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転生したら孤児院育ち!? 鑑定と悪人限定チートでいきなり貴族に任命され、気付けば最強領主として国を揺るがしてました  作者: 甘い蜜蝋
新たな領主、新たな秩序

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王都へ向け出発

出立の朝。

広場での見送りがひと段落すると、ミーナが抱えている書類の束をぎゅっと抱き直した。


「トリス、計画書はちゃんと三部に分けてあるわ。

 一つはアント素材の活用技術。

 二つ目は街道整備を軸にした交易の拡大。

 三つ目は――特産の候補一覧」


俺はうなずき、書類の角に目をやった。

そこには農産物や木材、薬草の栽培といった現実的な候補に混じって、一枚だけ紙質の違うものが紛れていた。


「……温泉地開発?」

思わず声が漏れ、アリアが目を瞬かせる。


「ふふ、気づいた?」

ミーナが悪戯っぽく微笑む。

「ラットモールの掘削で熱水脈を探れれば、温泉が出る可能性はあるわ。

 観光や療養地として王に夢を見せるのも悪くないでしょ?」


「夢物語じゃないか?」

アリアが苦笑する。


だが俺は、ネルの小さな姿を見やりながら首を横に振った。

「夢でも、計画に紛れ込ませておく価値はある。

 “未来を見せる”ってのは、王に示す材料になる」


トーマス爺さんが白髭を揺らし、声をあげて笑った。

「はっはっは、面白い! 夢がある方が王も喜ぶじゃろう。

 街道だけでなく、温泉地まで出るとしたら……村が一気に変わるかもしれんの」


ネルがきゅうっと鳴いて、まるで「任せて!」と胸を張ったように見えた。

その小さな仕草に、場の空気が和んで笑いが広がった。


それから、ハルトン村を発って三日目。

整備された街道を進むたび、村人たちが汗と時間を注ぎ込んだ努力が目に見える形で残っていた。


「見て。ここ、地盤がしっかり締まってる」

ミーナがしゃがみ込み、街道の土を指で撫でる。

「雨が降ってもぬかるまないはず。王に見せる材料としても十分よ」


「ネルが掘ってくれた溝と、アントの体液が混ざった土……村の工夫が全部詰まってるんだな」

俺は胸の奥に誇らしさを覚えながら、歩を進める。


「でも王都まで続いているわけじゃないでしょう?」

アリアが首を傾げる。

「途中からは従来の道に戻るのね」


「そうだな。そこから先で比べれば、効果は一目瞭然だ」


――実際、四日目に入ると景色は一変した。

岩が転がるだけの未整備の道、車輪の跡で深く抉れた轍、雨水が溜まって泥と化した窪地。

「……全然違う」

アリアが眉をひそめる。

「馬車なんか通ったらひっくり返りそう」


「逆に言えば、王都の人に“比べて見せられる”ってことよ」

ミーナが冷静に言葉を返す。

「アント素材の価値は数字や説明よりも、実感で伝える方が効果的だわ」



旅の途中、いくつかの小さな村に立ち寄った。

粗末な宿屋で提供されたのは干し肉のスープや黒パン。

アリアは「素朴で美味しい」と言いながらぱくぱく食べ、ミーナは帳簿を広げて「仕入れ先にできそう」と商人の目を光らせていた。


「お前、旅の間でも仕事モードかよ」

俺が呆れると、ミーナは真顔で返す。

「当たり前でしょ。村に戻ったら、すぐにでも特産づくりに取りかかるんだから」


「……そういうとこ、ほんとに抜け目ないよな」

アリアが笑いながら肩をすくめる。



王都が近づくにつれ、道を行き交う人や馬車も増えてきた。

鮮やかな衣服をまとった商人や、馬上から見下ろす騎士たち。

俺たちの質素な荷姿は一層目立ち、すれ違う者がひそひそと囁く声も耳に入る。


「見ろ、あの娘、ただ者じゃないぞ」

「商人風だが……ずいぶん若いな」


アリアは平然と歩いていたが、俺の手が無意識に刀の柄を探していた。

「……やっぱり都会は息が詰まる」

思わず口にすると、ミーナが横目で俺を見た。


「だからこそ、負けちゃ駄目。

 王に示すのは、“辺境だからこそできる未来”なんだから」


その言葉に背を押され、俺は深く頷いた。


遠くに見えてきたのは、白い石壁に囲まれた王都。

尖塔が空に突き刺さり、鐘楼からは時を告げる鐘の音が響いてくる。


「……行こう。ここからが本番だ」


俺たちは歩を揃え、王城の門を目指した。

初投稿です!みなさんおてやわらかにお願いします。

AIをとーても使いながらの執筆となっております。

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