国の大事として、正式にこの技術を受け入れる。
相応の予算も用意しよう。だが――供給を絶やすでないぞ。レガリオン」
「必ず」
俺は膝を折り、額を床に着けるほどに深く頭を下げた。
その瞬間、広間を覆う張り詰めた空気が、一層重みを増した。
それは、この国の未来を左右する約束を交わした証だった。
(……供給を絶やすな、か)
胸の奥で王の言葉が重く響く。
アントの外殻と体液を得るには、定期的にあの巣に潜らなければならない。
女王を討った今も、群れは再び増えるだろう。
(俺一人や、この仲間だけでは限界がある。
いずれは冒険者ギルドや、王都から派遣される兵士たちの力も借りなきゃならないな)
頭を上げた俺は、ちらりと隣のミーナを見た。
彼女は真っ直ぐに前を向いたまま、わずかに口元を引き結んでいた。
同じ考えをしているのだろう。
(街道を支えるのは、この村だけじゃない。
王国全体を巻き込んでいくんだ。だからこそ、俺は皆に頭を下げてもいい。
この国を、本気で前に進めるために)
初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。
AIをとーても使いながらの執筆となっております。




